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女将や若女将になることが決まって、『仕事ではどんな着物を着ればいいの?』と悩んでいませんか。訪問着や小紋など種類が多くて、何から揃えればいいのか迷いますよね。
結論から言うと、女将の着物に決まった型はなく、「格」「季節」「場面」の3つで選べば大丈夫です。宿の雰囲気と自分の立場に合わせて、少しずつ揃えていけばいいんです。
この記事では、女将の着物の種類と格の考え方、3つの軸で選ぶ早見表、旅館と料亭での違いまで紹介します。
女将の着物に決まりはある?
女将が仕事で着る着物の種類を決めた公的な決まりや、辞書の定めはありません。宿の方針や地域、季節、その日の場面に合わせて選ばれています。
『女将さんは訪問着、みたいな決まりがあるのでは』と思っていた方も多いはずです。実は、そうした決まりはないんです。
ただ、決まりがないからこそ、選ぶための物差しを持っておくと迷わなくなります。この記事では、次の3つの軸で考えてみます。
| 軸 | 考えること | 迷った時の問いかけ |
|---|---|---|
| 格 | 着物と帯の改まり度合い | 今日のお客様や場に対して、改まりすぎ・くだけすぎになっていないか |
| 季節 | 裏地の有無や生地の透け感、柄の季節感 | 今の気候と、宿で決めている衣替えの時期に合っているか |
| 場面 | 毎日の接客か、行事か、お祝いの席か | 今日は誰の前に、どんな役で立つのか |
例えば、家族で営む小さな宿なら、毎日の接客は動きやすい小紋で十分なこともあります。一方で、改まった会食の多い宿なら、普段から色無地を中心に選ぶほうが落ち着くかもしれません。
同じ「女将の着物」でも、宿が違えば正解も違うんです。だからこそ、まずは自分の宿の女将や家族に「普段はどんな装いにしていますか」と聞いてみてください。
旅館の着物というと、仲居さんの仕事着やお客様の浴衣を思い浮かべる方もいますよね。この記事では、女将や若女将が接客で着る着物を中心にお話しします。
女将とはそもそもどんな立場なのかは、女将とは?で意味から紹介しています。
女将が着る着物の種類と格
着物には、改まった場に向くものから普段着に近いものまで「格」の違いがあります。辞書の説明をもとに、女将の仕事で出番がありそうな着物を並べてみます。
着物の格は、着付けの国家検定(着付け技能士)の学科試験でも範囲になっている内容です。用途別の種類や柄づけによる格の違い、家紋などが試験科目に挙がっています。
それだけ、着物を着る仕事では「格」の考え方が大事なんです。
旅館の女将の着物の種類を辞書の説明で見る
| 着物の種類 | 辞書での説明(要約) | 女将の仕事での出番の例 |
|---|---|---|
| 訪問着 | 女性の略式礼装用。絵羽模様の長着で、社交や訪問に用いる | お祝いの席、大切なお客様をお迎えする日 |
| 付下げ | 模様がすべて上向きになるよう配置された着物。訪問着がわりに着られる | 行事の日、改まった会食の席 |
| 色無地 | 黒以外の一色で染めた、文様のない着物。紋を入れると略礼装にも | 毎日の接客から改まった場まで、帯で調整しやすい |
| 小紋 | 一面に細かい文様を散らしたもの | 毎日の接客、くだけた雰囲気の宿 |
ここで注意したいのは、格の言い方が辞書によって違うことです。訪問着はデジタル大辞泉で「略式礼装」、ほかの百科事典では「準礼装」とされています。
色無地も、デジタル大辞泉では「家紋を入れて略礼装とすることもある」、世界大百科事典では「紋をつけると準礼装になる」と書かれています。言い方は違っても、紋を入れると格が上がる、という考え方は共通です。
百科事典のニッポニカでは、小紋は普段着や洒落着から、茶会などのセミフォーマルな場にも用いられると説明されています。柄の大きさや色で、ずいぶん印象が変わる着物なんです。
訪問着・付下げ・色無地・小紋の見分け方は、訪問着・付け下げ・色無地・小紋の違いで詳しく紹介しています。
帯でも格は変わる
着物の格は、帯との組み合わせでも変わります。同じ色無地でも、合わせる帯で改まった装いにも、普段の装いにもなるんです。
