女将の休みと働き方|旅館の中抜け勤務と休日の考え方

旅館の女将の休みと中抜け勤務を紹介する記事のアイキャッチ。昼下がりの中庭と縁側の湯呑み

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いつ旅館に行っても女将さんが玄関に立っていて、『この人、いつ休んでいるんだろう』と思ったことはありませんか。旅館で働きたい方なら、自分の休みがどうなるのかも気になりますよね。

結論から言うと、旅館の女将の休みは、経営者側として働くか、雇われて働くかで決まり方が変わります。雇われて働く場合は、休憩と休日に公的なルールがあり、旅館に多い「中抜け勤務」の昼の時間も休憩にあたります。

この記事では、旅館の勤務の型と休憩・休日のルール、女将が休みを取るための工夫を紹介します。

目次

旅館の女将に休みはある?

先に結論

女将にも休みはあります。ただ、家族で宿を営む女将は、決まった休日より「交代で休む日」や「昼の休み」で調整していることが多いんです。

旅館は、お客様が泊まっている限り、朝も夜も誰かが立っている仕事です。女将がお出迎えとお見送りの両方に立つ宿では、1日が長くなりやすいのも確かです。

観光庁の検討会資料でも、宿泊業の課題として「従業員の1日当たりの拘束時間が長い、休暇をとりづらい等の労働環境」が挙げられています。

『やっぱり女将って休めないんだ…』と感じた方もいるかもしれません。ただ、休み方は宿の決め方次第で変えられる部分も大きいんです。

女将の立場休みの決まり方
家族で営む宿の女将(経営者側)家族や支配人と相談して、交代で休む日を決める
会社に雇われている女将・女将候補就業規則と労働基準法のルールにそって休日が決まる
若女将として家業に入った人家族の中で、仕事の分担と休む日を話し合って決める

1日の流れを知りたい方は女将の1日もあわせて見てみてください。

「通し」「中抜け」「早番・遅番」、旅館の勤務の型を比べる

旅館の勤務は大きく3つの型に分けられる

1日続けて働く「通し」、昼に長い休憩をはさむ「中抜け」、朝と夜で人を分ける「早番・遅番」の3つです。どの型でも、休憩と休日のルールは同じようにかかわります。

旅館の仕事は、朝食と夕食の時間帯に忙しさが集まります。そのため、ほかの仕事とは少し違う勤務の組み方をしているんです。

旅館の勤務の型を通し・中抜け・早番遅番の3つに分け、休憩と休日のルールと並べた図解
勤務の型どんな働き方か休憩のルールとの関係向く人
通し朝から夕方まで、または昼から夜まで続けて働く6時間を超えれば少なくとも45分、8時間を超えれば少なくとも1時間の休憩1日の区切りをはっきりさせたい人
中抜け朝食の時間と夕食の時間に働き、昼に長い休憩をはさむ昼の時間は休憩にあたり、自由に使える時間でなければならない昼に自分の時間がほしい人
早番・遅番朝の担当と夜の担当で人を分ける各シフトの長さに応じて休憩を取る朝型・夜型がはっきりしている人

休憩の時間は、労働基準法第34条で決められています。6時間を超える時は少なくとも45分、8時間を超える時は少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に取ることになっています。

旅館の中抜け勤務とは?休憩のルール

中抜けの昼の時間は「休憩」。自由に使えることが前提

中抜けは、朝食と夕食の間に長い休憩をはさむ働き方です。法律上は休憩時間にあたるので、その時間は仕事から離れて自由に使えることが前提になります。

「中抜け」という言葉は、法律の用語ではありません。旅館の求人などで、昼に長い休憩をはさむ働き方を指して使われています。

例えば、旅館の求人の勤務時間欄には、こんな書き方が見られます。

求人で見かける中抜けの書き方の例
  • 中抜けあり
  • 中抜け240分
  • 中抜けなし(2シフト制)
  • 1カ月単位の変形労働時間制

厚生労働省の解説では、休憩時間は「労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間」とされています。単に仕事の手が空いて待っている時間は、休憩に含まれません。

