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予約の名前を見て、海外からのお客様だと気づいた時。『英語、ほとんど話せないけど大丈夫かな』と不安になる旅館の方も多いはずです。
結論から言うと、旅館の英語は短いひと言と、指差し・絵・案内書の組み合わせで十分伝わります。長い文を話せなくても、場面ごとに使う言葉を決めておけば困りません。
この記事を読めば、到着からお見送りまでの5つの場面で使える英語フレーズと、言葉以外で伝える工夫、前もって準備しておきたいことが分かります。
旅館の外国人対応、まず準備しておきたいこと
外国人のお客様への対応は、話す力より準備で決まります。よく聞かれることを案内書にまとめ、場面ごとのひと言をスタッフでそろえておくと、当日はずっと楽になります。
観光庁の宿泊旅行統計調査によると、2025年の外国人の延べ宿泊者数は1億7,992万人泊でした。温泉地や地方の小さな宿でも、海外からのお客様をお迎えする機会は身近になっていますよね。
『うちは家族だけでやっている宿だから』と思う方もいるかもしれません。実は、小さな宿ほど女将や家族が直接お迎えするので、ひと言の準備がそのまま喜ばれやすいんです。
予約が入った時に確かめておきたいこと
- 到着の予定時間と、交通手段(駅からの送迎が必要か)
- 食べられない食材や、食事の習慣のご希望
- お部屋のご希望(和室の布団か、ベッドのあるお部屋か)
- 大浴場を使うか、お部屋のお風呂がよいか
- 連絡に使うメールアドレスや、話せる言語
予約の時点で分かっていれば、当日にあわてることがぐっと減ります。予約のメールに、短い英語の質問を添えておくのもおすすめです。
| 予約のメールに添える質問 | 日本語の意味 |
|---|---|
| What time will you arrive? | 何時ごろご到着ですか |
| Is there any food you cannot eat? | 召し上がれない食材はありますか |
| Would you like a futon room or a bed room? | 布団のお部屋とベッドのお部屋、どちらがよいですか |
| Do you need a pick-up from the station? | 駅からの送迎は必要ですか |
観光庁が公開している資料も使える
観光庁は、外国人目線で案内を分かりやすくするための「多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」を2014年に策定しています。美術館や観光地、公共交通などを対象にした、分野共通のガイドラインです。
館内の案内表示を見直す時の考え方として、目を通しておくと参考になりますよ。
到着・客室・大浴場・食事・お見送り、5つの場面の英語フレーズ
ここが一番大事なところです。旅館で外国人のお客様と話す場面は、大きく5つに分けられます。場面ごとに、短い英語と言葉以外の工夫をセットで用意しておきましょう。
| 場面 | 短い英語フレーズ | 言葉以外で伝える工夫 |
|---|---|---|
| 到着 | Please take off your shoes here. | 靴を脱ぐ場所を手で示し、スリッパをそろえて置く |
| 客室の説明 | This is your yukata. You can wear it inside the ryokan. | 浴衣の着方の絵を客室に置いておく |
| 大浴場 | Please wash your body before you get in. | 入浴の順番を絵で示した案内を脱衣所に貼る |
| 食事 | Dinner is ready. Please come with me. | 献立に絵や写真を添え、食べ方を身ぶりで見せる |
| お見送り | Please check you have everything. | 忘れ物がないか、お部屋の方を指差して確かめる |

ここから、場面ごとにもう少し詳しく見ていきますね。
到着:玄関とお部屋へのご案内
到着の場面では、まず靴を脱ぐことと、宿泊の登録をお願いします。玄関で戸惑われるお客様は少なくないので、靴を脱ぐ場所は手で示すと伝わりやすいです。
| 伝えたいこと | 英語フレーズ |
|---|---|
| 名前を伺う | May I have your name, please? |
| 用紙への記入をお願いする | Could you fill in this form, please? |
| パスポートを見せてもらう | May I see your passport, please? |
| 靴を脱いでもらう | Please take off your shoes here. |
| お部屋へご案内する | Let me show you to your room. |
観光庁のモデル宿泊約款では、日本国内に住所のない外国人のお客様には、国籍と旅券番号を登録していただくことになっています。宿の決まりに合わせて、確かめる手順を決めておきましょう。
お出迎えの作法や、玄関での気配りそのものは女将の挨拶で場面別に紹介しています。
客室の説明:浴衣・布団・お茶
客室では、浴衣と布団、お茶の説明がよく必要になります。海外のお客様にとっては、どれも初めてということもありますよね。
浴衣は、自分から見て左側の衽(おくみ)を上にして着るのが普通の着方です。英語では次のように伝えられます。
「Please wrap the left side over the right side.」
「Left over right? Like this?」
「Yes, that’s right. It looks very nice.」
| 伝えたいこと | 英語フレーズ |
