当サイトの記事は編集部が公的機関の情報や辞書、公表されている統計などの公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内に転職支援サービスへの案内(広告)を含みます。
旅館に泊まった時の女将さんの姿にあこがれて、『私も旅館の女将になりたい』と思った方もいるはずです。旅館の家に嫁ぐことになった方や、家業を継ぐことになった方もいますよね。
結論から言うと、女将になるには、家業を継ぐ・旅館の家に嫁ぐ・従業員から任される・自分で宿や店を開く、の4つの道があります。決まった国家資格や試験はないので、自分がどの道にいるのかを知ることが最初の一歩です。
この記事では、女将になる4つの道を入口・期間・向く人で比べ、必要な力と役立つ資格、旅館で働き始める方法を紹介します。
女将になるには?最初に知っておきたいこと
女将になる条件として決まった国家資格はありません。女将は、宿の女主人やまとめ役として家や経営者から任される立場なので、「どの宿で、どんな形で任されるか」が道を決めます。
『女将になるには、専門の学校に行かないといけないの?』と思う方も多いですよね。実は、女将になるための決まった学校や試験はないんです。
辞書の補足には、大きな宿では経営者の一族の女性が女将になり、主に接客関係をまとめる職名にもなっている、と書かれています。家族の中で受け継がれることが多い立場なんです。
観光庁の検討会資料でも、家業として経営を受け継ぐ旅館が多いことが、宿泊業の特徴として挙げられています。
女将という役職を置かない宿や、男性の経営者・支配人がお客様の前に立つ宿もあります。「女将になる」ことだけにこだわらず、旅館でどんな役割を担いたいかで考えてみるのもひとつの方法です。
女将という立場の意味は女将とは?で詳しく紹介しています。
女将になる4つの道を比べてみる
女将になる道は「家業を継ぐ」「旅館の家に嫁ぐ」「従業員から任される」「自分で宿や店を開く」の4つに分けられます。入口も、かかる時間も、向く人も違います。
『自分はどの道で女将を目指せばいいんだろう』と迷う方もいますよね。まずは4つの道を並べて比べてみましょう。

| 道 | 入口 | 期間の考え方 | 向く人 |
|---|---|---|---|
| 家業を継ぐ | 実家の旅館に戻り、若女将として入る | 先代の女将のもとで学び、代替わりの時期は家族で決める | 実家の宿を残したい人 |
| 旅館の家に嫁ぐ | 結婚を機に、若女将として家業に入る | 家のしきたりを覚えながら、少しずつ任される | 相手の家の宿を一緒に守りたい人 |
| 従業員から任される | 仲居やフロントとして働き、まとめ役に選ばれる | 現場の経験を積み、経営者に認められて任される | 家業ではなく、仕事として女将を目指したい人 |
| 自分で宿や店を開く | 小さな宿や小料理屋を自分で開く | 開業の準備と許可の手続きが先に要る | 自分の店を一から作りたい人 |
期間はどの道も「何年」と決まっているわけではありません。宿の大きさや、先代や経営者の考え方で大きく変わります。
- 宿の歴史やお客様を引き継げる
- 先代の女将から直接学べる
- 経営の引き継ぎまで考える必要がある
- 宿や店を自分で選べる
- 現場の経験を一から積み上げる
- 任されるか、開業できるかは自分次第
『自分は家が旅館じゃないから、女将は無理かも』と感じた方もいるかもしれません。でも、家業でない道もちゃんとあります。どの道にも良さと大変さがあるので、自分の状況に合う道を選べば大丈夫です。
家業を継いで女将になる
実家が旅館の方は、若女将として家業に入り、先代の女将のもとで仕事を覚えていくのが一般的です。いずれ女将の役目を譲られ、先代は大女将として宿を支える、という形が多いんです。
家業を継ぐ時は、女将としての仕事だけでなく、宿の経営をどう引き継ぐかも考えることになります。
旅館業法では、営業者が亡くなって相続人が旅館業を続ける時は、亡くなった後60日以内に都道府県知事に申請して承認を受ける、と定められています。事業譲渡で営業を引き継ぐ時も、承認を受ければ営業者の地位を引き継げます。
