旅館とホテルの違い|旅館業法の決まりと女将がいる宿の特徴

旅館とホテルの違いを紹介する記事のアイキャッチ。和室の客室と洋室の客室を並べたイメージ

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旅行の宿を探していて、『旅館とホテルって、結局何が違うの』と思ったことはありませんか。最近は温泉付きのホテルや、ベッドのある旅館も増えていて、ますます分かりにくいですよね。

結論から言うと、今の旅館業法では旅館とホテルに法律上の区別はなく、違いは部屋の造りや食事、接客の形に表れるものです。名前より、どんな過ごし方ができる宿かで見ると選びやすくなります。

この記事を読めば、法律での扱いと、泊まって感じる違いの両方が分かります。

目次

旅館とホテルの違いは?先に答えをまとめると

先に結論

旅館業法では、2018年(平成30年)に旅館営業とホテル営業が統合され、今はどちらも「旅館・ホテル営業」です。私たちが感じる違いは、和室か洋室か、食事の形、接客のしかたなどの「宿のスタイル」から来ています。

『昔は法律で分かれていたって聞いたけど?』と思う方もいるはずです。実は、以前は旅館営業とホテル営業が別々の種類になっていたんです。

それが法律の改正で1つにまとめられました。だから今は、宿の名前に「旅館」とつくか「ホテル」とつくかは、それぞれの宿が決めていることなんです。

旅館とは?辞書ではこう説明されている

では、旅館とは何でしょうか。デジタル大辞泉では、旅館を「人を宿泊させることを業とする家」と説明しています。

そのうえで、ふつうはホテルなどに対して和風の宿をいう、とも書かれています。日本大百科全書でも、客室の造りや設備が和式のものを旅館、洋式のものをホテルとするのが原則とされています。

辞書・事典旅館についての説明
デジタル大辞泉人を宿泊させることを業とする家。ホテルなどに対して和風の宿をいう
日本大百科全書客室の造りや設備が和式のものを旅館、洋式のものをホテルとする
世界大百科事典明治時代に、それまでより高級な宿泊施設を指す言葉として使われ始めた

世界大百科事典によると、明治のころの一般的な呼び方は「宿屋」でした。「旅館」という言葉が広く使われるようになったのは昭和になってからだそうです。

旅館にもいろいろな種類がある

ひと口に旅館といっても、立地や役割で呼び方が分かれます。日本大百科全書では、旅館を次のように分けています。

大きな分け方さらに分けた呼び方イメージ
市街地旅館普通旅館、割烹旅館町なかにあり、仕事や用事で泊まる人も多い
観光地旅館温泉旅館、観光旅館温泉地や観光地にあり、旅そのものを楽しむ

『旅館=温泉』というイメージが強いですよね。でも、町なかで料理を大切にしてきた割烹旅館のような宿もあるんです。

旅館業法では、旅館もホテルも同じ「旅館・ホテル営業」

法律の区分は4つではなく3つ

旅館業法では、旅館業を「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の3つに分けています。旅館とホテルは、同じ「旅館・ホテル営業」の中に入っています。

旅館業法は、宿を営む時のルールを決めた法律です。宿を営むには、都道府県知事などの許可を受けることになっています。

第1条では、旅館業の健全な発達を図り、利用する人の求めに合ったサービスを広げることで、公衆衛生と国民生活の向上に役立てることが目的とされています。宿には宿泊者名簿を備えることも決められていて、チェックインで名前や住所を書くのはこのためなんです。

旅館業法の第2条では、旅館業の種類が次のように決められています。

営業の種類法律での説明(要約)身近な例
旅館・ホテル営業施設を設け、宿泊料を受けて人を泊める営業のうち、簡易宿所・下宿以外のもの旅館、ホテル
簡易宿所営業宿泊する場所を多数の人で共用する造りや設備を主とする営業相部屋の宿など
下宿営業1か月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて人を泊める営業下宿
旅館業法の営業の種類を、旅館・ホテル営業、簡易宿所営業、下宿営業の3つに分けて示した図解

『民宿やペンションはどこに入るの?』という疑問もありますよね。民宿やペンションという名前の区分は法律にはなく、設備や営業の形によって、上の3つのどれかで許可を受けています。

