旅館の役職と組織|女将・支配人・番頭・仲居の関係

旅館の役職と組織を紹介する記事のアイキャッチ。旅館の帳場と廊下

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旅館には、女将・支配人・番頭・仲居など、いろいろな役職の人がいますよね。『誰がいちばん上なの?』『女将と支配人はどう違うの?』と迷う方も多いはずです。

結論から言うと、旅館の役職と組織は、宿の大きさと経営の形でかなり変わります。家族で営む小さな宿と、部署の分かれた大きな旅館とでは、女将の位置もまったく違うんです。

この記事では、旅館の役職を一覧にし、3つの型で旅館の組織を比べながら、女将・支配人・番頭・仲居の関係を紹介します。

目次

旅館の役職にはどんなものがある?まず一覧で

先に結論

旅館の役職は、経営をになう人、宿全体や接客をまとめる人、各部門の責任者、現場の担当の4つの段で考えると分かりやすいです。呼び方や数は宿ごとに違います。

まずは、旅館でよく聞く役職を一覧にしてみました。すべての宿にこの役職がそろっているわけではありません。

段役職の例主な役割
経営社長・経営者(主人)、大女将宿の方針を決め、お金と人の責任を持つ
全体をまとめる女将、支配人・副支配人、番頭接客や運営の全体を取りしきる
部門の責任者客室・フロント・調理などのリーダーやマネージャー部門の段取りと人の配置
現場の担当仲居・客室係、フロント係、調理担当、清掃担当お客様のお世話と日々の仕事

それぞれの言葉の意味

役職の言葉には、辞書で意味が決まっているものもあります。

  • 女将:旅館や料理屋などの女主人。大きな所では経営者の一族の女性がなり、主に接客をまとめる職名にもなっている(デジタル大辞泉の補説)
  • 支配人:使用人の中で、営業主に代わって営業全般の業務を取りしきる人
  • 番頭:商家などの使用人のかしらで、営業や経理など店のすべてを預かる人
  • 仲居:旅館や料亭などで客の接待をする人

若女将は次の女将として研鑽を積んでいる段階の人、大女将はその上の世代の女将を指して使われます。女将の基本は女将とはで紹介しています。

求人の分類にも見える旅館の役職

宿泊業界専門の転職支援サービスのおもてなしHRでは、宿泊の職種が細かく分けられています。「リーダー・チーフ」「マネージャー・支配人」のほか、「支配人・副支配人・女将」という区分もあります。

女将が支配人と同じ枠で扱われているのは、宿全体をまとめる立場として近いからなんです。

旅館の組織は3つの型|家族経営・中規模・大型で比べる

宿の大きさで、女将の位置が変わる

家族経営の小さな宿では女将が何でもこなし、中規模の旅館では女将と支配人が役割を分け、大型の旅館では部署ごとの責任者の上に女将や支配人が立ちます。

旅館の組織は、宿の大きさと経営の形で大きく3つの型に分けられます。ここではこの記事なりの分け方で、一般的な例を紹介しますね。

家族経営の小規模旅館・中規模旅館・大型旅館の3つの組織の型と、女将の位置を比べた図解
比べること家族経営の小規模旅館中規模旅館大型旅館
経営の形家族で営む。主人と女将が経営者を兼ねる家族が経営し、社員を雇って運営する会社として運営し、部署が分かれている
女将の位置経営者の一人で、接客の中心接客全体のまとめ役宿の顔として接客を統括する
支配人いないことが多い運営や数字を担う人がいる支配人・副支配人が運営を取りしきる
番頭主人や家族が兼ねる帳場をまとめる人がいる宿もあるフロントの責任者などに役割が分かれる
仲居・客室係家族や少人数のスタッフ担当のお部屋を受け持つ人数が多く、リーダーがまとめる
1人の仕事の幅とても広い広い部署ごとに絞られる

家族経営の小規模旅館

家族で営む小さな宿では、主人と女将の2人が経営と接客の両方を担うことがよくあります。女将がフロントで受付をし、お部屋でお茶を出し、夕食を運ぶこともあるんです。

役職というより、家族の中で「誰が何を受け持つか」で回っているのが特徴です。

中規模旅館

中規模の旅館では、女将が接客の全体を、支配人や番頭が帳場や運営の数字を、と役割を分けることが多くなります。仲居は担当のお部屋を受け持ち、女将の指示で動きます。

『女将と支配人、どちらに相談すればいいの?』と迷う場面もありますよね。お客様の接客のことは女将に、勤務や運営のことは支配人に、という分け方をしている宿が多いです。

