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旅館で女将さんの挨拶を受けて、『この人は、普段どんな仕事をしているんだろう』と思ったことはありませんか。女将を目指している方や、旅館の家に入ることになった方なら、なおさら気になりますよね。
結論から言うと、女将の仕事は、お客様の前に立つことと、宿の中を見えないところで回すことの両方です。お出迎えや挨拶はその一部で、従業員への目配り、帳場の仕事、地域とのつきあいまで広がります。
この記事では、旅館の女将の仕事内容を4つの場面に分けてチェックリストにし、料亭の女将や若女将の仕事との違いも紹介します。
女将の仕事内容は?まず全体をつかもう
女将の仕事は「お客様の前」「従業員の前」「帳場・経営」「地域・外部」の4つの場面に分けると分かりやすくなります。どこに力を入れるかは、宿の大きさや家ごとの方針で変わります。
『女将の仕事って、着物を着て挨拶するだけじゃないの?』と思う方も多いはずです。実は、お客様から見えている時間はごく一部なんです。
辞書の補足には、大きな宿では女将が「主に接客関係をまとめる職名」にもなっている、と書かれています。つまり女将は、接客の現場に立ちながら、宿全体の接客をまとめる立場でもあるんです。
| 場面 | 主な仕事 | どんな宿で比重が大きいか |
|---|---|---|
| お客様の前 | お出迎え・お見送り、客室へのご挨拶、要望の聞き取り | どの宿でも中心になりやすい |
| 従業員の前 | 仲居への指示、身だしなみや言葉遣いの指導、朝礼 | 従業員の多い宿 |
| 帳場・経営 | 予約の確認、宿泊者名簿、仕入れ、お礼状、売上の確認 | 家族で営む小さな宿 |
| 地域・外部 | 組合や地域の集まり、取引先とのつきあい、情報発信 | 温泉地など地域で連携する宿 |
女将とはそもそもどんな立場なのかは、女将とは?で意味から紹介しています。
女将の仕事を4つの場面でチェックしてみる
ここからは、4つの場面ごとに具体的な作業をチェックリストにしました。自分の宿や、働きたい宿の女将がどこまで担っているかを確かめる時にも使えます。
女将の仕事は、宿によって本当にさまざまです。家族で営む小さな宿なら配膳も帳場も女将がしますし、従業員の多い宿なら女将はまとめ役に回ります。
ですから、「女将の仕事はこれ」と1つに決めるより、場面ごとに分けて見るほうが分かりやすいんです。

お客様の前でする仕事
いちばん分かりやすいのが、お客様の前に立つ仕事です。お客様が宿に着いてから帰るまで、女将はいくつもの場面で顔を出します。
- 玄関でお出迎えをし、到着のご挨拶をする
- 夕食の時間に客室や食事処へご挨拶に回る
- お祝いや記念日のお客様に、ひと言お祝いを伝える
- 困りごとや要望を聞き、仲居や調理場に伝える
- 出発の朝、玄関でお見送りをする
例えば、夕食時の客室へのご挨拶では、こんなやりとりがあります。
「本日はようこそお越しくださいました。お料理はお口に合いましたでしょうか」
「はい、とてもおいしいです」
「ありがとうございます。料理長にも伝えておきますね。どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ」

挨拶の言葉は、場面ごとの例文を女将の挨拶にまとめています。お出迎えとお見送りの作法は旅館のお出迎えとお見送りでも紹介しています。
従業員の前でする仕事
女将は、仲居やフロント、調理場の人たちと一緒に宿を回す立場でもあります。お客様の満足は、従業員の働きやすさと切り離せないんです。
- 朝礼や打ち合わせで、その日のお客様の情報を伝える
- 仲居の着付けや身だしなみ、言葉遣いを見て声をかける
- 新しく入った人に、宿の決まりやおもてなしの考え方を伝える
- 団体のお客様が重なる日の人の配置を、支配人や番頭と相談する
- 困ったお客様の対応で、従業員の代わりに前に出る