2018年に旅館営業とホテル営業が統合された

厚生労働省の資料によると、旅館業法の改正で、ホテル営業と旅館営業の種類が統合されて「旅館・ホテル営業」になりました。改正法は平成29年12月15日に公布され、平成30年6月15日に施行されています。

この改正で、無許可で営業する人への立入検査などの規定も整えられました。和室か洋室かで法律上の種類を分ける時代は、ここで終わったんですね。

今の法律で決まっている客室の広さ

旅館業法施行令では、旅館・ホテル営業の客室の床面積は、7平方メートル以上(寝台を置く客室は9平方メートル以上)とされています。宿泊する人と面接できる玄関帳場などの設備も求められています。

2023年の改正で変わったこと

令和5年12月13日には、旅館業法がもう一度改正されて施行されました。過重な負担となる要求を繰り返すお客様の宿泊を断れるようになったのが、大きな変更の1つです。

あわせて、宿は宿泊を断る時に客観的な事実で判断し、求めに応じて理由を丁寧に説明できるようにすることになりました。特に配慮が必要なお客様に合ったサービスができるよう、従業者に研修の機会を与える努力も求められています。

部屋・食事・接客・女将の有無で比べる旅館とホテルの違い

違いは「宿のスタイル」で見ると分かりやすい

法律で区別がなくなった今、旅館とホテルの違いは、部屋の造り、食事の形、接客のしかた、女将がいるかどうかに表れます。どれもあくまで傾向なので、宿ごとに確かめてみてください。

『名前が旅館でも、中はホテルみたいな宿もあるし…』と感じる方も多いですよね。そこで、旅館とホテルを5つの点で並べてみました。

旅館とホテルを、法律上の区分・部屋の造り・食事・接客の形・女将の有無の5つで比べた図解
比べる点旅館に多い形ホテルに多い形
法律上の区分旅館・ホテル営業旅館・ホテル営業(同じ)
部屋の造り畳の和室、床の間、布団洋室、ベッド
食事夕食と朝食がつく1泊2食が多い素泊まりや朝食のみが選びやすい
接客の形担当の仲居さんが部屋で案内や配膳をするフロントやレストランなど、場所ごとにスタッフが対応する
女将の有無宿の顔として女将がいる宿が多い支配人やフロントが中心で、女将はいないことが多い

部屋の造りの違い

旅館の客室は、畳の和室に床の間がある造りが多いですよね。日本旅館協会の会員の基準でも、客室に床の間かそれに代わる造作があることや、次の間か踏込みがあることが挙げられています。

ホテルは、洋室にベッドを置いた部屋が中心です。最近は、和室にベッドを置いた和洋室の旅館もあり、境目はだんだんゆるやかになっています。

食事の違い

ブリタニカ国際大百科事典では、今の旅館は「1泊2食」の料金が一般的と説明されています。食事を含まない泊まり方は「素泊り」と呼ばれます。

ホテルは、泊まるだけの料金に、朝食などを選んで足す形が多いです。夕食は館内のレストランや、外のお店で自由にとるイメージですね。

接客の形と女将の有無の違い

旅館の接客
  • 担当の仲居さんが到着から出発までお世話をする
  • 女将が客室へご挨拶に来る宿もある
  • お茶出しや布団の用意など、部屋の中でのお世話が多い
ホテルの接客
  • フロント、ベル、レストランなど、場所ごとに担当が分かれる
  • 部屋に入ってのお世話は少なく、ひとりで過ごしやすい
  • 女将ではなく、支配人が宿全体を預かることが多い

旅館に女将がいるのは、家族で宿を営んできた歴史とも関係があります。詳しくは旅館に女将がいるのはなぜ?で紹介しています。

旅館とホテル、どちらが向いている?

