仲居とは?旅館の仲居の仕事内容と女将との関わり

仲居とは何かを紹介する記事のアイキャッチ。旅館の客室でお茶を出す着物の手元

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旅館に泊まった時、お部屋まで案内してお茶を入れてくれた仲居さん。『あの人たちは、1日にどんな仕事をしているんだろう』と気になったことはありませんか。

結論から言うと、仲居とは、旅館や料亭でお客様の接待をする人のことです。旅館の仲居は、お迎えからお見送りまで、お客様の滞在にいちばん長く寄り添う仕事なんです。

この記事では、仲居の仕事内容を5つに分け、1組のお客様を担当した時の流れと、女将との関わりを紹介します。

目次

仲居とは?旅館の仲居さんの意味と呼び方

先に結論

仲居は、旅館や料亭などで客の接待をする人を指す言葉です。今の旅館の求人では「客室係」と書かれることも多く、ほぼ同じ仕事を指しています。

辞書のデジタル大辞泉では、仲居は「旅館や料亭などで客の接待をする女性」と説明されています。辞書には、昔の大奥や大名屋敷で女性が詰めていた部屋、という意味ものっています。

百科事典によると、古くは「中居」と書かれることが多く、主人に仕える人たちの控えの部屋を指していました。近世以降に、料理屋などで客を接待する人を仲居と呼ぶようになったそうです。

『中居と仲居、どっちが正しいの?』と迷う方もいますよね。今は「仲居」と書くのが一般的で、辞書の見出しも「仲居・中居」と両方が並んでいます。

仲居の呼び方いろいろ

仲居は、場面によっていくつかの呼び方をされます。

呼び方使われる場面ひと言メモ
仲居旅館や料亭で働く人を指す一般的な言葉辞書の見出しもこの表記
仲居さんお客様や周りの人が親しみをこめて呼ぶ時呼びかけにも使われる
客室係旅館やホテルの求人での呼び方仕事の中身を表した言い方
接客係求人や職業の分類での呼び方宿によって使い分けがある

英語では、辞書に waitress や parlormaid、hostess といった訳語がのっています。外国人のお客様には、短く「I’m in charge of your room.」のように役割で伝えると分かりやすいですよ。

料亭の仲居と旅館の仲居

辞書の説明にあるとおり、仲居は旅館だけでなく料亭にもいます。料亭は、主として日本料理を出す高級な料理屋のことです。

料亭の仲居は、お座敷での料理とお酒のお世話が中心です。旅館の仲居は、そこにお迎えやお布団、お見送りまで加わり、泊まりのお客様の時間を丸ごとお世話します。

仲居と女中は違う?

百科事典には、料理店で座敷の世話をする「座敷女中」という説明もあり、赤い前垂れをつけたことから「赤前垂」と呼ばれた時代もあったそうです。

今の旅館では、仲居は「お客様をもてなす接客の専門の仕事」と考えておくのが自然です。言葉の歴史に触れる時も、仕事を下に見る意味で使わないように気をつけたいですね。

仲居の仕事内容は5つ|お迎え・客室・食事・お見送り・館内

仕事を5つに分けると全体が見える

仲居の仕事内容は「お迎え」「客室」「食事」「お見送り」「館内」の5つに分けられます。担当のお部屋を受け持ち、この5つをつなげてお客様をお世話します。

仲居の仕事は、細かく見ると数えきれないほどあります。ここでは5つの場面に分けて、旅館の仲居の仕事を見ていきましょう。

仲居の仕事をお迎え・客室・食事・お見送り・館内の5つに分けた図解
場面主な仕事気をつけたいこと
お迎え玄関でのご挨拶、荷物のお預かり、お部屋へのご案内第一印象を決める場面
客室お茶出し、館内や客室のご説明、浴衣の案内、お布団の準備お客様のくつろぎを邪魔しない
食事夕食・朝食の配膳と片付け、料理のご説明、飲み物の注文料理を出す間合い
お見送り出発の準備の声かけ、荷物の運び出し、玄関でのお見送り最後の印象を大切に
館内大浴場や売店の案内、ご要望への対応、ほかの係との連絡宿全体と情報をつなぐ