また、分けた休憩がとても短いと、自由に使えず休憩と見なされない場合がある、とも説明されています。

よくある失敗

中抜けの時間に「ちょっとだけ」と電話番や片付けを頼まれ続けると、休んだ気がしなくなります。昼の時間に何をしてよいのか、呼び出しがあるのかを、働き始める前に確かめておきましょう。

休憩は全員一斉でなくてもいい業種がある

休憩は全員に一斉に与えるのが原則です。ただ、労働局の解説では、接客娯楽業などの業種は一斉に取らせなくてもよい、とされています。

お客様がいる時間に全員が休むわけにはいかないので、交代で休憩を取る宿が多いんです。自分の宿がどう扱われるかは、労働局や宿の担当者に確かめると安心です。

中抜けは若い人に合わないという声も

観光庁の実態調査の報告書では、教育機関へのインタビューで「中抜け勤務を前提とした勤務時間制度は若者のニーズに合っていない」という意見が紹介されています。

同じ報告書のまとめでは、長時間労働や中抜け勤務の改善が、宿泊業で見直したい点として挙げられています。最近は、中抜けなしの2シフト制を取り入れる宿もありますよ。

同じ調査では、宿泊業で特に大変だった勤務形態や休日を聞く質問に、次のような選択肢が並んでいます。働く前に、自分にとってどれが気になるかを考えておくと、宿を選ぶ時の目安になります。

宿泊業で大変だと感じやすい勤務形態・休日(観光庁の調査の選択肢より)
  • 夜勤・夜番・夜警
  • 土日祝の出勤
  • 中抜け勤務
  • たすき掛け勤務
  • 曜日固定での休日
  • 連続した休日が取れないこと
  • 残業時間の長さ

旅館の休日はどう決まる?休日と労働時間のルール

休日は「毎週1日」か「4週間で4日以上」が最低ライン

労働基準法では、少なくとも毎週1日、または4週間を通じて4日以上の休日を与えることになっています。旅館で雇われて働く場合も、このルールがかかわります。

『旅館の仕事は、土日やお盆に休めないって本当?』と心配になりますよね。お客様が多い時期に休みにくいのは確かです。

その代わり、平日や閑散期に休みを取る形にしている宿が多いんです。

ルール内容
法定労働時間1日8時間、1週40時間まで
法定休日少なくとも毎週1日、または4週間を通じて4日以上
時間外労働の上限36協定を結んだ場合、原則として月45時間・年360時間
1か月単位の変形労働時間制1か月以内の期間を平均して週40時間以下にする働き方
1週間単位の非定型的変形労働時間制規模30人未満の旅館・料理店などが対象。1日の上限は10時間

出典は厚生労働省「労働時間・休日」と各労働局の解説です。4週4休を採る時は、就業規則などで4週の起算日をはっきりさせ、できるだけ休日を特定するよう求められています。

1週間単位の変形労働時間制とは

忙しい日と暇な日の差が大きい小さな宿のために、週の中で日ごとの労働時間を変えられる仕組みです。各日の労働時間は、少なくとも週が始まる前に書面で知らせることになっています。

旅館で働く時の賃金の目安は、公的統計をもとに女将の年収・給料で紹介しています。

家族で営む宿の女将が休みを取る工夫

休みは「空いたら取る」ではなく「先に決める」

家族で営む宿の女将は、自分の休みを後回しにしがちです。休む日を先に決めて、その日の役割を誰が代わるかまで決めておくと、休みが取りやすくなります。

『女将の私が休んだら、お客様に失礼じゃないかな』と思ってしまう方もいますよね。でも、女将が休めない宿は、長く続けるのが難しくなります。

例えば、家族でこんなふうに話し合ってみてください。

「来月から、火曜日は私が休む日にしたいの。お出迎えは若女将にお願いできる?」

「いいよ。帳場の確認は、支配人と一緒にやっておくね」

女将が休みを取るための進め方
  1. 1か月の予約を見て、お客様の少ない曜日を探す
  2. 休む日を先に決めて、家族や従業員に伝える
  3. お出迎え・ご挨拶・帳場の代わりを誰がするか決める
  4. 常連のお客様には「本日は若女将がご案内します」と伝える形を用意する
  5. 休んだ日の様子を翌日に聞き、困ったことを直していく
家族で営む宿の女将が休みを取るまでの進め方を順番に示した図解
休みを取りやすくするチェック
  • 女将でなくてもできる仕事を書き出している
  • 若女将や支配人が挨拶を代われるようにしている
  • 予約の少ない曜日を、休館日や休む日にしている
  • 昼の中抜けの時間に、帳場の仕事を入れすぎていない

