女将の1日|朝のお見送りから夜のご挨拶までの流れ

女将の1日の流れを紹介する記事のアイキャッチ。朝の旅館の玄関と着物の手元

当サイトの記事は編集部が公的機関の情報や辞書、公表されている統計などの公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内に転職支援サービスへの案内(広告)を含みます。

女将さんは朝早くから夜遅くまで、いったいどんな1日を過ごしているのでしょう。女将を目指している方や、旅館の家に入ることになった方なら、自分の毎日がどうなるのか気になりますよね。

結論から言うと、女将の1日は「朝のお見送り」と「夕方のお出迎え」の2つの山を中心に回っています。その間に準備や事務、休憩をはさむ形が多いんです。

この記事では、女将の1日を5つの場面に分けて、場面ごとの動き方と、宿の大きさや立場による違いを紹介します。

目次

女将の1日はどんな流れ?5つの場面で全体をつかむ

先に結論

女将の1日は、時刻よりも「場面」で覚えるほうが分かりやすくなります。朝食とお見送り、昼の準備、夕方のお出迎え、夕食と客室まわり、夜の締めの5場面です。

『女将の1日って、何時に起きて何時に寝るの?』と、まず時刻が気になる方も多いはずです。ただ、実は時刻は宿によってかなり違います。

チェックインやチェックアウトの時刻は、それぞれの宿が宿泊約款で決めています。業界の手本になるモデル宿泊約款でも、時刻の欄は空欄なんです。

ですから、この記事では「何時に何をするか」ではなく、「どの場面で何をするか」で女将の1日を見ていきます。自分の宿の時刻に当てはめて読んでみてください。

女将の1日を、朝食とお見送り・昼の準備・夕方のお出迎え・夕食と客室まわり・夜の締めの5場面に分けて順番に示した図解

5つの場面を表にすると

場面女将がしていることの例一緒に動く人女将が気にかけていること
朝食とお見送り朝食の席や客室へのご挨拶、玄関でのお見送り仲居、調理場、フロントお客様の出発の時刻と、忘れ物がないか
昼の準備館内や客室の見回り、花の入れ替え、打ち合わせ、帳場の仕事仲居、客室清掃、調理場その日到着するお客様の情報
夕方のお出迎え玄関でのお出迎え、到着時のご挨拶フロント、仲居、送迎お客様の到着の時刻と、お疲れの様子
夕食と客室まわり客室や食事処へのご挨拶、要望やお祝いの確認仲居、調理場料理の進み具合と、困りごとがないか
夜の締め翌日の予約の確認、従業員への伝達、戸締まりの確認フロント、夜の担当者翌朝の出発の予定と、明日の段取り

表の場面は一例です。家族で営む小さな宿なら、女将がこのほとんどを自分で動かしますし、従業員の多い宿なら、女将は見守りとまとめ役に回ります。

女将の仕事を場面ではなく種類で知りたい方は、女将の仕事内容もあわせて読んでみてください。

朝食とお見送り:女将の1日のはじまり

旅館の朝は、お客様の朝食から始まります。女将にとっては、前の晩に迎えたお客様と最後に顔を合わせる、大切な時間なんです。

この場面のポイント

朝は「ゆうべはよく休めたか」を確かめて、気持ちよく送り出す時間です。お客様の出発の予定は前の晩のうちに確かめておくと、朝があわただしくなりません。

朝食の時間に、ひと言ご挨拶する

朝食の時間には、食事処や客室を回って朝のご挨拶をする女将もいます。長く話しこむより、短いひと言で十分です。

「おはようございます。ゆうべはゆっくりお休みになれましたか」
「はい、お布団がふかふかでぐっすりでした」
「それはよかったです。どうぞごゆっくり召し上がってくださいね」

この短いやりとりの中で、お客様の表情や声の調子も見ています。何か気になることがあれば、出発までに対応できるからです。

玄関でのお見送り

出発の時間が近づくと、女将は玄関に立ってお見送りをします。忘れ物がないか、帰り道の交通は大丈夫か、最後まで気を配る場面ですね。

お見送りの前に確かめておきたいこと
  • お客様ごとの出発の予定と、送迎の有無
  • 客室に忘れ物がないかの確認を、仲居に頼んであるか
  • 雨や雪の日の、傘や足元の案内
  • お祝いのお客様への、最後のひと言