- いつごろ、どの仕事から任されるか
- 経営は誰が引き継ぐか(女将が社長になるか)
- 先代の女将がどこまで続けるか
- 宿の借入れや設備の状態
- 休みや住まいの分け方
経営の引き継ぎの相談先として、全国47都道府県に公的な相談窓口「事業承継・引継ぎ支援センター」があります。親族への承継計画づくりなどを相談できます。くわしくは旅館の家業を継ぐで紹介しています。
旅館の家に嫁いで女将になる
旅館の家に嫁いで、若女将として家業に入る人もいます。『結婚したら若女将になってほしい、と言われて不安…』という声もよく聞きますよね。
不安になるのは自然なことです。まずは、相手や家族と「どこまで仕事に関わるか」を具体的に話してみてください。
例えば、こんなふうに切り出してみるのもいいですよ。
「宿のお仕事、私にできることがあれば手伝いたいと思っています。最初はどんなことから覚えればいいですか」
「最初は朝のお見送りと、帳場の予約の確認から一緒にやってみようか」
嫁いでから女将になるまでの心構えは旅館に嫁ぐということで、詳しく紹介しています。
「嫁いだらすぐ女将らしく振る舞わなければ」と1人で抱え込んでしまうことがあります。最初は分からなくて当たり前なので、仕事の範囲と休み方を家族と決めておきましょう。
従業員から女将を任される
家業でなくても、旅館で働き、経験を積んでまとめ役を任される道もあります。仲居やフロントとして入り、接客や館内の仕事を一通り覚えるところから始まります。
宿泊業界の求人には、「支配人・副支配人・女将」という職種の区分で探せる転職支援サービスもあります。女将という名前の役職を、仕事として募集している宿もあるということです。
女将候補の求人の探し方は女将・女将候補の求人の探し方でまとめています。
自分で宿や店を開いて女将になる
自分で小さな宿や小料理屋を開いて、その店の女将になる道もあります。この場合は、女将として学ぶ前に、開業の準備と許可の手続きが要ります。
旅館業を営むには、旅館業法にもとづいて都道府県知事(保健所を設置する市や特別区では市長・区長)の許可を受ける必要があります。飲食店なら、食品衛生責任者を置くことが食品衛生法で定められています。
- どんな宿や店にしたいか、場所と規模を決める
- 物件を決める前に、保健所など地域の窓口に相談する
- 旅館なら旅館業の許可、飲食店なら営業の許可を申請する
- 飲食店では食品衛生責任者を決めておく
- 建物の用途や収容人員によっては防火管理者を選ぶ
防火管理者は、ホテルや飲食店などの建物で、収容人員が30人以上の場合などに必要とされています。どの手続きが要るかは建物と地域で変わるので、早めに窓口で確かめておくと安心です。
事業承継・引継ぎ支援センターには、創業を目指す人と、後継者がいない会社や個人事業主を引き合わせる「後継者人材バンク」という仕組みもあります。宿を一から建てるのではなく、引き継ぐという選び方もあるんです。
小料理屋の開き方は小料理屋の女将として独立するにはで紹介しています。
旅館の女将になるまでのステップ
どの道でも、いきなり女将になる人はまれです。旅館の仕事を一通り知り、若女将として学び、少しずつ任されて女将になる、という流れが一般的です。
ここでは、旅館の女将になるまでの流れを、一般的な順番で並べてみました。
- 女将の仕事内容と1日の流れを知る
- 仲居やフロントなど、旅館の現場の仕事を経験する
- 着物の着付けや立ち居振る舞い、言葉遣いを身につける
- 帳場の仕事(予約・宿泊者名簿・仕入れ)を覚える
- 若女将として、お出迎えやご挨拶を任される
- 従業員のまとめや経営の判断に関わっていく
- 先代や経営者と話し合い、女将の役目を引き継ぐ

若女将として何をどこで学ぶかは、若女将の修行で詳しく紹介しています。
学ぶ時期ごとに身につけたいこと
| 時期 | 身につけたいこと | 学び方の例 |
|---|---|---|
| 現場に入ったばかり | 挨拶・お辞儀・言葉遣い、館内の案内 | 先輩の仲居について回る |