| 帯 | 辞書での説明(要約) | 合わせやすい場面 |
|---|---|---|
| 袋帯 | 正装・礼装用の帯 | 訪問着や付下げで改まる日 |
| 名古屋帯 | お太鼓の部分を並幅、ほかを半幅に仕立てた帯。大正時代に名古屋で考案されたといわれる | 色無地や小紋で働く毎日 |
結び方では、お太鼓結びが年齢や未婚・既婚を問わず、いちばん一般的な結び方とされています。帯の種類と結び方は帯の種類と結び方で紹介しています。
半衿と足袋も、清潔感を左右する
半衿は、長襦袢や半襦袢の衿にかけて、汚れを防ぎつつ飾りにもなる衿です。顔まわりに近いので、お客様の目に入りやすいところなんです。
足袋は、和装の時にはく袋状のはきものです。玄関や廊下で動き回る女将にとって、白い足袋がきれいに保たれていると、それだけで装いが整って見えます。
格・季節・場面の3つの軸で選ぶ早見表
まず「場面」で今日の自分の役を決め、次に「格」で着物と帯を選び、最後に「季節」で生地と柄を合わせます。この順番で考えると、手持ちの着物の中から選びやすくなります。
『毎朝、どれを着るかで時間がかかってしまう』という方もいますよね。早見表を1枚作っておくと、朝の迷いがぐっと減ります。

| 場面 | 着物の例 | 帯の例 | 季節で変えること |
|---|---|---|---|
| 普段(毎日の接客) | 小紋、色無地 | 名古屋帯 | 生地の厚さ、柄の季節感 |
| 行事(季節の行事、宴会のご挨拶) | 色無地(紋あり)、付下げ | 名古屋帯、袋帯 | 行事に合う色や柄 |
| 慶事(お祝いの席、宿の節目の日) | 訪問着、付下げ | 袋帯 | 季節の柄と帯の色合わせ |
手持ちが少ないうちは、色無地を帯で着回す
女将になったばかりのころは、着物がまだ少ないこともありますよね。そんな時に頼りになるのが、文様のない色無地です。
同じ色無地1枚でも、帯と小物を替えると場面に合わせて格を調整できます。
| 場面 | 合わせる帯 | 添える工夫 |
|---|---|---|
| 普段の接客 | 名古屋帯 | 季節の柄の帯で、季節感を出す |
| 行事の日 | 改まった柄の名古屋帯 | 半衿を白で整え、きちんと感を出す |
| お祝いの席 | 袋帯 | 紋の入った色無地なら、より改まった装いに |
- 宿の玄関や客室の雰囲気に、色がなじむか
- 手持ちの帯と合わせやすい色か
- 季節を問わず使いやすい、袷か単衣か
- 紋を入れるかどうかを、宿の女将や家族と相談したか
季節は「袷・単衣・薄物」で考える
季節の軸では、裏地のついた袷、裏地のない単衣、透け感のある薄物、という3つの分け方がよく使われます。夏の普段着として着られる浴衣は、木綿の単の着物と辞書で説明されています。
着物をいつ着るかという「着用時季」も、着付け技能士の学科試験の範囲に入っています。ただ、何月から何を着るかの目安は、地域の気候や宿の方針で違うんです。
| 季節の分け方 | 生地の特徴 | 女将の装いで気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 袷 | 裏地がついていて、しっかりした着心地 | 暖房の効いた館内では、動くと暑くなりやすい |
| 単衣 | 裏地がなく、袷より軽い | 季節の変わり目に着ることが多く、時期は宿の決まりに合わせる |
| 薄物 | 透け感があり、見た目にも涼しい | 下に着る長襦袢の色や透け具合にも気を配る |
「暑い日なのに、決まった時期まで袷を着なければいけない」と悩むことがあります。着る時期の目安は宿や地域で違うので、まずは宿の衣替えの決まりを確かめ、気候に合わせて女将と相談してみてください。
柄で季節を先取りする
着物の柄で季節を表すのも、女将の装いの楽しみのひとつです。季節の草花の柄は、お客様との会話のきっかけにもなります。
例えば、お出迎えの時にこんなやりとりが生まれることもあります。
「素敵なお着物ですね。桔梗の柄ですか」
「ありがとうございます。中庭の桔梗が咲き始めたので、今日はこれにしてみました」
玄関や客室の季節のしつらえと合わせて選ぶと、宿全体で季節が伝わります。しつらえの考え方は女将の生け花としつらえで紹介しています。
旅館と料亭の女将、若女将で着物はどう違う?
