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旅館に泊まった時、着物姿で玄関に立ち、深くお辞儀をしてくれた女性を覚えている方も多いはずです。『あの人が女将さん? そもそも女将って何をする人なの?』と気になりますよね。
結論から言うと、女将とは、旅館や料亭などの客商売の家の女主人のことです。読み方は「おかみ」が一般的で、旅館ではお客様のおもてなしと、館内のまとめ役を担う立場を指します。
この記事では、女将の意味と読み方、若女将や仲居との違い、旅館の女将が実際にどんな役割をしているのかを、1日の場面と合わせて紹介します。
女将とは?辞書での意味と読み方
女将とは、旅館・料亭・料理屋などの女主人のことです。読み方は「おかみ」がふつうで、辞書には「じょしょう」「にょしょう」という読みも載っています。
まず、言葉の意味から確かめておきましょう。国語辞典では、女将は「料亭・旅館などの女主人」と説明されています。
別の大きな国語辞典では「料理屋・旅館・待合など客商売の家の女主人」とされています。つまり、旅館に限らず、お客様を迎える商売の家を切り盛りする女性を広く指す言葉なんです。
「おかみ」「じょしょう」「にょしょう」の3つの読み方
女将の読み方は、辞書に3つ載っています。ふだんの会話で使うのは、ほとんど「おかみ」です。
| 読み方 | 辞書での意味 | 使われる場面 |
|---|---|---|
| おかみ | 旅館・料理屋・居酒屋などの女主人 | 会話・旅館の案内・求人など、ふだんの言い方 |
| じょしょう | 第一の意味は「女の大将」、次に「客商売の家の女主人」 | 文章語。日常ではあまり使わない |
| にょしょう | 料亭・旅館などの女主人 | 辞書に載る読み。会話ではまれ |
『じょしょう、と読んだら間違い?』と心配になるかもしれません。辞書に載っている読みなので誤りではありません。
ただ、旅館で「じょしょうさん」と呼ぶ人はまずいないので、口に出す時は「おかみ」「おかみさん」と読んでおけば安心ですよ。読み方の背景は女将の読み方でも詳しく紹介しています。
「御上」とも書く、女将という言葉
実は「おかみ」は、もともと「御上」と書く言葉です。辞書では「御上」の意味のひとつとして、「女将とも書く」と説明されています。
同じ辞書の補足には、大きな宿では経営者の一族の女性が女将になり、主に接客関係をまとめる職名にもなっている、という説明もあります。
辞書では「御上」に「他人の妻をいう。おかみさん」という意味もあり、かつては商人・職人の妻に使われたとされています。お店の奥さんを親しみを込めて「おかみさん」と呼ぶのは、この流れなんです。
なぜ「女将」という漢字を当てるようになったのかは、辞書には書かれていません。語源の話は女将の語源と由来で、分かっている範囲をまとめています。
旅館の女将は何をする人?役割を4つに分けてみました
旅館の女将の仕事は、お客様の前に立つことだけではありません。この記事では、女将の役割を「迎える」「整える」「つなぐ」「守る」の4つに分けて見ていきます。
『女将って、玄関でお辞儀をしている人でしょ?』というイメージを持つ方も多いですよね。それも大事な仕事のひとつです。
でも、お客様から見える時間は、女将の1日のごく一部なんです。見えないところで宿全体を整え、人と人をつなぎ、宿ののれんを守っています。

| 役割 | どんなことをするか | お客様から見えるか |
|---|---|---|
| 迎える | お出迎え・お見送り、客室へのご挨拶、お客様の要望を聞く | よく見える |
| 整える | 玄関や客室のしつらえ、花、館内の清潔さ、身だしなみの確認 | 一部が見える |
| つなぐ | 仲居・調理場・帳場との連絡、常連のお客様との手紙のやりとり | ほとんど見えない |
| 守る | 宿の方針や味を守る、従業員を育てる、経営や地域とのつきあい | ほとんど見えない |
迎える:宿の顔としてお客様と向き合う
いちばん目に見えるのが「迎える」役割です。玄関でのお出迎え、夕食時の客室へのご挨拶、出発の朝のお見送りなどがここに入ります。
例えば、夕食の時間に客室を回って、こんなひと言をかけることがあります。
「本日はようこそお越しくださいました。女将の〇〇でございます。何かございましたら、どうぞお気軽にお申しつけくださいませ」
挨拶の言葉を場面別に知りたい方は、女将の挨拶の例文も見てみてください。
整える:お客様が来る前の準備
