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旅館に泊まった時や、行きつけのお店で、『女将さんって呼んでいいのかな? おかみさんの方が親しげ?』と迷ったことはありませんか。手紙を書く時に、宛名をどうすればいいか手が止まる方も多いはずです。
結論から言うと、女将さんは、旅館や料亭などの女主人を敬いと親しみをこめて呼ぶ言い方です。お客様が「女将さん」と呼びかけるのは失礼ではありませんし、手紙なら「女将様」と書けば落ち着きます。
この記事を読むと、おかみさん・奥さん・女主人との違いと、立場ごとの呼び方の例文が分かります。
女将さんとは?言葉の意味をひと言で
女将さんとは、旅館・料亭・料理屋・居酒屋などの女主人を、親しみをこめて呼ぶ言い方です。読みは「おかみさん」で、お店の奥さんを指す時にも使われます。
まず、女将さんの意味から確かめておきましょう。国語辞典では、「おかみ」は旅館・料理屋・居酒屋などの女主人のことで、「女将」とも書くと説明されています。
そこに「さん」をつけたのが女将さんです。お客様や近所の人が、女主人に声をかける時の呼び方として定着しているんですね。
女将さんの意味は2つある
和英辞典を見ると、「女将さん(おかみさん)」には大きく2つの意味が載っています。
| 意味 | 辞書の訳語 | 使われる場面の例 |
|---|---|---|
| 女主人 | proprietress、landlady、hostess | 旅館・料亭・お店の女主人への呼びかけ |
| 家の奥さん | missus | 商店や職人の家の奥さんへの呼びかけ |
同じ辞書には、もとは敬った言い方で、かな書きが多い親しみをこめた表現、という注もついています。かしこまりすぎず、でも敬意はこもっている。そんな距離感の言葉なんです。
おかみさんとは?かな書きの時の意味
おかみさんとは、女将さんをかなで書いた形です。読みも意味も同じで、お上さん・お内儀さん・御上さん・御内儀さんと書くこともあります。
国語辞典では、御上の意味のひとつに「他人の妻をいう。おかみさん」があり、かつては商人・職人の妻に使われたとも書かれています。ですから「おかみさん」とかなで書くと、お店の奥さんを指す感じが少し強くなります。
女将さん・おかみさん・奥さん・女主人はどう違う?
4つの言葉は、どれも「お店や宿を支える女性」を指すことがあります。違いが出るのは、相手との距離と、話し言葉か書き言葉かです。
『おかみさんと奥さん、どっちで呼べばいいの?』と迷う場面、意外と多いですよね。ここでは4つの言葉を、相手との関係・場面・丁寧さで比べてみました。
| 言葉 | 相手との関係 | よく使う場面 | 丁寧さの感じ |
|---|---|---|---|
| 女将さん | お客様・取引先から、宿や店の女主人へ | 旅館・料亭・小料理屋での呼びかけ | 敬意と親しみの両方がある |
| おかみさん | 常連客や近所の人から、店の奥さん・女主人へ | 商店・食堂・相撲部屋など | 親しみが強い。くだけた感じ |
| 奥さん | 誰からでも、その家の妻へ | 店主の妻、近所づきあい | ふつう。女主人としての立場は含まない |
| 女主人 | 説明する側から | 文章・紹介文・辞書の説明 | 呼びかけには使わない |

女将さんと奥さんはどう使い分ける?