お迎えの仕事

お客様が到着したら、玄関でご挨拶をして、お荷物をお預かりします。お部屋までご案内しながら、館内の大浴場や食事処の場所を伝えます。

例えば、こんな声かけをします。

「ようこそお越しくださいました。本日お部屋を担当いたします〇〇でございます。お荷物、お預かりいたしますね」

お出迎えの作法は旅館のお出迎えとお見送りで詳しく紹介しています。

客室での仕事

お部屋に着いたら、お茶と季節のお菓子をお出しして、夕食の時間や浴衣のことなどをご説明します。客室でのお茶の入れ方は旅館のお茶の入れ方を見てみてください。

浴衣は、辞書では湯上がりにも着る木綿の単の着物と説明されています。寒い季節には、浴衣の上に重ねる丹前を用意する宿もあります。

夕食の後には、お布団を敷きにお部屋へ伺います。お客様がくつろいでいる時間なので、入る前のひと声が大切です。

「失礼いたします。お布団のご用意にまいりましたが、今よろしいでしょうか」

お布団を敷く時間の考え方は旅館の布団敷きでも紹介しています。

食事の仕事

お部屋で食事を出す宿では、仲居が料理を運び、ひと皿ずつご説明します。温かい料理を温かいうちに出せるよう、厨房と連絡をとりながら進めるんです。

旅館の客室で仲居が夕食を配膳する手元をイメージした写真

料理のご説明は、短く分かりやすくが基本です。例えば、こんな言い方をします。

「こちらは地元でとれた旬のお野菜の炊き合わせでございます。温かいうちにお召し上がりください」

飲み物の注文を受けたり、ご飯のおかわりを伺ったりするのも食事の時の仕事です。部屋食の段取りは旅館の部屋食とはで紹介しています。

お見送りの仕事

出発の日は、お会計の前後に荷物を運び、玄関でお見送りをします。宿によっては、車が見えなくなるまで頭を下げてお見送りすることもあります。

館内での仕事

大浴場の時間の案内、追加のタオルのお届け、急なご要望への対応など、館内のあらゆる場面で動きます。お客様から聞いたことをフロントや調理場、女将に伝える「つなぎ役」でもあります。

仲居が気にかけていることの例
  • お客様が到着した時の疲れ具合
  • お祝いや記念日など、旅の目的
  • 食べられない物や苦手な物
  • 翌朝の出発の時間と移動の手段

1組のお客様を担当した時の流れ|仲居の時間軸

到着から出発まで、ひと続きでお世話する

仲居の仕事は、1組のお客様の到着前から始まり、翌朝の出発で終わります。時間の流れで見ると、どこで何をしているのかがよく分かります。

旅館の仲居が1組のお客様を担当した時の流れを、時間の順に表にしました。食事の時間やお布団の準備のやり方は、宿によって違います。

時間の流れ仲居の仕事場面
到着の前予約の内容を確かめ、お部屋を整える客室
到着した時玄関でご挨拶、荷物を預かり、お部屋へご案内お迎え
お部屋に入ってからお茶出し、館内・夕食・浴衣のご説明客室
夕食の前料理の準備を厨房と確かめ、お部屋に食卓を整える食事
夕食の間料理を順に運び、ご説明し、飲み物を伺う食事
夕食の後片付け、お布団の準備客室
夜ご要望への対応、ほかの係への連絡館内
翌朝朝食の配膳と片付け食事
出発の前お布団を上げ、荷物を運ぶ手伝いをする客室
出発の時玄関でのお見送りお見送り
1組のお客様の到着から出発までの仲居の仕事の流れを示した図解

何組かを同時に受け持つことも

1人の仲居が、何組かのお客様を同時に担当することもあります。夕食の時間が重なると、お部屋を行き来しながら料理を出すことになります。

『そんなに大勢を一度に見られるの?』と思いますよね。実は、到着の時間や食事の時間を少しずつずらして、無理なく回せるように段取りを組んでいるんです。

働き始めの頃によくある失敗

慣れないうちは、料理を出す間合いが早すぎたり、お客様のくつろぐ時間にお部屋へ入りすぎたりしがちです。お部屋に入る前のひと声と、厨房との確認を習慣にしておくと安心です。

中抜けのある働き方

食事の時間が朝と夕方に分かれているので、仲居の働き方は、昼に長い休憩をはさむ「中抜け」になることが多いです。宿泊業界の求人には、例えば「7時から11時、16時半から20時半」のような勤務の例が見られます。

一方で、早番と遅番に分ける2シフト制の宿もあります。働き方の考え方は女将の休みと働き方でも紹介しています。

休憩についての決まり

労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩が必要です。休憩は、仕事から離れて自由に使える時間であることが求められています。