旅館の女将は朝から夜まで動くので、動きやすさも大事にします。料亭の女将は座敷での会食が中心、若女将は女将とのバランスを考えて選ぶ、という違いがあります。
『料亭の女将さんの着物は、旅館の女将さんより華やかなの?』と気になる方もいるはずです。どちらが華やか、というより、仕事の流れが違うんです。
- 朝のお見送りから夜のご挨拶まで、長い時間着ている
- 玄関、廊下、客室と、たくさん動き回る
- 季節のしつらえと合わせて、宿全体の雰囲気をつくる
- 座敷での会食の時間に合わせて装う
- 掛け軸や花、器と合わせて、座敷の雰囲気をつくる
- 改まった会食が多い日は、格を上げた装いにする
旅館の女将は、廊下を何度も行き来し、玄関の式台で膝をついてお客様をお迎えします。裾さばきがしやすく、膝をついても着崩れにくい着付けを心がけると、1日が楽になります。
料亭の女将は、座敷に入って挨拶をし、お酌をする場面が多くなります。座った時の姿や、手元の袖の動きがきれいに見えるかを意識すると、装いが映えますよ。
料亭の女将の仕事は、料亭の女将とは?で旅館の女将との違いとあわせて紹介しています。

若女将の着物は、女将とのバランスで選ぶ
若女将の着物は、同じ場に立つ女将との並びを考えて選ぶと安心です。同じ日に2人が玄関に立つなら、格をそろえるのか、少し控えるのかを事前に話しておきましょう。
『何を揃えればいいのか、聞きにくい…』と感じる方もいますよね。そんな時は、こんなふうに相談してみてください。
「女将さん、来月の行事の日は、どのくらい改まった着物にすればよろしいですか」
「その日は付下げにしましょうか。帯は私が若いころのものを貸してあげますよ」
宿に代々の着物がある場合もあるので、まずは聞いてみるのがいちばんです。若女将の立場は若女将とは?で紹介しています。
仲居さんや小料理屋の女将の装い
旅館では、仲居さんが着物で接客する宿もあれば、作務衣を仕事着にしている宿もあります。作務衣は、もとは禅宗の寺院で僧が作業の時に着る服で、上着が筒袖、下がズボン形の動きやすい服です。
小料理屋や飲食店の女将も、着物で店に立つ人がいます。料理を運んだり洗い物をしたりする時は、着物の上に割烹着を重ねることもあるでしょう。
割烹着は、和服の袖がじゃまにならず、着物の汚れも防げるように考えられた上っ張りです。着物・作務衣・洋装の使い分けは女将の服装で紹介しています。
毎日着物で働くための工夫
毎日着物で働くなら、着付けの時間を短くすること、動きやすくすること、手入れを習慣にすることの3つがポイントです。最初から完璧を目指さず、少しずつ慣れていけば大丈夫です。
『毎朝自分で着られるか不安』という方も多いですよね。着付けは、回数を重ねるほど早くなります。
- 前の晩に、翌日の場面を確かめて着物と帯を決める
- 半衿や足袋が汚れていないか確かめておく
- 朝は長襦袢から順に着て、帯を結ぶ
- 玄関の鏡で、衿元と帯の位置を整える
- 仕事の合間に、着崩れていないか手で確かめる
自分で着物を着る手順は、女将の着付けで紹介しています。
動きやすさを助ける割烹着
配膳の手伝いや片付けをする時は、着物の袖や前が汚れないかが気になりますよね。そんな時に重ねるのが割烹着です。
割烹着は、明治時代に東京の料理の学校で考案されたと辞書に書かれています。生徒の着物が油や水で汚れないよう、布を体の前後に掛けて、たすきで押さえたのが始まりだそうです。
お客様の前に出る時は割烹着を外し、裏方の作業の時だけ重ねる、という使い分けもできます。割烹着の選び方は割烹着の女将で紹介しています。
一日の終わりと、季節ごとの手入れ
着物は、着たあとの手入れで長持ちするかが変わります。辞書の範囲でいうと、虫干しと畳紙は覚えておきたい言葉です。
虫干しは、衣類などを陰干しして風を通し、虫の害やかびを防ぐことです。日本大百科全書では夏の土用(立秋の前の18日間)に行うとされ、近年は秋の晴天が2日以上続いたあとを選ぶようになってきたとも説明されています。
畳紙は、たたんだ着物を包んでしまうための紙です。今は、白い和紙で四方から包み、ひもで結ぶ形のものもあります。
- 着たあとは、すぐにしまわず風を通す
- 半衿の汚れは、早めに替えるか洗う
- 足袋は、何足か用意して替えながらはく
- たたんだ着物は、畳紙に包んでしまう