お客様が玄関を入った時に「いい宿だな」と感じるのは、その前の準備があるからです。玄関の花、客室の掛け軸、廊下の明かりなど、女将が目を配るところはたくさんあります。
着物を整え、髪をまとめ、立ち居振る舞いを整えることも、この「整える」に入ります。
つなぐ:お客様と宿の中の人をつなぐ
女将は、仲居・調理場・帳場(フロント)のあいだに立つ役割も持っています。『お祝いの旅行で来られたお客様がいる』と聞けば、調理場や仲居に伝えて、宿全体で迎える準備をします。
お客様の好みや記念日を覚えておき、次の来館につなげるのも大切な仕事なんです。
守る:宿ののれんと人を守る
最後の「守る」は、外からは見えにくい役割です。宿の方針や料理の味、季節の行事を受け継ぎ、従業員を育て、困ったことが起きた時には前に出ます。
宿によっては、女将が経営者として予約や売上、地域のつきあいまで担うこともあります。
- お客様の前に立つ場面がどれくらいあるか
- 仲居や調理場への指示を誰が出しているか
- 予約や帳場の仕事に女将が関わっているか
- 経営の判断を女将がしているか、社長や支配人がしているか
- 地域の集まりや組合に女将が出ているか
この4つの割合は、宿の大きさや家ごとの方針でかなり違います。仕事の中身をもっと具体的に知りたい方は女将の仕事内容を読んでみてください。
女将の1日のどこで、どの役割をしている?
朝はお見送り、昼は準備と打ち合わせ、夕方からはお出迎えと客室へのご挨拶。場面ごとに4つの役割が入れ替わりながら続きます。
『女将さんって、1日中ずっと玄関にいるの?』と思う方もいますよね。実際は、時間帯によってやることがかなり違うんです。
ここでは一般的な旅館を例に、1日の流れの中でどの役割をしているかを表にしました。時間は宿によって違うので、時刻ではなく場面で並べています。
| 1日の場面 | 女将のしていることの例 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 朝食の時間帯 | 食事処や客室で朝のご挨拶、出発の準備をうかがう | 迎える |
| 出発の時間帯 | 玄関でのお見送り、またのお越しをお願いするひと言 | 迎える・守る |
| 昼前後 | 客室や玄関の点検、花の入れ替え、仲居との打ち合わせ | 整える・つなぐ |
| 昼から夕方 | 予約の確認、お礼状や季節の便り、帳場の仕事 | つなぐ・守る |
| 到着の時間帯 | 玄関でのお出迎え、客室へのご案内の見守り | 迎える |
| 夕食の時間帯 | 客室や食事処へのご挨拶、要望やお祝いの確認 | 迎える・つなぐ |
| 夜 | 翌日の予約や団体の確認、従業員への伝達 | 守る・つなぐ |
1日の流れをもっと細かく知りたい方は女将の1日で紹介しています。
宿によっては、女将が夕食の挨拶回りをしないこともあります。お客様の過ごし方を大切にして、あえて客室に入らない宿もあるんです。
若女将・大女将・仲居・支配人とはどう違う?
女将は宿の女主人としてまとめ役を担う立場です。若女将は次の女将として学んでいる段階の人、大女将は先代の女将を指すのが一般的です。
旅館には、女将のほかにもいろいろな呼び名があります。『仲居さんと女将さんって、どう違うの?』と迷いますよね。
辞書では、仲居は「旅館や料亭などで客の接待をする女性」と説明されています。女将が宿全体をまとめるのに対し、仲居は客室でお客様のお世話をする役割です。

| 呼び名 | 一般的な立場 | 女将との関係 |
|---|---|---|
| 女将 | 宿の女主人。接客のまとめ役 | 本人 |
| 若女将 | 次の女将として学んでいる段階の人 | 女将のもとで仕事を覚える |
| 大女将 | 先代の女将 | 女将に役目を譲った後も宿を支えることがある |
| 仲居 | 客室でお客様のお世話をする人 | 女将の方針のもとで動く |
| 支配人・番頭 | 営業や館内の運営を取りしきる人 | 宿によって女将と役割を分ける |
若女将は、辞書の用例に「若お上」があり、「多くの場合は次期の女将として研鑽を積んでいる段階の者」と説明する辞書もあります。くわしくは若女将とはで紹介しています。
支配人は、辞書では「営業主に代わって営業全般を取りしきる者」です。旅館の役職の関係は旅館の役職と組織で、図と表にまとめています。
- 宿の女主人として全体をまとめる
- お客様への挨拶やお見送りに立つ
- 従業員を育て、宿の方針を守る
- 担当の客室でお客様のお世話をする
- 配膳や客室の準備をする
- 女将や上の人の方針のもとで動く
女将さん・おかみさんと呼ぶのは失礼?