お見送りの作法や言葉は、旅館のお出迎えとお見送りで詳しく紹介しています。

お見送りのあとの朝の打ち合わせ

お見送りが一段落したら、従業員と短く打ち合わせをする宿もあります。朝礼のような形で、その日の予約や担当を確かめる時間です。

「今日は記念日のお客様がいらっしゃいます。お部屋の花は少し華やかにしましょう」
「お食事のお祝いの一品は、調理場に伝えてあります」

女将がここで1日の段取りを共有しておくと、昼から夕方にかけての動きがぐっと楽になります。

朝の場面でよくある失敗

よくある失敗

朝食の時間とお見送りの時間が重なって、ご挨拶に回りきれないことがあります。出発の早いお客様から順にご挨拶するなど、前の晩に順番を決めておくと落ち着いて動けます。

昼の準備と中抜け:旅館の1日の流れの「谷」

『昼間の女将さんは、何をしているの?』と思いますよね。お客様が出発してから次のお客様が到着するまでは、旅館の1日の流れの中で、少し落ち着く時間帯です。

この場面のポイント

昼は、夕方のお出迎えに向けた準備の時間です。そして宿によっては、長めの休憩をはさむ「中抜け」の時間にもなります。

館内の見回りと、しつらえの手直し

お客様が出発したあとは、客室の掃除や布団の片付けが進みます。女将は館内を見回って、玄関や廊下、客室の花やしつらえを整えます。

季節の花を入れ替えたり、掛け軸の向きを直したり。お客様が玄関に入った瞬間の印象を作る、大事な準備なんです。

打ち合わせと帳場の仕事

その日到着するお客様について、仲居や調理場と打ち合わせをするのもこの時間帯です。食事の苦手なものやお祝いの有無など、予約の内容を確かめて共有します。

帳場では、予約の確認や電話の対応、お礼状を書く仕事もあります。前に泊まってくださったお客様へのお礼状は、昼の落ち着いた時間に書く女将も多いんですね。

昼の準備の流れの例
  1. 出発したお客様の客室を見回り、忘れ物や傷みがないか確かめる
  2. 玄関・廊下・客室の花やしつらえを整える
  3. その日のお客様について、仲居や調理場と打ち合わせる
  4. 帳場で予約の確認や電話の対応、お礼状を書く
  5. 休憩を取って、夕方からの時間に備える

旅館の中抜けとは?

旅館の仕事でよく聞く「中抜け」は、朝と夕方に働いて、昼に長い休憩をはさむ働き方のことです。朝食と夕食という2つの山があるので、その間に休む形なんですね。

宿泊業界の求人には、勤務時間の欄に「中抜けあり」「中抜けなし(2シフト制)」といった書き方がされています。例えば、次のような勤務時間の例が載っていることもあります。

求人に書かれている勤務時間の例内容
朝の勤務7:00〜11:00(朝食の準備・提供・片付け)
中抜け11:00〜16:30(休憩)
夕方からの勤務16:30〜20:30(夕食の準備・提供・片付け)

これは宿泊業界の求人に載っていた一例です。中抜けの有無や長さは宿によって違います。

中抜けのある旅館の勤務の1日を、朝の勤務・昼の休憩・夕方からの勤務に分けて示した図解

中抜けの時間は「自由に使える休憩」

中抜けの時間は、法律の上では休憩時間にあたります。厚生労働省の説明では、休憩時間は労働から離れることを保障された時間とされています。

つまり、中抜けの間に電話番や片付けを頼まれるなら、それは休憩とは言いにくい、ということです。働く側としては、中抜けの間に何をするかを確かめておくと安心ですね。

補足

労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩が必要とされています。中抜けの過ごし方や休日の決まりは、女将の休みと働き方で詳しく紹介しています。

中抜けの時間、女将はどう過ごしている?

中抜けの時間の過ごし方は人それぞれです。家に戻って家事をする人もいれば、少し横になって夕方に備える人もいます。

ただ、家族で営む宿の女将は、昼の時間も宿の用事が入りやすいものです。『結局、昼も休めていない』と感じたら、休む時間を家族で決めておくのがおすすめです。

中抜けの時間を休憩にするための工夫
  • 中抜けの間の電話は、誰が出るか決めておく
  • 急ぎでない打ち合わせは、夕方の勤務の始めにまとめる
  • 休憩に入る時間と戻る時間を、家族や従業員に伝えておく

夕方のお出迎えから、夕食・夜の締めまで

夕方になると、旅館はふたたび忙しくなります。お出迎え、夕食、客室まわりと、女将がお客様の前に立つ時間がいちばん長くなるのがここからです。

この場面のポイント

夕方から夜は、女将の1日のいちばんの山です。お出迎えで顔を合わせたお客様に、夕食の時間にもう一度声をかける。この2回の接点が、宿の印象を形づくります。

夕方のお出迎え

お客様の到着の時間になると、女将は玄関に立ってお出迎えをします。長旅で疲れているお客様には、手短に、でも温かく声をかけたいところです。

「ようこそお越しくださいました。お足元の悪い中、ありがとうございます」
「道が少し混んでいて、遅くなってしまいました」
「お疲れでしたでしょう。まずはお部屋でひと息ついてくださいね」