大型旅館

大型の旅館では、客室・フロント・調理・宴会・施設管理などの部署が分かれ、それぞれに責任者がいます。その上に支配人や副支配人が立ち、女将は宿の顔としてお客様へのご挨拶や接客の質を見ていきます。

経営者と女将が別の人であることも珍しくありません。

部署が多いぶん、仲居や客室係からリーダー、部門の責任者へと、役職の段が細かく分かれているのも大型旅館の特徴です。働く側から見ると、目指す役職が見えやすい型とも言えますね。

日本旅館協会の会員資格の基準にも、施設の規模に応じた適正な接客従業員を配置すること、という項目があります。宿の大きさに合わせて人の配置を考えるのは、旅館の組織づくりの基本なんです。

働く宿がどの型か見分けるには

これから旅館で働く方は、応募する宿がどの型に近いかを知っておくと、入ってからの戸惑いが減ります。求人や面接で、次の点を見てみてください。

宿の組織の型を見分けるポイント
  • 求人に「支配人」「女将」の両方の名前が出ているか
  • 部署(客室・フロント・調理など)ごとに募集が分かれているか
  • 面接に出てくるのが家族の方か、人事の担当者か
  • 1人が受け持つ仕事の範囲がどこまで書かれているか

例えば、面接で女将さんとご主人が並んで話を聞いてくれる宿なら、家族経営の型に近いと考えられます。人事の担当者が部署ごとの仕事を説明してくれる宿なら、大型の型に近いですね。

補足

観光庁の検討会の資料では、宿泊業には小規模の事業者が多く、家業として経営を受け継ぐ旅館が多いことが課題の1つに挙げられています。同じ資料には、所有と経営の分離などの事業の見直しを進める方向性も書かれています。

女将と社長・支配人はどう違う?役割分担の考え方

社長はお金と方針、支配人は運営、女将は接客

一般的には、社長は宿の方針とお金に、支配人は日々の運営に、女将はお客様への接客とおもてなしの質に責任を持ちます。ただし、1人がいくつも兼ねる宿も多いです。

女将と社長・支配人の違いを、受け持つことで比べてみましょう。

役職主に受け持つことお客様との距離
社長・経営者宿の方針、設備への投資、お金の管理遠いことが多い
支配人売上と費用の管理、スタッフの勤務や採用、運営全体中くらい
女将お出迎えやご挨拶、接客の指導、お客様からのご要望とても近い
番頭帳場の管理、館内の段取り、お迎えやお見送り近い

女将が経営者を兼ねる場合

家族経営の宿では、女将が社長や経営者を兼ねていることもあります。この時の女将は、接客だけでなく、お金や人の管理まで担うことになります。

女将の経営の仕事は女将と旅館経営で詳しく紹介しています。

役職ごとの1日の関わり方の例

同じ1日でも、役職によってお客様との関わり方は違います。中規模の旅館を例に、よくある動き方を並べてみました。宿によって違うので、あくまで一例です。

時間帯女将支配人番頭仲居
朝朝食の様子を見て回り、お見送り前日の売上や予約を確かめるお会計とお車の手配朝食の配膳と片付け
昼お礼状や予約のお客様の確認取引先との打ち合わせ、勤務の表づくり帳場の事務中抜けの休憩、客室の準備
夕方玄関でお出迎えスタッフの配置を確かめるお迎えと館内の案内お部屋へのご案内とお茶出し
夜夕食のお部屋へご挨拶1日の振り返り翌日の段取り夕食の配膳とお布団の準備

こうして並べると、女将と仲居はお客様のそば、支配人は宿の裏側、番頭はその間をつなぐ位置にいることが分かりますよね。

法律の上での「支配人」

支配人という言葉には、法律の上での意味もあります。会社法などで、営業主から選ばれ、その営業に関するいっさいの行為をする権限を持つ人を支配人といい、選任は登記する事柄になっています。

ただ、旅館で「支配人」と呼ばれていても、法律上の支配人として登記されているとは限りません。職場での呼び方と考えておけば十分ですよ!

法律の上で旅館の責任者は誰?

