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お客様から「ちょっといいですか」と呼び止められて、ご不満を伝えられた時。『どう答えたらいいの?女将を呼ぶべき?』と頭が真っ白になった経験のある方も多いはずです。
結論から言うと、旅館のクレーム対応はまず受け止めて、事実を確かめ、その場でできる手当てをするの3つが土台です。女将が出るかどうかは、その後に決めれば間に合います。
この記事を読めば、ご指摘の種類ごとの最初のひと言と、女将が出る場面の目安、そのまま使えるお詫びの言葉が分かります。
旅館のクレーム対応、最初にすることは?
最初に大事なのは、言い訳より先に、ご不便をおかけしたことを受け止める言葉です。原因を確かめるのはその後で大丈夫です。
『自分のせいじゃないのに謝るの?』と迷うこともありますよね。ここで伝えたいのは「私が悪かった」ではなく、「お客様が嫌な思いをされたことを受け止めました」という気持ちなんです。
例えばこんなやりとりです。
「お部屋の暖房がききにくいんだけど」
「ご不便をおかけしております。すぐにお部屋へ伺って確かめます」
旅館のクレーム対応の基本の流れ
- お話を最後まで伺い、ご不便をおかけしたことを受け止める
- いつ・どこで・何があったかを確かめる
- その場でできる手当てをする(交換・お部屋の移動・作り直しなど)
- 帳場と女将に報告し、必要なら女将がご挨拶に伺う
- お見送りまでに、もう一度ご様子を伺う
- 記録に残して、宿のみんなで同じことが起きないようにする
最後の「記録に残す」は、次に同じお客様をお迎えする時にも役立ちます。お客様の情報の残し方は、顧客ノートとお客様情報の扱い方で紹介しています。
ご指摘を「設備・料理・接客・予約や料金」に分けると
ここが一番大事なところです。旅館に寄せられるご指摘は、大きく4つに分けると、最初のひと言と、女将が出るかどうかの判断がしやすくなります。
| ご指摘の種類 | 最初のひと言の例 | 確かめること | 女将が出るかの目安 |
|---|---|---|---|
| 設備(お湯が出ない、空調、汚れ) | 「ご不便をおかけしております。すぐに確かめにまいります」 | どの設備か、いつからか、ほかのお部屋も同じか | 直せない時やお部屋の移動が必要な時は女将が出る |
| 料理(味、温度、苦手な食材が出た) | 「お口に合わず、申し訳ございません。お下げしてよろしいですか」 | どのお料理か、予約時のご要望と違っていないか | ご要望の行き違いなら女将が出る |
| 接客(言葉遣い、待たされた) | 「ご不快な思いをおかけして、申し訳ございません」 | 誰が、どの場面で、どんな言葉だったか | 基本は女将が出る |
| 予約・料金(部屋や金額が違う) | 「確かめますので、少々お時間をいただけますか」 | 予約の記録、受けた時の内容、ご案内の内容 | 帳場で確かめ、宿の間違いなら女将が出る |

その場でできる手当ての例
受け止めた後は、すぐに手を動かせることがあると、お客様の気持ちも落ち着きやすくなります。宿でできることを、種類ごとに用意しておきましょう。
| ご指摘の種類 | その場でできる手当ての例 |
|---|---|
| 設備 | 予備の備品と交換する、空いているお部屋へ移っていただく、修理の目安をお伝えする |
| 料理 | 別のお料理と差し替える、温め直す、翌朝の献立でご要望をかなえる |
| 接客 | 別のスタッフが担当を代わる、女将がご挨拶に伺う |
| 予約・料金 | 予約の記録をお見せして一緒に確かめる、宿の間違いなら内容を正す |
『手当てをしても、許してもらえなかったら?』と不安になる方もいますよね。手当ては気持ちを示すためのものなので、その場でご納得いただけなくても大丈夫です。お見送りまでに、もう一度ご様子を伺いましょう。
接客へのご指摘は、本人が先に謝らない方がいいことも
接客へのご指摘は、ご指摘を受けたスタッフ本人が対応すると、お客様の気持ちが落ち着かないこともあります。そんな時は、別のスタッフや女将が代わってお話を伺うと、お互いに冷静になれますよ。