|---|---|
| 浴衣の着方 | Please wrap the left side over the right side. |
| 浴衣で館内を歩ける | You can wear it in the hallway and at dinner. |
| 布団を敷く時間 | We will lay out your futon while you are at dinner. |
| お茶とお菓子 | Please enjoy the green tea and the sweets. |
| 困った時の連絡 | Please dial the front desk from this phone. |
寒い季節は、浴衣の上に丹前を重ねて着ることも、絵で見せると分かりやすいです。

大浴場:入り方の流れを伝える
大浴場は、外国人のお客様が一番戸惑いやすい場所かもしれません。入り方は宿によって違うので、自分の宿の決まりを短い英語にしておきましょう。
- 男湯・女湯の入口の色やのれんの場所を伝える
- 脱衣所で服を脱ぎ、かごに入れることを伝える
- 湯船に入る前に、洗い場で体を洗うことを伝える
- タオルの扱いなど、宿の決まりを伝える
- 入浴できる時間を伝える
| 伝えたいこと | 英語フレーズ |
|---|---|
| 入口の見分け方 | The red curtain is for women. The blue curtain is for men. |
| 体を先に洗う | Please wash your body before you get in. |
| タオルの扱い | Please do not put your towel in the bath water. |
| 入浴できる時間 | The bath is open until (time). |
入口ののれんの色は宿によって違うので、自分の宿に合わせて言い換えてくださいね。入浴のマナーをお客様向けにまとめた話は、旅館のマナーでも紹介しています。
食事:献立と食べ方を伝える
食事の場面では、料理の名前より「どう食べるか」を伝える方が喜ばれます。例えばこんなやりとりです。
「This is grilled fish from the river. Please eat it with this salt.」
「Thank you. Can I eat the head too?」
「Yes, you can. But please be careful of the bones.」
| 伝えたいこと | 英語フレーズ |
|---|---|
| 食事の用意ができた | Dinner is ready. Please come with me. |
| 食べ方 | Please dip it in this sauce. |
| 熱い器 | This plate is hot. Please be careful. |
| 飲み物を伺う | Would you like something to drink? |
| 量の確認 | Would you like more rice? |
お見送り:忘れ物と道案内
お見送りでは、忘れ物の確認と、次の行き先への道案内がよく必要になります。
| 伝えたいこと | 英語フレーズ |
|---|---|
| 忘れ物の確認 | Please check you have everything. |
| 滞在の感想を伺う | Did you enjoy your stay? |
| 駅までの道 | The station is this way. It takes about (time) on foot. |
| また来てほしい | Please come again in autumn. The leaves are beautiful. |
最後のひと言は、宿の季節の景色を入れると印象に残ります。宿のまわりで一番きれいな季節を、英語で言えるようにしておくといいですよ。
言葉以外で伝える工夫|指差し・絵・案内書
『英語のフレーズを覚えても、聞き返されたら答えられない』という方も多いはずです。そんな時に頼りになるのが、言葉以外で伝える道具なんです。
| 道具 | 使い方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 指差しシート | 日本語と英語を並べた紙を見せ、お客様に指で選んでもらう | 食事の量、お部屋の困りごと |
| 絵や図 | 浴衣の着方、入浴の順番を絵で示す | 客室、大浴場の脱衣所 |
| 案内書 | 館内の決まりや時間を、短い英語でまとめておく | 客室、帳場 |
| 地図 | 駅や周辺のお店までの道を描いた手書きの地図 | 到着時、お見送り |
| 翻訳の道具 | 端末の翻訳機能で、長い説明をやりとりする | 込み入ったご相談 |
指差しシートの作り方
- よく聞かれることを、スタッフで書き出す
- 日本語と短い英語を左右に並べる
- 絵やアイコンを添えて、言葉が分からなくても分かるようにする
- 帳場と客室に1枚ずつ置いておく
- 使ってみて伝わりにくかった項目を、書き直していく

案内書に入れておきたい項目
- 夕食と朝食の時間と場所
- 大浴場の入り方と、入浴できる時間
- 浴衣の着方の絵
- 布団を敷く時間と、上げる時間
- 帳場への電話のかけ方
- チェックアウトの時間
案内書の英語は、長い文より短い文の方が伝わります。「Breakfast: (time) / Dining room」のように、時間と場所だけを並べる書き方もおすすめです。
館内の決まりを、到着の玄関で一度に全部説明してしまうことがあります。長旅で疲れているお客様には、玄関では靴とお部屋のことだけ伝えて、残りは客室の案内書に任せましょう。
食事の習慣や文化への配慮はどうする?