『結局、自分にはどっちが合うんだろう』と迷う方もいますよね。過ごし方の好みで、ざっくり分けてみました。

旅館らしい宿が向いている人
  • 夕食も朝食も、宿でゆっくり楽しみたい
  • 畳の部屋で足を伸ばしてくつろぎたい
  • 仲居さんや女将との会話も旅の楽しみにしたい
  • 記念日の準備などを宿に相談したい
ホテルらしい宿が向いている人
  • 夕食は外のお店で自由に選びたい
  • 部屋では誰にも気をつかわずに過ごしたい
  • チェックインの後の予定が決まっていない

旅館とホテルの違いでよくある相談

迷った時は「どう過ごしたいか」で選ぶ

旅館とホテルの違いについての相談は、和室か洋室か、法律の決まり、設備の違いの3つが多いです。名前で決めるより、自分の過ごし方に合うかで選ぶのがおすすめです。

旅館とホテルの違いについて、よく寄せられる相談を3つ取り上げます。

相談1:旅館とホテルの違いは、和室と洋室の違いだけ?

旅館とホテルの違いは、部屋が和室か洋室かだけなのか、という相談です。

部屋の造りは大きな違いですが、それだけではありません。食事が部屋に運ばれるか、担当の仲居さんがつくかなど、過ごし方そのものが変わります。

辞書でも、和式の宿を旅館、洋式の宿をホテルとするのが原則と説明されています。ただ、和洋室の旅館や和室のあるホテルもあるので、予約の時に部屋の写真を見ておくと安心です。

相談2:民宿・旅館・ホテルの違いは、法律で決まっている?

民宿、旅館、ホテルの違いは、法律で決まっているのか、という相談です。

結論から言うと、名前の違いを決めた法律はありません。旅館業法の区分は「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の3つで、旅館とホテルは同じ区分です。

民宿という名前の宿も、営業の形によってどれかの区分で許可を受けています。宿の名前だけで、法律の区分までは分からないんですね。

相談3:ホテルにも露天風呂や和室があるけど、何が違うの?

最近はホテルにも露天風呂や客室露天風呂があり、旅館にもベッドの部屋がある。違いが分からない、という相談です。

その感覚は正しいんです。法律の区分が1つになったこともあり、旅館とホテルの境目は少しずつ近づいています。

違いを感じやすいのは、人との関わり方です。仲居さんや女将との会話を楽しみたい方は旅館らしい宿を、気兼ねなく過ごしたい方はホテルらしい宿を選ぶと満足しやすいですよ。

数字で見る、旅館・ホテル営業の施設

厚生労働省の衛生行政報告例によると、令和6年度末の旅館・ホテル営業は52,946施設でした。旅館業全体では98,338施設です。

法律で旅館とホテルがまとまっているので、旅館だけの数は統計では分かりません。女将がいる宿も、この中に含まれています。

旅館の仕事に興味を持った方へ

旅館とホテルの違いを知って、それぞれの働き方に興味がわいた方もいるかもしれません。女将の仕事の全体は、女将とは?意味と旅館で女将が担う役割で紹介しています。

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よくある質問

旅館とホテルの違いは、法律で決まっていますか?

今の旅館業法では区別はありません。2018年(平成30年)6月15日施行の改正で、旅館営業とホテル営業が「旅館・ホテル営業」に統合されました。

旅館とは、どんな宿のことですか?

辞書では、人を宿泊させることを業とする家で、ホテルなどに対して和風の宿をいうと説明されています。畳の和室や1泊2食の料金が、旅館らしい特徴です。

旅館業法とは、どんな法律ですか?

宿を営む時のルールを決めた法律です。営業の種類や、都道府県知事などの許可、宿泊者名簿を備えることなどが定められています。

旅館に泊まる時、ホテルと違うマナーはありますか?

玄関で靴を脱ぐ、床の間に荷物を置かないなど、和室ならではの気配りがあります。詳しくは旅館のマナーで紹介しています。

まとめ

この記事の要点
  • 今の旅館業法では、旅館とホテルは同じ「旅館・ホテル営業」で、法律上の区別はない
  • 旅館営業とホテル営業は、2018年(平成30年)6月15日施行の改正で統合された
  • 旅館とは、辞書では和風の宿をいい、和室や1泊2食が特徴
  • 違いは部屋の造り、食事、接客の形、女将の有無に表れる
  • 宿の名前より、自分がどう過ごしたいかで選ぶと満足しやすい
女将ガイド

女将ガイド 編集部

旅館の女将・若女将の仕事と役割、女将になるまでの道のり、着物や立ち居振る舞い、旅館のしきたりとおもてなし、旅館・料亭で働く方法までを、やさしく整理している情報サイトです。 公式サイト

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