本人は、女将がお話を伺った後で、改めてお詫びに伺う形にしておくと安心です。
女将が出る場面と、女将のお詫びで大事なこと
『どこから女将を呼べばいいの?』と迷う方もいますよね。目安は、現場の担当だけでは決められないことが出てきた時です。
- お部屋の移動や、ご予定の変更が必要になった
- 同じご指摘を2度いただいた
- スタッフの言葉遣いや態度へのご指摘だった
- 予約の内容が宿の間違いで違っていた
- お客様から「責任者と話したい」と言われた
宿の規模や方針によって、支配人や番頭が出る宿もあります。誰が出るかを、ふだんから宿で決めておくと慌てずにすみます。
女将のお詫びは「受け止める・説明する・これからを伝える」
女将がお詫びに伺う時は、言葉が長くなりすぎないようにします。3つの順番で伝えると、気持ちがまっすぐ届きますよ。
| 順番 | 伝えること | 女将のお詫びの言葉の例 |
|---|---|---|
| 受け止める | ご不便やご不快を受け止める | 「女将の〇〇でございます。せっかくのご旅行に、嫌な思いをおかけしてしまいました」 |
| 説明する | 何が起きたかを短く伝える | 「確かめましたところ、ご予約の際に伺ったご要望が、調理場へ伝わっておりませんでした」 |
| これからを伝える | 今日できること・今後のこと | 「明朝のお食事は、ご要望どおりにご用意いたします。宿の中でも伝え方を見直します」 |

- 先に受け止めてから、事実を短く説明する
- 今日のうちにできることを具体的に伝える
- 担当者の名前を出さず、宿としてお詫びする
- 「普段はこんなことはないのですが」と前置きする
- 担当者のせいにする言い方をする
- できるか分からないことを、その場で約束する
お詫びの言葉の例文|対面・電話・お手紙
ご指摘は、滞在中の対面だけでなく、お帰りの後に電話やお手紙で届くこともあります。場面ごとの言い回しを持っておくと安心です。
対面でのお詫び
| 場面 | 例文 |
|---|---|
| お話を伺う時 | 「お聞かせいただき、ありがとうございます。詳しく伺ってもよろしいでしょうか」 |
| 確かめに行く時 | 「ただいま確かめてまいります。お部屋でお待ちいただけますか」 |
| 手当てをした後 | 「お部屋を変えさせていただきました。お荷物はこちらでお運びいたします」 |
| お見送りの時 | 「このたびはご不便をおかけしました。お気づかいいただき、ありがとうございました」 |
お帰りの後の電話でのお詫び
お帰りの後にお電話でご指摘をいただいた時は、まずお電話をくださったことへのお礼から始めます。
「お電話をくださり、ありがとうございます。せっかくお越しいただいたのに、残念な思いをおかけしてしまいました」
すぐに答えられない時は、折り返しの時間をお伝えしておきましょう。電話の受け方そのものは、旅館の予約電話の受け方で紹介しています。
お手紙でのお詫び
〇〇様
このたびは当館をご利用いただき、誠にありがとうございました。
ご滞在中、お部屋の設備で大変ご不便をおかけいたしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
いただいたお言葉をもとに、点検の方法を見直しました。
また当館でおくつろぎいただける日を、宿の者一同お待ちしております。
〇〇旅館 女将 〇〇
言葉遣いの基本や、クッション言葉の使い方は女将の言葉遣いも参考にしてみてください。
無理なご要望が続く時は、ひとりで抱えない
ご指摘の中には、宿としてお応えできないご要望が続くこともあります。そんな時は、現場の担当者がひとりで受け続けないことが大切です。
旅館業法では、宿は宿泊をみだりに拒まないこととされています。一方で、宿のサービスの提供を大きく妨げるような過重な負担の要求を繰り返した時は、宿泊を断れる場合があると定められています。
断る場合も、客観的な事実に基づいて判断し、求められたら理由を丁寧に説明できるようにしておくことが求められています。