旅館の女将に「女将さん」と声をかけるのは、失礼ではありません。お客様からの呼びかけとして、ごく自然な言い方です。
ただ、相手が名乗った時は「〇〇さん」と名前で呼んでもかまいません。呼び方の使い分けは女将さんとは?で紹介しています。
旅館以外にもいる「女将」たち
辞書には、旅館のほか料亭・料理屋・居酒屋・待合などの女主人が挙がっています。小料理屋や居酒屋の女主人も、親しみを込めて女将さんと呼ばれます。
『女将って、旅館だけの呼び方じゃないの?』と思った方もいるかもしれません。実は、女将と呼ばれる人は旅館以外にもたくさんいるんです。
| 場所 | 女将と呼ばれる人 | 旅館の女将との違い |
|---|---|---|
| 温泉宿・旅館 | 宿の女主人。接客のまとめ役 | 宿泊のお客様を朝まで迎える |
| 料亭 | 料亭の女主人。座敷の取りしきり | 宿泊はなく、会食の場を整える |
| 小料理屋・割烹 | お店の女主人。カウンターに立つことも | 少人数で料理とお酒を出す |
| 居酒屋 | お店を切り盛りする女性 | 気軽な雰囲気で常連客を迎える |
| 相撲部屋 | 師匠夫人の「おかみさん」 | 宿ではなく、力士の暮らしを支える |
相撲部屋のおかみさんは、金銭面の管理や激励会などの手配、後援者とのつきあい、力士たちの母親役やしつけ役も務めると紹介されています。宿の女将とは仕事の中身が違いますが、人を迎えて支える点は共通していますよね。
業態ごとの違いは料亭の女将とは?や相撲部屋のおかみさんで詳しく紹介しています。
英語では何という?
女将を英語で言う時、和英辞典には「landlady」「proprietress」「hostess」などが載っています。旅館の女将なら「landlady」、経営者という意味を出すなら「proprietress」が使いやすい言葉です。
和英辞典によっては「madam」を別の意味の訳として載せています。旅館の女将の説明には使わないほうが無難です。
外国人のお客様への自己紹介の言い方は、女将は英語で何という?で例文つきで紹介しています。
数字で見る、女将がいる「宿」の今
今の旅館業法では、旅館とホテルは「旅館・ホテル営業」としてひとつの種類にまとめられています。そのため、女将がいる宿だけの数は統計では分かりません。
旅館業法では、旅館業を「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」に分けています。旅館営業とホテル営業は、2018年(平成30年)6月15日施行の改正で統合されました。
厚生労働省の衛生行政報告例によると、令和6年度末の旅館・ホテル営業は52,946施設でした。旅館業全体では98,338施設です。
| 年度末 | 旅館・ホテル営業の施設数 |
|---|---|
| 令和2年度 | 50,703 |
| 令和3年度 | 50,523 |
| 令和4年度 | 50,321 |
| 令和5年度 | 51,038 |
| 令和6年度 | 52,946 |
出典は厚生労働省「令和6年度衛生行政報告例の概況」です。この中から、女将がいる宿の数だけを取り出すことはできません。
観光庁の宿泊旅行統計調査(2025年・確定値)では、旅館の客室稼働率は38.2%でした。リゾートホテルは56.9%、ビジネスホテルは75.3%です。
家族で受け継ぐ宿が多い
観光庁の検討会資料では、宿泊業の課題として「家業的な経営形態」が挙げられ、家業として経営を受け継ぐ旅館が多いと書かれています。女将という立場が家族の中で受け継がれやすいのは、こうした背景もあるんです。
今は、女将という役職を置かない宿や、男性の経営者・支配人がお客様の前に立つ宿もあります。女将の形は、宿の大きさや方針に合わせていろいろなんです。
一般社団法人日本旅館協会には、会員・従業員・女将に対する表彰制度があると協会概要に書かれています。女将という立場が、業界の中でもひとつの役目として見られていることが分かりますね。