旅館業法では、旅館業を営もうとする人は、都道府県知事などの許可を受けることになっています。この許可を受けた人が「営業者」で、宿泊者名簿を備えるなどの決まりを守る立場です。

営業者が亡くなり、相続人が旅館業を続ける時は、亡くなってから60日以内に申請して承認を受けることになっています。家業として受け継ぐ旅館では、役職の呼び方とは別に、こうした手続きの面の責任者もいるんです。

女将と支配人の役割分担を知りたい時に見る所
  • 宿の求人で、女将と支配人の仕事内容がどう書かれているか
  • お客様からのご意見に、誰が最後に答えているか
  • スタッフの勤務の表を、誰が作っているか
  • 宿のお知らせやご挨拶に、誰の名前が出ているか

番頭とは?旅館の番頭と支配人の関係

番頭は、帳場を預かる「宿の要」

番頭は、もともと商家の使用人のかしらで、店のすべてを預かる人のことです。旅館でも、帳場を守り、館内の段取りをまとめる役として使われてきました。

番頭は、辞書では商家などの使用人のかしらと説明されています。日本国語大辞典には、丁稚から勤めあげ、手代を経た人がなる、とあります。

日本史の辞典では、江戸時代の商家の奉公人で最も上の位にあり、大きなお店では支配人とも呼ばれた、と説明されています。番頭と支配人は、もともと近い言葉なんです。

旅館の番頭の仕事

旅館の番頭だけを説明した辞書の定義はありません。ただ、帳場の説明に「格子で囲った中で主人・番頭が事務をとる」とあり、番頭は帳場を預かる人だったことが分かります。

番頭が事務をとってきた旅館の帳場をイメージした写真

今の旅館では、フロントの責任者や、お迎え・お見送り、館内の段取りをまとめる人を番頭と呼ぶ宿があります。呼び方を使わず、フロントマネージャーなどの役職名にしている宿もありますよ。

比べること番頭支配人
言葉のもと商家の使用人のかしら営業主に代わって営業全般を取りしきる人
旅館での主な場所帳場・玄関まわり宿全体
今の呼び方の例フロントの責任者、館内の段取り役支配人・副支配人、マネージャー

番頭の役割は番頭とはでさらに詳しく紹介しています。

番頭と女将の関係

番頭と女将は、どちらもお客様の近くにいる役職です。一般的には、女将がお客様への接客を、番頭が帳場と館内の段取りを受け持ち、互いに声をかけ合って宿を回しています。

例えば、こんなやりとりがあります。

「番頭さん、〇〇のお部屋のお客様、明日の朝は早くご出発だそうです」
「分かりました。お車の手配と、朝食の時間を調理場に伝えておきます」

仲居や客室係は組織のどこにいる?「女将の下」の役職

仲居は、女将のもとで接客を受け持つ

仲居や客室係は、多くの旅館で女将や客室のリーダーのもとで、担当のお部屋の接客を受け持ちます。宿によっては、仲居をまとめる役職があります。

『女将の下の役職は何て呼ぶの?』という疑問もよく聞きます。答えは宿によって違いますが、一般的には次のような形があります。

立場呼び方の例役割
女将の補佐若女将、副女将と呼ぶ宿も女将を支え、次の女将として学ぶ
仲居のまとめ役客室係のリーダー・チーフ、仲居頭と呼ぶ宿も仲居の配置や指導
現場の担当仲居、客室係担当のお部屋のお世話
女将のもとで若女将・仲居のまとめ役・仲居が受け持つ役割を示した図解

女将と仲居の違いや、女将の下の呼び方は女将と仲居の違いで詳しく紹介しています。仲居の仕事内容は仲居とはにまとめました。

役職が変わる道すじ

旅館では、仲居や客室係から始めて、リーダー、接客の責任者へと役割が広がっていく道があります。フロントから始めて、番頭や支配人の仕事を任される人もいます。

旅館の仕事の種類と、それぞれの入り方は旅館の仕事の種類で紹介しています。

よくある思い込み

「女将は女性、番頭は男性」と決まっているわけではありません。今は男性の経営者が宿の顔を務めるところや、女将を置かない宿もあります。役職の呼び方と担う人は、宿の方針で決まります。

旅館の組織が見えてくると、『自分ならどの役職から始められるかな』と考える方もいるはずです。旅館やホテルの職種を比べながら働く先を探したい時は、業界に詳しい人に相談するのも1つの方法です。