| 慣れてきたころ | 配膳、客室での接客、着物での動き方 | 着付けを習う、自分で着る練習をする |
| 任され始めたころ | 帳場の仕事、お礼状、予約の調整 | 女将や支配人の横で事務を覚える |
| 女将を引き継ぐ前 | 従業員のまとめ、経営の数字、地域とのつきあい | 経営者と一緒に会議や地域の集まりに出る |
『全部覚えるまで、どれくらいかかるんだろう』と焦る必要はありません。宿の大きさや任される順番によって、かかる時間はまったく違います。
- なぜ女将になりたいのか、自分の言葉で言えるか
- 旅館の仕事のどの場面がいちばん好きか
- 住む場所や働く地域を変えてもいいか
- 朝と夕方に忙しい働き方を続けられそうか
- 家族や身近な人に、目指していることを話せているか
女将になるのに必要な力と、役立つ資格
女将になる条件として決まった国家資格はありません。ただ、着付けや接遇、宿泊の仕事にかかわる検定は、仕事の力を身につけるのに役立ちます。
『女将になるには、何か資格を取っておいたほうがいいの?』と考える方も多いですよね。資格がないと女将になれない、ということはありません。
それよりも大事にされやすいのは、毎日の仕事で使う力です。
- お客様の様子に気づき、先回りして動ける
- 丁寧な言葉遣いと、落ち着いた立ち居振る舞いができる
- 着物を着て、長い時間きれいに動ける
- 従業員の話を聞き、まとめ役として動ける
- 予約や売上などの数字にも向き合える
向いているかどうかの考え方は女将に向いている人で紹介しています。
女将の仕事に役立つ資格
ここでは、女将の仕事に役立つ資格を、公式に書かれている内容だけで紹介します。
| 資格・検定 | どんなものか | 受けられる人の例 |
|---|---|---|
| 着付け技能士 | 他人に着物を着付ける仕事を対象にした国家検定。1級と2級がある | 2級は実務経験1年など、着付けの実務経験が要る |
| サービス接遇検定 | 応対の技術や言葉遣い、態度・振る舞いなどが審査される民間検定 | 受験資格の制限なし |
| ホテル・マネジメント技能検定 | ホテル・旅館業界の国家技能検定。1級から3級まで | 3級はホテル・旅館の業務に就いている人や就こうとする人 |
| レストランサービス技能検定 | 料飲サービスにかかわる国家検定 | 3級は料飲サービスの実務経験1年以上など |
| 食品衛生責任者 | 飲食店などで選任が定められている役割 | 講習を受けて取得するのが一般的 |
着付け技能士は、事前講習を受けなくても、受検資格があれば誰でも受けられるとされています。資格ごとの詳しい内容は女将に役立つ資格で紹介しています。
資格はあくまで仕事の力を身につける手段です。どの資格を取っても、それだけで女将に選ばれるわけではないので、現場での経験と一緒に考えておきましょう。
旅館の女将になりたい人のよくある相談
質問サイトにも、女将になりたい人の相談がたくさん寄せられています。閲覧の多いものから、この記事のテーマに合う3つを選んでお答えしますね。
家が旅館ではない高校生が、旅館の女将になるにはどうしたらいいか知りたい、という相談です。
家が旅館でない場合は、「従業員から任される」か「自分で宿や店を開く」の道になります。まずは旅館で働いて、接客や館内の仕事を一通り覚えるところから始めるのが近道です。
高校生のうちは、言葉遣いやお辞儀、お茶の入れ方など、身近なところから練習してみてください。旅館でのアルバイトができる年齢になったら、現場を見てみるのもいいですね。
進路を考える時は、観光やホテル・旅館の仕事を学べる学校を調べてみるのもひとつの方法です。ただ、女将になるために特定の学校を出ている必要はないので、焦らず自分に合う道を選んでみてください。
結婚相手の家が旅館で、将来は若女将になってほしいと言われて不安だ、という相談です。
不安になるのは当然ですよね。大事なのは、結婚の前に「いつから・どこまで仕事に関わるか」を相手と家族に具体的に聞いておくことです。
今の仕事を続けたいのか、宿の仕事にどこまで関わりたいのかを、自分の言葉で伝えてみてください。家ごとに考え方は違うので、話してみて初めて分かることも多いんです。