『女将って厳しい人が多いの?』と心配になる方もいますよね。指導の仕方は人それぞれですが、どの宿でも女将は従業員を守る役目も持っています。
令和5年12月13日に施行された旅館業法の改正では、従業者に研修の機会を与えるよう努めることが定められました。特に配慮を要する宿泊者に、適切なサービスを提供するためです。従業員が学ぶ機会をつくることも、まとめ役の大事な仕事になっているんです。
帳場・経営の仕事
帳場とは、辞書では「旅館や商店などで、帳付けや勘定などをする所」です。今でいうフロントや事務所にあたります。
- 予約の状況と、その日のお客様の人数・お部屋を確かめる
- 宿泊者名簿の記入をお願いし、内容を確かめる
- 食材や備品の仕入れ、取引先とのやりとりをする
- お礼状や季節の便りを書いて送る
- 売上や予約の動きを見て、経営者と今後を相談する
旅館業法では、宿泊者名簿を備えて、宿泊者の氏名や住所、連絡先などを記載することが定められています。帳場は、こうした決まりを守る場所でもあるんです。
宿によっては、女将が社長として経営の判断をしていることもあります。経営者としての女将の仕事は女将と旅館経営で詳しく紹介しています。
地域・外部とのつきあい
旅館は、地域の中で営まれる商売です。温泉地や観光地では、宿同士や地域の人と力を合わせることも多いんです。
- 温泉地や地域の旅館組合、女将の会の集まりに出る
- 地域の行事やお祭りに宿として関わる
- 観光の案内所や交通機関、取引先とつきあう
- ホームページやSNSで宿の様子を発信する
- 常連のお客様と、季節の手紙でつながりを保つ
例えば、温泉地の行事の前には、こんな会話が交わされることもあります。
「今年の夏祭り、うちの宿は浴衣のお客様の着付けをお手伝いしましょうか」
「助かります。では、受付の場所を組合で用意しておきますね」
地域の女将同士の集まりについては女将の会とは?で紹介しています。
4つの場面すべてを女将1人で担う宿もあれば、お客様の前だけに専念する宿もあります。自分の立場がどこまでかは、家族や経営者と話して決めておくと安心です。
旅館の女将の仕事は、1日の中でどう回っている?
旅館の1日は、朝のお見送りと夕方のお出迎えという2つの山があります。その間の時間に、館内の点検や帳場の仕事、打ち合わせを入れていくのが一般的です。
『女将さんって、いつ休んでいるの?』と思うほど、1日中動いているように見えますよね。実際には、時間帯ごとにやることを切り替えながら回しています。
時刻は宿によってかなり違うので、ここでは場面の順番で並べました。
- 朝食の時間帯に、食事処や客室で朝のご挨拶をする
- 出発のお客様を玄関でお見送りする
- 客室や玄関を点検し、花やしつらえを整える
- 仲居や調理場と、その日の予約やお客様について打ち合わせる
- 帳場で予約の確認、お礼状、仕入れなどの事務をする
- 到着のお客様を玄関でお出迎えする
- 夕食の時間に客室や食事処へご挨拶に回る
- 夜に翌日の予定を確かめ、従業員に伝える

宿によっては、昼の時間に長めの休憩を取る「中抜け」の働き方をしているところもあります。時間ごとの流れは女将の1日で、もっと細かく紹介しています。
季節や曜日で変わる仕事
女将の仕事は、毎日同じではありません。季節の行事や、団体のお客様が重なった週末などで、やることがかなり変わります。
| 時期・状況 | 増える仕事の例 |
|---|---|
| 季節の変わり目 | 玄関や客室のしつらえ替え、着物の衣替え |
| 年末年始・連休 | 予約の調整、人の配置、年始のご挨拶 |
| 団体のお客様が重なる週末 | 宴会の段取り、調理場や仲居との細かな連絡 |
| 夏と年末 | 暑中見舞いや年賀状など、季節の挨拶状 |
| 閑散期 | 従業員の研修、館内の手入れ、新しい企画の準備 |
季節の挨拶状の書き方は旅館の季節の挨拶状で、例文つきで紹介しています。
料亭の女将や若女将の仕事はどう違う?