女将さんと奥さんの違いは、その人を「お店の女主人」として見るか、「店主の妻」として見るかです。
例えば、ご夫婦で営む食堂で、ご主人が厨房、奥さんが接客を切り盛りしているとします。お客様として声をかけるなら、「女将さん」でも「奥さん」でも失礼にはなりません。
ただ、その女性がお店の顔として接客をまとめているなら、「女将さん」の方がしっくりきます。旅館や料亭では、女将という役目そのものがあるので「奥さん」とはあまり呼びません。
- 旅館や料亭の女主人に声をかける
- お店を切り盛りする女性にお礼を言う
- 宿の人から「女将の〇〇です」と名乗られた
- お店に女将という役目がない
- 店主の家族として話しかける
- 近所づきあいの中で声をかける
女主人は文章で使う言葉
女主人は、辞書や紹介文で使われる説明の言葉です。大きな国語辞典では「おんなあるじ」と同じ意味とされています。
「この宿の女主人が…」と文章には書いても、本人に「女主人さん」と呼びかける人はまずいませんよね。呼びかけには、女将さんか名前を使いましょう。
例えば、旅行の感想をブログや手紙に書く時なら、「宿を切り盛りする女主人の心配りが…」のように使えます。本人に向けた言葉ではなく、第三者に宿のことを伝える時の言葉だと覚えておくと、使い分けで迷いません。
言い換えの言葉をもっと知りたい方は、女将の言い換え・類語で内儀やママとの違いも紹介しています。
旅館以外でも使われる「おかみさん」
旅館や料亭だけでなく、小料理屋や居酒屋、相撲部屋でも「おかみさん」という呼び方が使われています。どれも、場を支える女性への敬意と親しみがこもった呼び方です。
『おかみさんって、旅館の人だけじゃないの?』と思った方もいますよね。実は、いろいろな場所で使われている呼び方なんです。
相撲部屋のおかみさん
相撲部屋では、師匠の夫人を「おかみさん」と呼びます。部屋のお金の管理や激励会などの手配、後援者とのつきあいをしながら、力士たちの母親役やしつけ役も務めると紹介されています。
宿の女将とは仕事の中身が違いますが、大勢の人を支える立場という点はよく似ていますよね。くわしくは相撲部屋のおかみさんで紹介しています。
商店のおかみさん
国語辞典には、おかみさんは、かつて商人・職人の妻に使われたと書かれています。八百屋さんやお菓子屋さんで、店先に立つ奥さんを「おかみさん」と呼ぶのは、この使い方なんです。
この場合の「おかみさん」は、旅館の女将のような役職ではありません。お店を一緒に切り盛りしている家族への、親しみをこめた呼びかけです。
小料理屋や居酒屋の女将さん
カウンターに立つ小料理屋や居酒屋の女主人も、親しみをこめて女将さんと呼ばれます。常連のお客様が「女将さん、いつもの」と声をかける光景は、なじみのある方も多いはずです。
初めてのお店なら、まず「お邪魔します」と挨拶してから、話の流れで「女将さん」と呼ぶと自然です。居酒屋の女将さんのいるお店の楽しみ方は、居酒屋の女将で紹介しています。
女将の呼び方と敬称|立場ごとの例文
口で呼ぶ時は「女将さん」、手紙やメールの宛名では「女将 〇〇様」と書くのが一般的です。宿の従業員がお客様に話す時は、身内なので「さん」をつけません。
女将の呼び方は、自分がどの立場かで変わります。ここでは、宿泊客・取引先・従業員の3つの立場に分けて、例文を並べてみました。

宿泊客が女将さんを呼ぶ時
お客様の立場なら、「女将さん」と呼べば十分丁寧です。名乗ってもらった時は、名前で呼んでもかまいません。
| 場面 | 例文 |
|---|---|
| 到着してご挨拶を受けた | 「女将さん、今日はお世話になります」 |
| 夕食の席でお礼を言う | 「女将さん、お料理がとてもおいしかったです」 |
| 名乗ってもらった後 | 「〇〇さん、ありがとうございます」 |
| お見送りの時 | 「女将さん、また寄らせてもらいますね」 |
『わざわざ呼びかけるのは図々しいかな』と遠慮する方もいますよね。ひと言お礼を伝えると、宿の人も喜んでくれることが多いですよ。
話しかけるきっかけに迷ったら、宿のしつらえや料理のことを話題にしてみてください。例えば、こんなやりとりなら自然に会話が始まります。
「女将さん、玄関のお花がとてもきれいですね」
「ありがとうございます。今朝、庭で咲いたものを生けたんですよ」