50代で新しく女将になった場合も若女将と呼ぶのか、という相談です。
若女将は年齢ではなく、次の女将として学んでいる段階を指すのが一般的です。辞書でも「相対的に若く」「次期の女将として研鑽を積んでいる段階」と説明されています。
ですから、何歳で宿に入っても、学んでいる段階なら若女将と呼ばれることがあります。年齢を気にせず挑戦できる立場なんです。
女将を目指して、まず旅館で働くには
家が旅館でない方は、仲居やフロントなど旅館の仕事に就くことが、女将への入口になります。求人の探し方はひとつではないので、自分に合う方法で探してみてください。
女将を目指して旅館で働く時、探し方はいくつかあります。それぞれ使い方が違うので、組み合わせて使うのがおすすめです。
| 探し方 | どんな時に向くか |
|---|---|
| ハローワーク | 住んでいる地域や、働きたい地域の宿をじっくり探したい時 |
| 宿の公式サイトの募集 | 働きたい宿がすでに決まっている時 |
| 求人サイト | いろいろな地域や条件の宿を見比べたい時 |
| 宿泊業界専門の転職支援サービス | 条件の相談や、応募の準備を手伝ってほしい時 |
ハローワークは、国(厚生労働省)が運営する雇用サービス機関で、無料で職業相談や紹介を受けられます。地方で働きたい方には、東京と大阪に地方就職支援コーナーもあります。
『女将を目指していることを、面接で言ってもいいのかな』と迷う方もいますよね。宿によっては、将来の目標として前向きに受け止めてもらえることもあります。
宿泊業界の求人を専門に扱う転職支援サービスなら、そうした希望も含めて相談できます。おもてなしHRは、ホテル・旅館などの宿泊業界の求人を扱う転職支援サービスで、求職者は無料で使えます。
求人検索には「支配人・副支配人・女将」という職種の区分があり、女将候補や仲居、フロントなど旅館の仕事を探す時の相談先になります。履歴書づくりや面接の日程調整、給与や休日の相談まで手伝ってもらえます。
おもてなしHR(PR)
旅館・ホテルの仕事を探すなら、宿泊業界専門の転職支援に相談
おもてなしHRは、ホテル・旅館などの宿泊業界の求人専門の転職支援サービスです。専任のキャリアアドバイザーが、経験の有無や希望職種を問わず、書類作成や面接の日程調整、条件面の相談まで無料でサポートします。
無料おもてなしHRの公式サイトを見るサービスの内容は公式サイトでご確認ください。
女将候補の求人で確かめたいことは女将・女将候補の求人の探し方でまとめています。
よくある質問
女将になるには資格が必要ですか?
女将になる条件として決まった国家資格はありません。着付け技能士やサービス接遇検定、ホテル・マネジメント技能検定など、仕事に役立つ資格や検定はあります。
家が旅館でなくても女将になれますか?
旅館で働いて経験を積み、まとめ役として任される道や、自分で宿や店を開く道があります。まずは仲居やフロントとして旅館で働くところから始める人が多いです。
女将になるまでにどれくらいかかりますか?
決まった期間はありません。宿の大きさや、先代の女将や経営者がいつ任せるかで大きく変わります。
旅館の女将になりたい時、最初に何をすればいいですか?
まず女将の仕事内容を知り、旅館で働いてみることです。言葉遣いやお辞儀、着物の着付けなど、身近なところから練習を始めるのもおすすめです。
男性は女将になれないのですか?
女将は辞書で女主人と説明される言葉です。ただ、今は男性の経営者や支配人がお客様の前に立つ宿もあり、宿でどんな役割を担うかは性別で決まるものではありません。
まとめ
- 女将になる条件として決まった国家資格や試験はない
- 女将になる道は「家業を継ぐ」「旅館の家に嫁ぐ」「従業員から任される」「自分で宿や店を開く」の4つ
- どの道でも、旅館の仕事を知り、若女将として学び、少しずつ任される流れが一般的
- 求められやすいのは、人を迎える力と宿を回す力。着付けや接遇の検定は役立つ
- 家業でなければ、仲居やフロントとして旅館で働くことが入口になる





コメント