外国人のお客様の中には、食べられない食材があったり、食事の習慣が違ったりする方もいます。大切なのは、宿の側で決めつけずに、予約の段階で伺っておくことです。
観光庁は、飲食店や宿泊施設の関係者向けに「多様な食文化・食習慣を有する外国人客への対応マニュアル」を公開しています。国や地域ごとの食文化・食習慣をまとめたデータベース編もあり、献立を考える時の参考になります。
ほかにも観光庁は、「ベジタリアン・ヴィーガン/ムスリム旅行者おもてなしガイド」などの資料を公開しています。宿で対応できる範囲を考える時に、目を通しておくと安心ですよ。
できること・できないことを正直に伝える
| 伺った時の答え方 | 英語フレーズの例 |
|---|---|
| 対応できる時 | We can prepare a meal without meat. |
| 一部だけ対応できる時 | We can remove the meat, but the soup has fish stock. |
| 対応が難しい時 | I’m sorry, we cannot prepare that. Would this be all right? |
| 材料を確かめる時 | Let me check the ingredients with our chef. |
『できないと言ったら、がっかりさせてしまうかも』と思いますよね。ただ、何が入っているかを正直に伝えておく方が、お客様は安心して選べます。
どこまで対応できるかは、宿の規模や調理場の体制で違います。対応できる内容を前もって決めておき、予約の時にお伝えしておくと、当日の行き違いを防げます。
日本旅館協会の会員資格基準でも、お客様それぞれの価値観や文化、地域の慣習などの多様性に配慮し、価値観の押し付けによる差別や排除をしないことが求められています。
女将や宿のスタッフは、英語をどこまで話せればいい?