宿の人が手をかけているところに気づいてひと言添えると、呼び方以上に気持ちが伝わります。
取引先・業者が呼ぶ時
取引先の立場で、電話や打ち合わせで話す時も「女将さん」で問題ありません。少し改まった場では「女将の〇〇様」と名前を添えると丁寧です。
手紙やメールでは、敬称を「様」にします。
| 書くもの | 宛名・書き出しの例 |
|---|---|
| 封筒の宛名 | 「〇〇旅館 女将 〇〇様」 |
| メールの宛名 | 「〇〇旅館 女将 〇〇様」 |
| 本文の書き出し | 「女将様にはいつもお心配りをいただき、ありがとうございます」 |
| 名前が分からない時 | 「〇〇旅館 女将様」 |
宛名に「女将さん様」と書くと、敬称が重なってしまいます。肩書きの「女将」の後に名前を書き、その後に「様」をつけるのが落ち着いた形です。
お礼の手紙をていねいに書きたい方は、女将のお礼状の書き方の文例も参考にしてみてください。
電話で女将さんにつないでもらう時
宿に電話して女将さんと話したい時は、まず自分の名前と用件を伝えてから取り次ぎをお願いします。いきなり「女将さんいますか」と聞くより、ひと呼吸おくと丁寧ですよ。
| 場面 | 例文 |
|---|---|
| 取り次ぎをお願いする | 「〇〇と申します。恐れ入りますが、女将の〇〇様はいらっしゃいますか」 |
| 不在だと言われた | 「では、〇〇から電話があったとお伝えいただけますか」 |
| 予約の電話の最後に | 「女将さんにも、よろしくお伝えください」 |
最後のひと言は、以前泊まってお世話になった宿に電話する時にも使いやすい言い方です。
宿の従業員が呼ぶ時
宿の中で働く人は、ふだん「女将さん」「女将」と呼ぶことが多いです。どちらにするかは、宿の習慣に合わせれば大丈夫です。
気をつけたいのは、お客様の前で話す時です。自分の宿の女将は身内なので、「さん」をつけずに話すのが一般的なんです。
| 相手 | 例文 |
|---|---|
| 女将本人に | 「女将さん、〇〇のお部屋のお客様がお着きです」 |
| お客様に | 「ただいま女将の〇〇がご挨拶にまいります」 |
| 電話で取引先に | 「あいにく女将は外出しております」 |
| 若女将・大女将がいる宿で | 「大女将、明日のお花の件でご相談があります」 |
お客様に向かって「女将さんが来られます」と言うと、身内を立てる言い方になってしまいます。「女将の〇〇がまいります」と言い換えておきましょう。
旅館で使う敬語の基本は、女将の言葉遣いでも例文つきで紹介しています。
女将さんと呼ぶのは失礼?迷った時の考え方
女将さんは、敬意と親しみをこめた呼び方です。ただ、相手が名乗った時や、若女将・大女将がいる時は、呼び分けに気を配るとより丁寧になります。
『女将さんって、ちょっと古くさい呼び方じゃない?』と気にする方もいるかもしれません。旅館や料亭では今もふつうに使われている呼び方なので、心配しすぎなくて大丈夫です。
それでも迷った時に見ておきたいポイントを、チェックリストにしました。
- 相手が「女将の〇〇です」と名乗ったか確かめる
- 名乗られたら、名前で呼んでもよいと考える
- 若女将・大女将がいる宿では、肩書きで呼び分ける
- 手紙やメールでは「女将 〇〇様」と書く
- 相手が「〇〇と呼んでください」と言ったら、その呼び方に合わせる
若女将・大女将がいる宿での呼び分け
女将が何人もいる宿では、「女将さん」だけだと誰のことか分かりにくくなります。そんな時は、「若女将」「大女将」と肩書きで呼び分けると伝わりやすいですよ。

例えば、お見送りの時にこんなふうに声をかけられます。
「大女将さん、若女将さん、本当にお世話になりました」
「こちらこそ、ありがとうございました。またお待ちしております」
若女将・大女将の立場の違いは、若女将とは?と大女将とは?で紹介しています。
避けたい呼び方の例
女将さんと呼ぶこと自体は失礼ではありませんが、呼び方の「出し方」で印象が変わることがあります。宿の人はほかのお客様の対応もしているので、少しだけ気を配ってみてください。
- 廊下の遠くから大きな声で呼ぶ
- 名乗られていないのに、下の名前で呼ぶ
- 「女将」と呼び捨てにする
- 忙しい配膳の最中に、長話で引き止める
用事がある時は、近くの仲居さんに「女将さんにお願いしたいことがあるのですが」と伝えてもらうと、スムーズに取り次いでもらえます。