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旅館の役職についてよくある相談

「なぜ女将なの?」という疑問は昔から多い

番頭の意味や、女将が支配人のような立場にいる理由についての相談がよく寄せられています。代表的なものに答えますね。

「ホテルや旅館の番頭って何?」

ホテルや旅館の番頭とは何か、調べても分からなかった、という相談はとても多いです。

番頭は、もともと商家で店のすべてを預かった使用人のかしらのことです。旅館では、帳場を守り、館内の段取りをまとめる役を指して使われてきました。

今は、フロントの責任者やマネージャーなどの役職名に置き換わっている宿も多いです。

「なぜ旅館の支配人のような立場は女将なの?」

旅館などでは、なぜ女性の女将が支配人のような立場にいるのか、という相談もあります。

辞書でも、女将は大きな所では経営者の一族の女性がなり、主に接客をまとめる職名にもなっている、と説明されています。家業として受け継がれてきた旅館が多いことが、背景の1つと考えられます。

ただ、今は男性の経営者が宿の顔を務めるところもありますし、女将と支配人を別に置く宿もあります。女将がいる理由は旅館に女将がいるのはなぜ?でも紹介しています。

「実際の経営者は別にいるのに、なぜ女将が表に立つの?」

観光旅館では、社長が別にいても女将が表に出ているのはなぜか、という相談もあります。

旅館では、経営と接客の役割を分けていることがよくあります。社長がお金や方針を、女将がお客様への接客を受け持つ形です。お客様の前に立つのが女将の役割なので、表に出ることが多くなるんです。

「家族で旅館を営むのは大変?どんな苦労がある?」

家族で民宿や旅館を営んでいる人に、大変さを尋ねる相談もとても多く読まれています。

家族経営の宿では、1人の役職が決まっていない分、誰もが何役もこなします。仕事と暮らしの境目がつきにくいのも、よく挙がる悩みです。

観光庁の検討会の資料でも、宿泊業の働き方として、1日の拘束時間が長いことや休暇をとりづらいことが人手不足の一因に挙げられています。

だからこそ、家族の間でも「接客は女将」「帳場は主人」「調理は息子」のように受け持ちを決めておくと、気持ちが少し楽になりますよ。

決めておきたいこと例
誰が何を受け持つか接客・帳場・調理・清掃の担当
休みの回し方家族で交代して休む日を決める
お客様への最後の判断困った時に誰が決めるか

よくある質問

旅館でいちばん上の役職は何ですか?

宿によって違います。会社として運営している旅館なら社長や経営者、家族経営なら主人や女将が経営者にあたることが多いです。支配人は、経営者から運営を任された立場と考えると分かりやすいです。

旅館の支配人と女将はどちらが上ですか?

上下で決まっているわけではなく、受け持つ範囲が違います。支配人は運営全体、女将は接客全体を見ることが多く、1人で兼ねる宿もあります。

番頭という役職は今もありますか?

番頭と呼ぶ宿もあれば、フロントの責任者やマネージャーと呼ぶ宿もあります。呼び方は宿ごとに違います。

副支配人はどんな役割ですか?

支配人を支え、支配人がいない時に代わりに運営を見る立場です。大きな旅館では、宿泊や宴会など部門ごとの運営を受け持つこともあります。

若女将と大女将は組織の中でどこにいますか?

若女将は女将を支えながら次の女将として学ぶ立場、大女将は前の世代の女将です。大女将が経営に関わり続ける宿もあれば、一歩引いて見守る宿もあります。

まとめ

この記事の要点
  • 旅館の役職は、経営・全体のまとめ役・部門の責任者・現場の担当の4つの段で考えると分かりやすい
  • 旅館の組織は、家族経営の小規模旅館・中規模旅館・大型旅館の3つの型で大きく変わる
  • 一般的には、社長は方針とお金、支配人は運営、女将は接客に責任を持つ
  • 番頭はもともと商家の使用人のかしらで、旅館では帳場を預かる役だった
  • 役職の呼び方と担う人は、宿の方針で決まる
女将ガイド

女将ガイド 編集部

旅館の女将・若女将の仕事と役割、女将になるまでの道のり、着物や立ち居振る舞い、旅館のしきたりとおもてなし、旅館・料亭で働く方法までを、やさしく整理している情報サイトです。 公式サイト

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