その場を収めたい一心で、宿として決めていない値引きや特別な対応を約束してしまうことがあります。判断に迷ったら「確かめてまいります」と伝えて、女将や責任者に相談しましょう。
宿の中で、どんな時に誰に相談するかを決めておくと、スタッフも安心して働けます。
- ご指摘を受けた時に、最初に報告する相手
- 女将や責任者が不在の時に、代わりに判断する人
- 宿として応じられること・応じられないことの範囲
- 対応の内容を記録する場所と書き方
旅館業法では、特に配慮が必要なお客様に合ったサービスができるよう、従業者に研修の機会を設けることも宿の努めとされています。お客様のためにも、スタッフのためにも、宿の中で学ぶ時間を持っておきたいですね。
旅館のクレーム対応でよくある相談
Yahoo!知恵袋にも、旅館のクレームについての相談が寄せられています。旅館で働く人の参考になるものを3つ選んで、要点をまとめてお答えしますね。
宿泊した温泉旅館の対応が残念だった。帰ってきた後でも、宿に気持ちを伝えてよいのか、どう伝えればいいのか、という相談です。
宿の側から言うと、お帰りの後でも伝えていただけるのはありがたいことです。何があったかが分かれば、同じことを繰り返さずにすみます。
伝える時は、日付とお部屋、何があったかを短く書いていただくと、宿も確かめやすくなります。宿の側は、まずお礼から始めて、確かめた内容をお返事するのが丁寧です。
旅館で働き始めて数か月。お客様からのご指摘にうまく答えられず、どうすればいいか、という相談です。
最初からうまくできる人はいません。まずは「受け止めるひと言」と「確かめてまいります」の2つだけ覚えておけば十分です。
その先の判断は、先輩や帳場、女将に任せて大丈夫ですよ。ひとりで答えを出そうとしないことが、いちばんの近道なんです。
ホテルや旅館で働いていて、お部屋に虫が出たのでお部屋を変えてほしいと言われた時、どうすればいいか、という相談です。
まずは「驚かせてしまい、申し訳ございません」と受け止めて、すぐにお部屋へ伺います。空いているお部屋があれば、移っていただけるか女将や帳場に相談しましょう。
満室で移れない時は、お部屋をすぐに確かめて手当てをし、その様子をお客様にお伝えします。
旅館の仕事に興味が出てきたら
クレーム対応を学ぶうちに、お客様と向き合う旅館の仕事そのものに関心が出てきた方もいるかもしれません。女将の仕事に興味が出て、まず旅館で働いてみたくなった時は、宿泊業界の仕事を探す相談先を使う方法もあります。
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女将がふだんお客様にかける挨拶の言葉は、女将の挨拶でも紹介しています。
よくある質問
旅館のクレーム対応で、最初に言うべき言葉は何ですか?
「ご不便をおかけしております」のように、お客様が嫌な思いをされたことを受け止める言葉から始めます。原因の説明はその後で十分です。
クレームの時、女将はいつ出てくるのですか?
お部屋の移動が必要な時、接客へのご指摘、予約の行き違いなど、現場の担当だけでは決められない時が目安です。宿によって支配人や番頭が出ることもあります。
女将のお詫びで気をつけることは何ですか?
受け止める、短く説明する、これからを伝えるの順番で話すことです。担当者のせいにせず、宿としてお詫びします。
旅館は無理な要求をするお客様を断れますか?
旅館業法では、宿はみだりに宿泊を拒まないこととされています。ただし過重な負担の要求を繰り返した時などは断れる場合があり、その時も理由を丁寧に説明できるようにしておきます。
まとめ
- 旅館のクレーム対応は、受け止める・確かめる・その場で手当てするの3つが土台
- ご指摘を設備・料理・接客・予約や料金に分けると、最初のひと言が決めやすい
- 女将が出るのは、現場の担当だけでは決められないことが出てきた時
- 女将のお詫びは、受け止める・説明する・これからを伝えるの順番で
- 無理なご要望が続く時は、ひとりで抱えず女将や責任者に相談する





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