仲居と女将の関わり|違いとチームワーク

女将は全体をまとめ、仲居はお部屋を受け持つ

女将は旅館の接客全体をまとめる立場で、仲居は担当のお部屋のお客様をお世話する立場です。2人は情報をやりとりしながら、ひとつのおもてなしを作っています。

女将は、辞書では旅館や料理屋などの女主人と説明されています。大きな宿では、経営者の一族がなり、主に接客をまとめる職名にもなっている、という補足もあります。

一方で仲居は、担当のお客様の一番近くにいる人です。2人の役割を比べてみましょう。

比べること女将仲居
受け持つ範囲宿全体の接客担当のお部屋のお客様
お客様との関わりご挨拶やお礼状など、宿の顔として配膳やお布団など、滞在中ずっとそばで
ほかの人との関わり仲居への指示や育成気づいたことを女将やフロントに伝える
外とのつながり地域や取引先とのお付き合い館内の細かなご要望への対応

どちらが上というより、受け持つ範囲が違うと考えると分かりやすいですよ。

女将と仲居の違いは、女将と仲居の違いでさらに詳しく紹介しています。女将という立場の全体は女将とはを見てみてください。

女将と仲居のやりとりの例

例えば、お客様が記念日で泊まっていると分かった時は、こんなやりとりがあります。

「女将さん、〇〇のお部屋のお客様、今日が結婚記念日だそうです」
「ありがとう。夕食の時に、私からもひと言お祝いをお伝えしますね」

仲居が気づいたことを女将に伝え、女将が宿としての気持ちを形にする。この連携が、旅館らしいおもてなしにつながっています。

仲居から女将になる道もある

仲居として働きながら接客の経験を積み、接客をまとめる立場や女将を任される人もいます。女将になる道のりは女将になるにはで紹介しています。

仲居の仕事で身につくのは、お客様の様子を読む力、和室での動き方、季節に合わせた言葉選びなどです。どれも、女将の仕事にそのままつながる力なんです。

『いきなり女将を目指すのは不安』という方こそ、まずは仲居として旅館の1日を体で覚えてみるのも、ひとつの道ですよ。

仲居の仕事に向いている人と始め方

未経験からでも始めやすい仕事

仲居は、先輩に教わりながら覚えていく形が多く、未経験から旅館で働きたい人の入り口にもなっています。気配りが好きな人には、やりがいを感じやすい仕事です。

仲居の仕事に向いている人の特徴を、チェック表にしました。全部に当てはまらなくても大丈夫ですよ。

仲居の仕事に向いている人
  • 人の役に立つことにうれしさを感じる
  • 相手の表情や様子の変化に気づける
  • 和室での立ち居振る舞いや着物に興味がある
  • 段取りを考えて動くのが好き
  • 体を動かす仕事が苦にならない

仲居の仕事で役立つ資格

仲居になるのに決まった資格はありません。ただ、学びの目標になる検定はあります。

資格・検定役立つ場面受けられる人の例
サービス接遇検定言葉遣いや応対の基本受験資格の制限なし
レストランサービス技能検定料理や飲み物のサービス3級は料飲サービスの実務経験1年以上など
ホテル・マネジメント技能検定ホテル・旅館の業務全般3級はホテル・旅館の業務に従事している人、従事しようとする人
着付け技能士着物を着る仕事、着付けを教える仕事実務経験などの条件あり

『働きながら資格も取れるかな』と思った方は、まず受験資格に制限のない検定から考えてみてください。

仲居の仕事を探す方法

仲居の求人は、宿泊業界専門の転職支援サービスやハローワーク、求人サイト、宿の公式サイトで探せます。おもてなしHRの求人の分類にも「仲居」という職種があり、客室の分類には「客室係」があります。

求人を見る時は、次の点を確かめておきましょう。

確かめたいこと理由
担当の仕方(お部屋担当か、場面ごとの担当か)仕事の流れが変わる
部屋食か食事処か配膳の仕方と動く距離が変わる
中抜けの有無1日の過ごし方が変わる
着物の用意と着付けを教わる機会仕事着の準備が変わる
寮・住み込みの有無住まいの準備が変わる

未経験から旅館で働く始め方は未経験から旅館で働くには、旅館のほかの仕事は旅館の仕事の種類で紹介しています。

宿泊業の賃金と人の動き

公的統計では、宿泊業,飲食サービス業の所定内給与額(残業代・賞与を含まない)は、令和7年の賃金構造基本統計調査で男女計277.2千円でした。飲食サービス業と合わせた数字で、仲居だけの金額ではありません。