『女将なら英語がペラペラでないといけない?』と心配になる方もいますよね。結論から言うと、その必要はありません。
日本旅館協会の英語サイトでも、旅館の魅力は「おもてなし(Japanese-style hospitality)」と「和(harmony)」の雰囲気として紹介されています。流ちょうな英語より、笑顔と身ぶり、ていねいな手当ての方が旅館らしさとして伝わるんです。
英語に自信がない時の助け舟フレーズ
| こんな時 | 英語フレーズ |
|---|---|
| 少し待ってほしい | One moment, please. I’ll be right back. |
| もう一度言ってほしい | Could you say that again slowly? |
| 書いてほしい | Could you write it down, please? |
| 英語の分かる人を呼ぶ | Let me call someone who speaks English. |
| 分かったと伝える | I understand. I’ll take care of it. |
この5つを覚えておけば、言葉に詰まっても落ち着いて次の手を打てます。女将という呼び名を英語でどう伝えるかは、女将は英語で何という?で紹介しています。
宿の中で英語をそろえる
- 場面ごとのひと言を、スタッフ全員で同じ英語にする
- 案内書と指差しシートを、帳場と客室に置く
- 英語が得意なスタッフに、困った時に頼れるようにしておく
- 人によって説明が違い、お客様が迷う
- 案内書が古いまま、時間が変わっている
- 英語の得意な人だけに、対応が集まってしまう
旅館業法では、特に配慮が必要なお客様に合ったサービスができるよう、従業者に研修の機会を設けることが宿の努めとされています。英語のひと言を宿のみんなで練習する時間を作るのも、そのひとつと言えますね。
旅館の外国人対応でよくある相談
Yahoo!知恵袋にも、旅館の英語や外国人のお客様への対応についての相談が寄せられています。旅館の仕事に関わるものを3つ選んで、要点をまとめてお答えしますね。
夫婦で小さな旅館をしているが、英語がまったく分からないので、外国人のお客様を受け入れられずにいる。旅館で使う英語を教えてほしい、という相談です。
まずは、この記事の5つの場面のフレーズと、助け舟フレーズだけで始めてみてください。全部を話せるようになってから受け入れる必要はありません。
そのうえで、案内書と指差しシートを用意しておけば、言葉の足りない部分を補えます。最初のお客様をお迎えしてみると、何が足りないかが見えてきますよ。
外国人が日本のホテルや旅館に泊まる時、パスポートの提示は必要なのか、という相談です。
観光庁のモデル宿泊約款では、日本国内に住所のない外国人のお客様は、国籍と旅券番号を宿泊の登録で記入することになっています。宿がどんな方法で確かめるかは、宿の決まりによって違います。
お願いする時は「May I see your passport, please?」と、理由を添えて丁寧に伝えると安心してもらえます。
将来、旅館で外国人対応の仕事をしたい。今のうちに何をしておけばいいか、という相談です。
英語の勉強に加えて、旅館の仕事そのものを知っておくと強みになります。浴衣の着方やお茶の入れ方、入浴の作法を自分で説明できるようにしておくと、英語での説明もぐっと楽になりますよ。
旅館にはフロントや仲居、予約の担当など、外国人のお客様と接する仕事がいくつもあります。どんな仕事があるかを知ってから、目指す場所を決めるのもひとつの方法です。
旅館の仕事に興味が出てきたら
外国人のお客様を迎える準備を考えているうちに、旅館で働くことそのものに興味が出てきた方もいるかもしれません。女将の仕事に興味が出て、まず旅館で働いてみたくなった時は、宿泊業界の仕事を探す相談先を使う方法もあります。
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よくある質問
旅館の英語は、どのくらい話せれば対応できますか?
場面ごとの短いひと言と、助け舟のフレーズがあれば十分始められます。足りない部分は、指差しシートや絵、案内書で補えます。
旅館の英語フレーズで、まず覚えたいものは?
靴を脱いでもらうひと言、浴衣の着方、大浴場の入り方、食事の用意ができたことの4つです。旅館ならではの場面なので、よく使います。
外国人のお客様からチップを渡されたら、どうすればいいですか?
日本旅館協会の英語の用語集では、日本ではチップの習慣は根付いておらず、宿泊料金にサービス料が含まれているので基本的に渡す必要はないと説明されています。受け取るかどうかは宿の方針に合わせ、断る時は「Thank you, but it’s not necessary.」と笑顔で伝えましょう。
食べられない食材があるお客様には、どう対応すればいいですか?
予約の段階で伺っておき、宿で対応できることとできないことを正直に伝えます。観光庁の対応マニュアルも参考になります。
外国人のお客様向けの案内書は、どう作ればいいですか?
食事の時間と場所、大浴場の入り方、浴衣の着方、帳場への連絡方法などを、短い英語と絵でまとめます。長い文より、時間と場所を並べる書き方が伝わりやすいです。
まとめ
- 旅館の英語は、短いひと言と指差し・絵・案内書の組み合わせで十分伝わる
- 到着・客室・大浴場・食事・お見送りの5場面ごとに、フレーズを決めておく
- 予約の段階で、到着時間や食べられない食材を伺っておく
- 食事の配慮は、できることとできないことを正直に伝える
- 英語の得意な人に頼りきらず、宿のみんなでひと言をそろえる





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