女将についてよくある相談
質問サイトにも、女将についての質問がたくさん寄せられています。閲覧の多いものから、この記事のテーマに合う3つを選んでお答えしますね。
宿に泊まって、女将さんと仲居さんがどう違うのか分からなかった、という質問です。
女将は宿の女主人として全体をまとめる立場で、仲居は客室でお客様のお世話をする立場です。着物を着ているので見分けにくいですよね。
挨拶の時に「女将の〇〇でございます」と名乗ることが多いので、そこで分かることもありますよ。
女将さん自身が配膳や案内をすることはあるのか、という質問です。
宿の大きさによって違います。部屋数の少ない家族経営の宿では、女将が配膳や布団の準備まで自分でしていることもあります。
一方、従業員の多い宿では、女将は挨拶やまとめ役に回り、お世話は仲居が担当するのが一般的です。
若女将という呼び方に年齢の決まりがあるのか、という質問です。
若女将に年齢の決まりはありません。辞書でも「相対的に若く」「次期の女将として研鑽を積んでいる段階」と説明されていて、年齢ではなく立場を表す言葉なんです。
ですから、大女将や女将がいて次の代を担う段階なら、年齢にかかわらず若女将と呼ばれることがあります。
女将の仕事に興味が出たら
家業を継ぐ、旅館の家に嫁ぐ、従業員として働いて任される、自分で店を開くなど、女将になる道はいくつかあります。まずは旅館の仕事を知ることから始めても大丈夫です。
ここまで読んで、『女将の仕事、ちょっと興味があるかも』と感じた方もいるかもしれません。女将になるのに決まった国家資格はなく、まず旅館で働いて仕事を覚える人もいます。
いきなり女将を目指さなくても、仲居やフロントとして宿の仕事を経験すると、女将が何をしているのかがよく見えてきますよ。
- 女将の仕事内容と1日の流れを知る
- 旅館で働く仕事の種類(仲居・フロント・調理など)を調べる
- ハローワークや求人サイト、宿の公式サイトで募集を見てみる
- 気になる宿の働き方(中抜けの有無・休日)を確かめる
- 相談先を使って、自分に合う宿を探す
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女将になるまでの道のりは女将になるにはで、4つの道を比べながら紹介しています。
よくある質問
女将とはどういう意味ですか?
辞書では、料亭・旅館などの女主人と説明されています。旅館ではお客様のおもてなしと、館内のまとめ役を担う立場を指すのが一般的です。
女将の読み方は「おかみ」だけですか?
辞書には「おかみ」「じょしょう」「にょしょう」の3つが載っています。ふだんの会話や旅館では「おかみ」と読むのが一般的です。
温泉宿の女将と料亭の女将は違いますか?
どちらもお店や宿の女主人という点は同じです。温泉宿の女将は宿泊のお客様を朝まで迎え、料亭の女将は会食の座敷を取りしきる、という違いがあります。
女将は女性でなければいけないのですか?
女将は辞書で女主人と説明される言葉です。ただ、今は女将を置かない宿や、男性の経営者・支配人がお客様の前に立つ宿もあり、宿によって形はさまざまです。
女将になるのに資格は必要ですか?
女将になる条件として決まった国家資格はありません。着付けや接遇の検定など、仕事に役立つ資格はあります。
まとめ
- 女将とは、旅館・料亭などの客商売の家の女主人のこと
- 読み方は「おかみ」が一般的で、辞書には「じょしょう」「にょしょう」も載る
- 旅館の女将の役割は「迎える・整える・つなぐ・守る」の4つに分けられる
- 若女将は次の女将として学ぶ段階の人、大女将は先代の女将、仲居は客室でお世話をする人
- 女将の形は宿の大きさや方針で違い、女将を置かない宿もある





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