到着の時刻はばらばらなので、玄関とフロント、客室を行き来しながら待つことになります。到着が遅れるお客様の連絡を受けるのも、この時間帯です。

到着が遅れるお客様がいる時

夕方は、お客様から「到着が遅れます」と連絡が入ることもあります。夕食の時間をずらせるか、調理場と相談するのも女将の役目です。

遅れの連絡を受けた時の言葉の例

「ご連絡ありがとうございます。お気をつけてお越しくださいませ。お食事の時間は、到着されてから整えられるよう調理場に伝えておきますね」

慌てているお客様ほど、落ち着いた声で返されるとほっとするものです。

夕食と客室まわり

夕食の時間には、客室や食事処を回ってご挨拶をします。お料理の感想や、翌朝の予定をうかがう場面ですね。

『食事中に話しかけられるのは、迷惑じゃないかな』と心配になる方もいるかもしれません。だからこそ、ご挨拶は短く、お客様の様子を見て下がるのが基本です。

夕食時のご挨拶でしていること
  • お料理の感想を短くうかがう
  • 翌朝の朝食や出発の時間を確かめる
  • お祝いのお客様にひと言添える
夕食時に避けたいこと
  • 会話が弾んでいる席に長く入りこむ
  • 宿の自慢話を長々と続ける
  • お客様の箸が止まるほど話しかける

ご挨拶の言葉は、場面ごとの例文を女将の挨拶にまとめています。

夕食の時間に女将が客室を回ってご挨拶する場面をイメージした写真

夜の締め

夕食が終わり、布団の準備が済むと、旅館は少しずつ静かになります。女将は翌日の予約を確かめて、朝の担当者に伝えることをまとめておきます。

夜の締めで確かめておきたいこと
  • 翌朝の出発の時間と、送迎や朝食の時間の変更
  • お客様から頼まれたことの引き継ぎ
  • 翌日到着するお客様の人数や、お祝いの有無
  • 戸締まりと、夜の担当者への連絡

例えば、夜の担当者への引き継ぎはこんな形です。

「〇〇様は明日の朝、早めにご出発です。朝食はお部屋に早めにお持ちしましょう」
「承知しました。送迎の車も早めに手配しておきます」

こうして1日が終わり、翌朝にはまた朝食とお見送りが始まります。

宿の大きさや立場で、女将の1日はこう変わる

『うちの宿は小さいから、全部ひとりでやることになりそう』と不安になる方もいますよね。女将の1日は、宿の大きさや、女将がどの立場にいるかで大きく変わります。

この見出しのポイント

小さな宿の女将は「自分で動く」時間が長く、大きな宿の女将は「見守り、まとめる」時間が長くなります。若女将は、女将の動きを見ながら担当を少しずつ広げていく1日です。

立場・宿の形1日の中で多い仕事気をつけたいこと
家族で営む小さな宿の女将配膳、客室の準備、帳場、電話の対応まで自分で動く休む時間を家族と決めておく
従業員の多い宿の女将見回り、ご挨拶、仲居への指示、打ち合わせ現場に任せる範囲をはっきりさせる
若女将女将のそばでお出迎えやご挨拶を学び、任された場面を担当する分からないことをその日のうちに聞く
雇われて働く女将候補宿の方針にそって、接客のまとめ役を担う勤務時間と休憩を就業規則で確かめる

若女将の1日は「見て、やって、任される」

若女将の1日は、女将と同じ場面に立ちながら、少しずつ担当を広げていく1日です。最初は女将のそばでお出迎えやご挨拶を見て覚え、慣れてきたら1つの場面を任されます。

例えば、こんな順番で任されることがあります。最初は朝のお見送り、次に夕方のお出迎え、そして夕食時のご挨拶です。帳場の仕事や従業員への指示は、そのあとに覚えていく宿もあります。

『早く一人前にならないと』と焦る気持ちも出てきますよね。ただ、何年で何を覚えるかは宿によって違うので、女将と相談しながら進めれば大丈夫です。

季節や曜日で変わる1日

同じ宿でも、毎日が同じ流れとは限りません。団体のお客様が重なった週末と、平日の静かな日とでは、女将の動き方もまるで違います。

例えば、団体のお客様が来る日は、昼の打ち合わせが長くなり、夕食の時間は宴会場に立ちっぱなしになることもあります。反対に静かな日は、館内の手入れやお礼状、新しい企画の準備に時間を回せます。