料亭の女将の仕事は、宿泊がないぶん会食の座敷を整えることが中心です。若女将は、女将のもとで仕事を覚えながら、少しずつ任される範囲を広げていきます。
女将と呼ばれる立場は、旅館だけではありません。辞書では、女将は「料理屋・旅館・待合など客商売の家の女主人」と説明されています。
料亭の女将の仕事は、旅館の女将と重なるところもありますが、宿泊がない分だけ中身が違います。
| 比べること | 旅館の女将 | 料亭の女将 | 若女将 |
|---|---|---|---|
| お客様と過ごす時間 | 到着から翌朝の出発まで | 会食の数時間 | 女将と同じ場面に立つことが多い |
| 中心になる仕事 | お出迎え・客室へのご挨拶・お見送り | 座敷のご挨拶・お酌・席の取りしきり | 女将の補佐と、任された場面の担当 |
| 準備するもの | 客室・玄関・食事処のしつらえ | 座敷の掛け軸・花・器 | 女将の指示のもとで準備 |
| 裏方の仕事 | 予約・宿泊者名簿・仕入れ・従業員 | 予約・仕入れ・従業員・常連客とのつきあい | 帳場や接客を学びながら覚える |
料亭の女将については料亭の女将とは?で、旅館の女将との違いをもっと詳しく紹介しています。
若女将の仕事
若女将は、次の女将として学んでいる段階の人を指すのが一般的です。最初から女将と同じことをするのではなく、任される範囲を少しずつ広げていきます。
- 女将と一緒にお出迎えやお見送りに立つ
- 仲居と一緒に客室での接客を覚える
- 帳場で予約や事務の仕事を学ぶ
- 宿の方針や大事なお客様への対応
- 従業員の配置や指導の最終判断
- 経営や地域とのつきあいの判断
若女将の立場や学び方は若女将とは?でも紹介しています。
相撲部屋の師匠夫人も「おかみさん」と呼ばれます。金銭面の管理や激励会などの手配、後援者とのつきあい、力士たちの母親役やしつけ役も務めると紹介されていて、宿の女将とは仕事の中身が違います。
女将の仕事でよくある相談
質問サイトにも、女将の仕事についての質問がたくさん寄せられています。閲覧の多いものから、この記事のテーマに合う3つを選んでお答えしますね。
宿によっては夕食時に女将が挨拶に来るけれど、お客さんはどう感じているのか、という質問です。
うれしいと感じる人もいれば、くつろいでいるところに来られると気をつかう、という人もいます。どちらの気持ちもよく分かりますよね。
だからこそ、挨拶は短くまとめ、お客様の様子を見て長居しないのが基本です。食事の最中なら「どうぞそのままで」とひと言添えて、手短に下がる女将も多いんです。
女将さんが実際にどんな仕事をしているのか知りたい、という質問です。
この記事で紹介した4つの場面がそのまま答えになります。お客様の前に立つ仕事、従業員をまとめる仕事、帳場や経営の仕事、地域とのつきあいの仕事です。
どこまで担うかは宿の大きさで違うので、知りたい宿があれば「女将さんはどこまで担当されていますか」と聞いてみてもいいですね。
旅館によって違うと思うけれど、若女将の仕事内容を教えてほしい、という質問です。
若女将は、女将のそばで接客や帳場の仕事を覚えながら、少しずつ任される範囲を広げていくのが一般的です。お出迎えやお見送りに一緒に立つところから始めることが多いでしょう。
どこまで任されるかは、女将や家族との話し合いで決まります。修行の進め方は若女将の修行で紹介しています。
女将の仕事に向いている人と、大変なところ
女将の仕事は、お客様にも従業員にも気を配る仕事です。人と話すのが好きで、宿全体を見渡して先回りできる人に向いています。
『自分に女将の仕事ができるかな』と不安になる方もいるはずです。最初から全部できる人はいません。
女将の仕事で大事にされやすいことを、チェックリストにしてみました。
- お客様の様子を見て、言われる前に気づける
- 従業員の話を聞き、頼れる人として動ける
- 着物や作法を、仕事として身につけていける