令和7年の雇用動向調査では、宿泊業,飲食サービス業の入職率は27.8%です。新しく働き始める人が多い業界なので、未経験の人にも入り口が開かれています。

仲居の仕事に興味が出てきたら、『自分に合う宿はどこだろう』と思いますよね。働き方や条件を比べながら探したい時は、宿泊業界に詳しい人に相談してみるのも1つの方法です。

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旅館・ホテルの仕事を探すなら、宿泊業界専門の転職支援に相談

おもてなしHRは、ホテル・旅館などの宿泊業界の求人専門の転職支援サービスです。専任のキャリアアドバイザーが、経験の有無や希望職種を問わず、書類作成や面接の日程調整、条件面の相談まで無料でサポートします。

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サービスの内容は公式サイトでご確認ください。

おもてなしHRは、株式会社ネクストビートが運営する、ホテル・旅館などの宿泊業界の転職支援サービスです。仲居や客室係の求人について、休日や給与などの条件も含めてキャリアアドバイザーに相談できます。

履歴書の作成サポートや面接の日程調整も、求職者は無料で使えます。もちろん、ハローワークや宿の公式サイトから応募するのも良い方法ですよ。

仲居さんについてよくある相談

お客様の側からも、働く側からも疑問が多い

仲居さんの勤務の様子や、お見送り、食事の時の動きについての相談がよく寄せられています。代表的なものに答えますね。

「仲居さんの勤務体系はどうなっているの?」

チェックインの時もチェックアウトの時もいる仲居さんは、いつ休んでいるのか、という相談はとても多いです。

多くの宿では、朝食と夕食の時間に合わせて働き、昼に中抜けの休憩をとります。早番と遅番に分けて、交代で働く宿もあります。

朝も夜も同じ人がいるように見えるのは、中抜けの働き方だからなんです。休日は、法律では少なくとも毎週1日か、4週間で4日以上とされています。

「チェックアウトの時に見送るのは女将だけ?」

お見送りをするのは女将や若女将で、一般の従業員はしないのでは、という相談もあります。

お見送りを誰がするかは、宿によって違います。女将が玄関に立つ宿もあれば、担当の仲居がお見送りする宿、みんなで並ぶ宿もありますよ。

「部屋食の時、仲居さんは料理を置いたらすぐいなくなる?」

部屋食で、料理を運んできた仲居さんはすぐ部屋を出るのか、という相談もあります。

一般的には、料理を出してご説明をしたら、いったんお部屋を出ることが多いです。次の料理の時や、お客様に呼ばれた時にまた来ます。

お客様のくつろぎを大切にするために、そばに居続けないようにしているんです。用がある時は、遠慮なく声をかけて大丈夫ですよ!

よくある質問

仲居さんに心付けは渡すべきですか?

日本旅館協会の説明では、宿泊料金にサービス料が加わっているので、基本的にチップを渡す必要はないとされています。ただ、感謝の気持ちとして心付けを渡すお客様もいます。考え方は旅館の心付けとはで紹介しています。

仲居の仕事は未経験でもできますか?

未経験から始める人も多い仕事です。先輩の仲居から、配膳やお布団の準備、言葉遣いを教わりながら覚えていく形が一般的です。

仲居は着物を自分で着られないといけませんか?

宿によって違います。仕事着が着物の宿では、着付けを教わる機会があることもあります。作務衣や洋装の宿もあるので、求人で確かめておきましょう。

泊まっている時、仲居さんを何と呼べばいいですか?

名前を名乗ってくれた時は「〇〇さん」と呼ぶと丁寧です。名前が分からない時は「すみません」と声をかけても失礼にはなりません。お部屋の電話でフロントに伝える方法もあります。

仲居と客室係は同じ仕事ですか?

ほぼ同じ仕事を指すことが多いです。昔ながらの呼び方が「仲居」、求人などで仕事の中身を表した呼び方が「客室係」と考えると分かりやすいです。

まとめ

この記事の要点
  • 仲居とは、旅館や料亭でお客様の接待をする人のこと
  • 仲居の仕事内容は、お迎え・客室・食事・お見送り・館内の5つに分けられる
  • 1組のお客様の到着前から出発まで、ひと続きでお世話する
  • 女将は接客全体をまとめ、仲居はお部屋を受け持って連携する
  • 未経験からでも始めやすく、中抜けの有無などは求人で確かめる
女将ガイド

女将ガイド 編集部

旅館の女将・若女将の仕事と役割、女将になるまでの道のり、着物や立ち居振る舞い、旅館のしきたりとおもてなし、旅館・料亭で働く方法までを、やさしく整理している情報サイトです。 公式サイト

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