英語で女将さんを説明する時
外国の方に女将さんを説明する時、和英辞典には「proprietress」「landlady」「hostess」などの訳が載っています。旅館の女将なら「landlady」、経営者という意味を出すなら「proprietress」が使いやすい言葉です。
一方で「madam」は、辞書によっては別の意味の訳として載っています。女将さんの説明に使うのは避けた方が安心です。英語での伝え方は女将は英語で何という?で例文つきで紹介しています。
女将さんの呼び方についてよくある相談
質問サイトにも、女将さんの呼び方や接し方についての相談が寄せられています。テーマに合うものを3つ選んで、要点をまとめてお答えしますね。
お世話になった相撲部屋の親方と女将さんに、お礼の手紙を出したいという相談です。
宛名は連名にして、それぞれに「様」をつけるのが一般的です。親方の名前の横に、女将さんの名前を並べて書くと丁寧になります。
女将さんの名前が分からない時は、「奥様」と書いても失礼ではありません。ただ、部屋の中では「おかみさん」と呼ばれる立場なので、名前が分かるなら名前に「様」をつけておくと安心です。
恋人のアルバイト先の女将さんに初めて会うことになり、どう振る舞えばいいか、という相談です。
『何て呼べばいいんだろう』と緊張しますよね。呼び方は、ほかのお客様と同じように「女将さん」で大丈夫です。
最初に「いつも〇〇がお世話になっています」とひと言伝えると、それだけで印象がぐっと良くなります。あとは、お店の料理やお酒を楽しんで、帰り際に「ごちそうさまでした」と伝えれば十分ですよ。
女性にだけ使う呼び方なので、失礼に当たらないか気になる、という相談です。
辞書では、女将は旅館や料亭などの女主人を指す言葉で、悪い意味は載っていません。大きな宿では、接客をまとめる職名として使われているとも書かれています。
ただ、呼ばれ方の好みは人それぞれです。相手が名前で呼ばれたいと言った時は、その気持ちに合わせるのがいちばん丁寧です。今は女将という役職を置かない宿もあり、呼び方の形もいろいろなんです。
旅館の仕事に興味を持った方へ
女将・若女将・大女将・仲居と、宿にはいろいろな立場の人がいます。呼び方を知ると、旅館の中で誰がどんな役割を担っているのかも見えてきます。
女将さんがどんな仕事をしているのかは、女将とは?意味と読み方、旅館で女将が担う役割で紹介しています。お客様として宿を楽しむだけでなく、働く側に興味がわいた方もいるかもしれません。
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ちなみに、女将さんの髪型や装いが気になった方は、女将の髪型もあわせて読んでみてください。
よくある質問
女将さんとはどういう意味ですか?
旅館・料亭・料理屋・居酒屋などの女主人を、敬いと親しみをこめて呼ぶ言い方です。お店の奥さんを指す時にも使われます。
女将さんとおかみさんは違いますか?
読みも意味も同じで、漢字で書くかかなで書くかの違いです。かなの「おかみさん」は、お店の奥さんを親しみをこめて呼ぶ感じが少し強くなります。
おかみさんとはどんな人のことですか?
旅館やお店の女主人、またはお店の奥さんを親しみをこめて呼ぶ言い方です。国語辞典では、かつては商人・職人の妻に使われたと説明されています。
女将さんと奥さんはどう使い分けますか?
その人をお店や宿の女主人として呼ぶなら「女将さん」、店主の妻として呼ぶなら「奥さん」が自然です。旅館や料亭では「女将さん」と呼ぶのが一般的です。
手紙で女将の敬称はどう書けばいいですか?
「〇〇旅館 女将 〇〇様」のように、肩書きの後に名前と「様」を書くのが一般的です。「女将さん様」と重ねて書くのは避けましょう。
まとめ
- 女将さんとは、旅館や料亭などの女主人を敬いと親しみをこめて呼ぶ言い方
- おかみさんは同じ言葉のかな書きで、お店の奥さんを指す感じが少し強い
- 奥さんは店主の妻として、女主人は文章で使う説明の言葉
- 話す時は「女将さん」、手紙では「女将 〇〇様」が基本
- 宿の従業員はお客様の前で「女将の〇〇」と、さんをつけずに話す





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