- 季節ごとに、虫干しの日を決めておく
着物の手入れと保管は着物の手入れと保管でも紹介しています。

女将の着物でよくある相談
質問サイトにも、女将の着物についての質問がたくさん寄せられています。閲覧の多いものから、この記事のテーマに合う3つを選んでお答えしますね。
女将さんの着物の色や柄は、どんなものが一般的なのか。あまり柄の入った華やかなものは避けたほうがいいのか、という質問です。
華やかな着物がだめ、という決まりはありません。宿の雰囲気や、その日の場面に合っているかで考えれば大丈夫です。
毎日の接客なら、季節を感じる控えめな柄の小紋や色無地が合わせやすいでしょう。お祝いの席や行事の日は、訪問着や付下げで華やかにする選び方もあります。
迷った時は、宿の女将や家族に「この場にはどれがいいでしょう」と聞いてみてください。
同じ旅館の中で、着物を着ている仲居さんと、作務衣のような服を着ている人がいるのはどう違うのか、という質問です。
宿によって決まりはさまざまですが、仕事の中身や宿の方針で装いを分けていることがあります。お客様の前でご挨拶や配膳をする人は着物、館内の作業が多い人は動きやすい作務衣、というように分ける宿もあります。
装いの違いは、上下の差というより、仕事の役割の違いとして見るとわかりやすいですよ。
日本料理店の開店日に着る着物について、女将さんが何を着るかに合わせてどう選べばいいのか、という相談です。
開店日のようなお祝いの日は、「慶事」の場面として考えると選びやすくなります。早見表でいえば、訪問着や付下げに袋帯、という組み合わせです。
ただ、女将さんや店の方が着る着物より改まりすぎないよう、事前に聞いておくと安心です。「当日はどのくらいの装いで伺えばよろしいですか」とひと言確かめておきましょう。
着物を着る仕事に興味が出てきた方へ
『着物を着て働く仕事に就いてみたい』と感じた方もいるかもしれませんね。旅館では、女将だけでなく仲居さんなど、着物で接客する仕事もあります。
旅館の仕事は、ハローワークや求人サイト、宿の公式サイトの募集でも探せます。宿泊業界の求人に詳しい転職支援サービスに相談してみる方法もあります。
着物の着用があるかどうかは、応募の前に確かめておきましょう。
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よくある質問
女将の着物は、何枚くらい揃えればいいですか?
決まった枚数はありません。まずは毎日の接客に使える小紋や色無地と名古屋帯から揃え、行事やお祝いの席に向けて付下げや訪問着、袋帯を少しずつ足していく方法があります。宿に代々の着物がないかも聞いてみてください。
若女将の着物は、女将と同じ格にしたほうがいいですか?
宿によって考え方が違います。同じ場に立つ日は、格をそろえるのか少し控えるのかを、女将と事前に話しておくと安心です。
料亭の女将の着物は、旅館の女将と違いますか?
料亭の女将は座敷での会食が中心なので、座敷のしつらえや会食の改まり度合いに合わせて装います。旅館の女将は朝から夜まで動くので、動きやすさも考えて選ぶことが多いです。
着物の格は、辞書によって違うのですか?
言い方が違います。訪問着はデジタル大辞泉では略式礼装、ほかの百科事典では準礼装とされています。迷った時は、宿の中での決まりや、女将の考え方に合わせましょう。
旅館に泊まる時、お客として着物で行ってもいいですか?
もちろん大丈夫です。館内で浴衣に着替える時は、着物をたたんでしまえるよう、着物用のハンガーや風呂敷を持っていくと安心です。
着付けに資格は必要ですか?
女将として自分で着物を着るのに、資格は必要ありません。他の人に着付ける仕事を対象にした国家検定として、着付け技能士があります。
まとめ
- 女将の着物に決まった型はなく、宿の方針や季節、場面で選ぶ
- 着物は「格」「季節」「場面」の3つの軸で考えると迷わない
- 普段は小紋や色無地に名古屋帯、改まる日は付下げや訪問着に袋帯が合わせやすい
- 季節は袷・単衣・薄物で分け、着る時期は宿の決まりと気候に合わせる
- 毎日着物で働くなら、着付けと手入れを習慣にして少しずつ慣れていく





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