- 予約やお金の流れなど、数字にも向き合える
- 忙しい日でも、落ち着いて優先順位をつけられる
「女将は1人で全部やらなければいけない」と思い込んでしまうことがあります。仲居や支配人、家族と役割を分けて、任せられることは任せるのが長く続けるコツです。
大変だと感じやすい場面と、乗り切る工夫
女将の仕事には、やりがいと同じくらい大変な場面もあります。よく挙がる場面と、宿で取り入れやすい工夫を表にしました。
| 大変だと感じやすい場面 | 取り入れやすい工夫 |
|---|---|
| 朝と夕方の両方に立つので、1日が長くなる | 昼の時間にしっかり休む。若女将や支配人と挨拶を分担する |
| お客様の要望が重なって、手が回らない | 優先順位を朝礼で決めておく。仲居に任せる範囲をはっきりさせる |
| 従業員への伝え方に迷う | 叱る前に理由を聞く。良かったところも言葉にして伝える |
| 帳場の仕事が後回しになる | 予約や仕入れの確認を、毎日同じ時間に入れる |
| 家族経営で、仕事と家の区切りがつきにくい | 休む日と、家で仕事の話をしない時間を家族で決める |
例えば、従業員に注意したい時は、こんな言い方をすると角が立ちにくくなります。
「さっきのお客様へのご案内、とても丁寧でしたね。次はお部屋の説明のあとに、お夕食の時間もひと言添えてみてください」
休み方や中抜けの働き方については、女将の休みと働き方で紹介しています。
向いているかどうかの考え方は女将に向いている人で、詳しく紹介しています。
女将の仕事に近づくには、まず旅館で働いてみる
女将の仕事に興味が出てきたら、まず旅館で働いて現場を知るのもひとつの方法です。仲居やフロントとして働くと、女将が何をしているかを毎日近くで見られます。
旅館・ホテルの仕事は、ハローワークや求人サイト、宿の公式サイトの募集でも探せます。宿泊業界の求人を専門に扱う転職支援サービスに相談する方法もあります。
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女将になるまでの道のりは女将になるにはで、4つの道を比べながら紹介しています。
よくある質問
旅館の女将の仕事内容を簡単に言うと何ですか?
お客様のお出迎えやご挨拶など接客の中心に立つことと、従業員のまとめ、帳場や経営、地域とのつきあいまでを担う仕事です。どこまで担うかは宿の大きさや方針で違います。
女将は配膳や布団の準備もするのですか?
家族で営む小さな宿では、女将が配膳や客室の準備までしていることもあります。従業員の多い宿では、仲居が担当し、女将はまとめ役に回るのが一般的です。
料亭の女将の仕事は旅館の女将と何が違いますか?
料亭には宿泊がないので、会食の座敷を整えてご挨拶し、席を取りしきることが中心です。予約や仕入れ、従業員のまとめなど裏方の仕事は旅館と共通する部分もあります。
若女将の仕事は女将と同じですか?
若女将は女将のもとで仕事を覚えている段階の人を指すのが一般的です。お出迎えや接客から始めて、任される範囲を少しずつ広げていきます。
女将は仕事中、どんな着物を着ているのですか?
女将が仕事で着る着物に決まりはなく、宿の雰囲気や季節、場面に合わせて選ばれています。選び方の考え方は、女将の着物を紹介した記事でまとめています。
まとめ
- 女将の仕事は「お客様の前」「従業員の前」「帳場・経営」「地域・外部」の4つの場面に分けられる
- お客様から見える挨拶やお見送りは、仕事のごく一部
- 1日の中では、朝のお見送りと夕方のお出迎えが大きな山になる
- 料亭の女将は座敷の取りしきり、若女将は学びながら任される範囲を広げていく
- どこまで担うかは宿の大きさや方針で違うので、家族や経営者と役割を分けておく





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