1日の中で、自分の時間をつくるコツ

1日の中で休む時間を確保する工夫の例
  1. 朝の打ち合わせで、その日の担当を決めておく
  2. 昼の休憩の時間を、家族や支配人と共有しておく
  3. 夜の締めの作業を、毎日同じ順番にして短くする
  4. 若女将や仲居と、ご挨拶の場面を分担する

女将が1人で全部を抱えると、長く続けるのが難しくなります。任せられることは任せて、自分が出る場面を選ぶのも、女将の大切な仕事なんです。

女将の1日についてよくある相談

ここでは、女将の1日について多く寄せられている疑問を、要約して答えてみます。

女将さんは毎日働いていて、休みがないの?

「旅館の女将さんは、一日も休みがないように見える」という相談は多いんです。お客様の前にいつも立っているので、そう見えますよね。

実際には、女将も休む日をつくっています。家族で営む宿なら、家族や支配人と交代で休む日を決めるのが一般的です。雇われて働く場合は、就業規則と労働基準法にそって休日が決まります。

ネットで見た「早朝から深夜まで働く1日」は本当?

「女将さんの1日として、とても早い時刻から始まる時間割を見かけた。本当にこうなの?」という相談もあります。

結論から言うと、そういう宿もあるかもしれませんが、どの宿も同じではありません。旅館の時刻は宿ごとに決めているので、1つの時間割がすべての女将に当てはまるわけではないんです。

旅館で働く人は、いつ寝ているの?

「朝食もあって夜も遅いのに、旅館の人はいつ寝ているの?」という素朴な疑問もあります。

旅館では、朝の担当と夜の担当を分けたり、昼に中抜けの休憩をはさんだりして、1日を回しているところが多いんです。女将も、その日の担当を決めて休む時間をつくっています。

旅館の1日を自分で体験してみたい時は

『女将の1日を知って、旅館の仕事をしてみたくなった』という方もいるかもしれません。仲居やフロントとして働くと、旅館の1日の流れを内側から知ることができます。

求人を見る時は、勤務時間の欄に中抜けの有無や時間が書かれているので、応募前に確かめてみてください。ハローワークや求人サイト、宿の公式サイトの募集のほか、宿泊業界の求人を扱う転職支援サービスに相談する方法もあります。

おもてなしHR(PR)

旅館・ホテルの仕事を探すなら、宿泊業界専門の転職支援に相談

おもてなしHRは、ホテル・旅館などの宿泊業界の求人専門の転職支援サービスです。専任のキャリアアドバイザーが、経験の有無や希望職種を問わず、書類作成や面接の日程調整、条件面の相談まで無料でサポートします。

無料おもてなしHRの公式サイトを見る

サービスの内容は公式サイトでご確認ください。

女将の役割そのものは、女将とは?で意味から紹介しています。

よくある質問

女将の1日はどんな流れですか?

朝食とお見送り、昼の準備、夕方のお出迎え、夕食と客室まわり、夜の締めの5つの場面で回るのが一般的です。時刻は宿によって違います。

旅館の1日の流れで、いちばん忙しいのはいつですか?

朝のお見送りと、夕方のお出迎えから夕食までの時間です。この2つの山の間に、準備や休憩の時間をはさむ宿が多くあります。

旅館の中抜けとは何ですか?

朝と夕方に働き、昼に長い休憩をはさむ働き方のことです。中抜けの時間は法律上の休憩時間にあたり、自由に使える時間であることが求められます。

若女将の1日は女将と同じですか?

女将のそばで、お出迎えやご挨拶を学びながら動くことが多いです。慣れてくると、任される場面が少しずつ増えていきます。

女将は夜も遅くまで働いているのですか?

夕食やご挨拶のあと、翌日の確認をして1日を締めることが多いです。ただ、夜の担当者と分担したり、昼に休んだりして、働く時間を調整している宿もあります。

まとめ

この記事の要点
  • 女将の1日は、朝のお見送りと夕方のお出迎えの2つの山で回っている
  • 時刻は宿ごとに違うので、5つの場面で覚えると分かりやすい
  • 昼は準備と事務の時間で、中抜けの休憩をはさむ宿もある
  • 中抜けの時間は法律上の休憩で、自由に使える時間であることが求められる
  • 宿の大きさや立場で1日は変わるので、家族や従業員と分担して休む時間をつくる
女将ガイド

女将ガイド 編集部

旅館の女将・若女将の仕事と役割、女将になるまでの道のり、着物や立ち居振る舞い、旅館のしきたりとおもてなし、旅館・料亭で働く方法までを、やさしく整理している情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次