女将の休みについてよくある相談

質問サイトにも、女将の休みについての質問が寄せられています。閲覧の多いものから2つ選んでお答えしますね。

相談1:旅館の女将さんは、毎日働いていて休みがないように見える

女将さんは毎日働いていて、1日も休みがないように見えるけれど本当か、という質問です。

お客様が来る日に女将が立っていることが多いので、休みがないように見えますよね。実際は、家族や従業員と交代したり、昼の時間に休んだりしている女将も多いんです。

休館日を決めている宿や、女将が休む曜日を決めている宿もあります。

相談2:老舗の旅館の女将って休みはあるの?

いつ行っても出迎えてくれる女将さんがいるけれど、休みはあるのか、という質問です。

大きな宿では、女将の代わりに若女将や大女将がお出迎えに立つこともあります。お客様からは同じように見えても、実は交代していることもあるんです。

ただ、休みの取り方は宿の方針でかなり違うので、「どの宿もこう」とは言えません。

求人で休みと中抜けを確かめるには

働く前に「休日の数」と「中抜けの有無」を確かめる

旅館で働く時は、休日の取り方と中抜けの有無が、働きやすさに大きくかかわります。求人票と面接で、具体的に確かめておきましょう。

これから旅館で働きたい方は、求人を見る時に休み方をしっかり確かめておくと安心です。

求人で確かめたい休みと働き方
  • 休日は週何日か、4週で何日か
  • 中抜けがあるか、何分くらいか
  • シフト制か、2シフト制か
  • 繁忙期の休みの取り方
  • 中抜けの時間に呼び出しがあるか

面接では、こんな聞き方をすると角が立ちにくいですよ。

「お休みの取り方について伺いたいのですが、繁忙期と閑散期で変わりますか」

休みの条件を1つずつ聞くのは、なかなか言い出しにくいものです。宿泊業界の求人を専門に扱う転職支援サービスなら、間に入って条件を確かめてもらえます。

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求人の見方は旅館の求人の選び方で、もっと詳しく紹介しています。女将という立場そのものについては女将とは?をご覧ください。

よくある質問

旅館の女将に休みはありますか?

あります。家族で営む宿では、交代で休む日を決めたり、昼の時間に休んだりしているのが一般的です。会社に雇われている場合は、就業規則と労働基準法のルールにそって休日が決まります。

旅館の中抜け勤務とは何ですか?

朝食と夕食の時間帯に働き、その間の昼に長い休憩をはさむ働き方です。昼の時間は法律上の休憩にあたり、自由に使える時間であることが前提です。

中抜けの時間に仕事を頼まれたら休憩になりますか?

厚生労働省の解説では、休憩は労働から離れることが保障された時間とされています。電話番などで待っている時間は休憩に含まれないので、働く前に扱いを確かめておきましょう。

旅館の休日は週に何日ですか?

労働基準法では、少なくとも毎週1日、または4週間で4日以上の休日が最低ラインです。実際の日数は宿ごとに違うので、求人票で確かめてください。

まとめ

この記事の要点
  • 女将にも休みはあるが、決まり方は経営者側か雇われて働くかで違う
  • 旅館の勤務は「通し」「中抜け」「早番・遅番」の3つの型がある
  • 中抜けの昼の時間は休憩にあたり、自由に使える時間であることが前提
  • 休日は毎週1日か、4週間で4日以上が最低ライン
  • 家族で営む宿では、休む日を先に決めて代わりの人を決めておく
  • 働く前に、休日の数と中抜けの有無を求人で確かめる
女将ガイド

女将ガイド 編集部

旅館の女将・若女将の仕事と役割、女将になるまでの道のり、着物や立ち居振る舞い、旅館のしきたりとおもてなし、旅館・料亭で働く方法までを、やさしく整理している情報サイトです。 公式サイト

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