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毎日着物で働くようになって、『脱いだ着物、このまましまっていいのかな』と迷っていませんか。お手入れの話はたくさんあって、何から覚えればいいか分かりにくいですよね。
結論から言うと、着物の手入れは「着た日」「季節の終わり」「年に一度」の3つの時期に分けて考えると続けやすくなります。毎日することは、ほんの数分で終わることばかりなんです。
この記事では、時期ごとの手入れと、着物のたたみ方、しまう時の工夫が分かります。
着物の手入れは3つの時期に分けて考える
着た日は「風を通して汚れを見る」、季節の終わりは「洗うか専門店に出すかを決める」、年に一度は「全部を出して風を通す」。この3段階に分けると、手入れを溜めずに済みます。
着物の手入れというと、大がかりな作業を想像する方も多いはずです。でも毎日着る人ほど、一度にまとめてやろうとすると続かないんです。
そこでこの記事では、手入れを時期ごとに分けてみました。

| 時期 | すること | 目安の時間 |
|---|---|---|
| 着た日 | ハンガーに掛けて風を通す、衿・袖口・裾の汚れを見る、半衿と足袋を替える | 数分 |
| 季節の終わり | 汚れの残った着物を洗うか専門店に出すか決める、次の季節の着物と入れ替える | 半日ほど |
| 年に一度 | しまってある着物を全部出して虫干しする、畳紙を見直す | 天気のよい日に1日 |
「目安の時間」は、着物の枚数や宿の忙しさで変わります。自分の暮らしに合わせて、無理のない予定にしてみてください。
着た日の手入れ:脱いだあとにすること
脱いだ着物は、すぐにたたまず掛けておく方法がよく取られます。そのあいだに汚れを見ておけば、翌日の着付けもあわてずに済みますよ。
仕事が終わって疲れていると、『今日はもう畳んでしまいたい』と思う日もありますよね。でも、ここでひと手間かけるかどうかで、着物の持ちが変わってくるんです。
- 帯を解いたら、着物を着物用のハンガーに掛ける
- 衿・袖口・裾・前の合わせを明るい所で見る
- 半衿の汚れを見て、替えるか洗うかを決める
- 足袋は洗濯に回し、翌日の替えを出しておく
- 湿気が抜けたら、たたんでしまう
半衿は、長襦袢の衿にかけて、汚れを防ぐことと飾りを兼ねる衿のことです。毎日着る仕事着では、いちばん汚れやすい所なので、替えを何枚か用意しておくと楽になります。
毎日着る人が用意しておくと楽な物
毎日着物を着る女将や仲居さんは、手入れの道具を手の届く所にまとめている人が多いです。仕事終わりにあちこち探さずに済むだけで、手入れはぐっと続けやすくなります。
| 用意する物 | 使う場面 | あると楽になる理由 |
|---|---|---|
| 着物用のハンガー | 脱いだ直後 | 肩の形を崩さずに掛けておける |
| 替えの半衿 | 衿が汚れた日 | 洗う間も、次の日の着付けに困らない |
| 替えの足袋 | 毎朝の着付け | 洗濯が乾かない日も白い足袋をはける |
| 畳紙 | しまう時 | たたんだ着物をそのまま包んでしまえる |
| 小さなメモ帳 | 汚れを見つけた時 | どの着物のどこが汚れたかを忘れない |
『そこまでそろえる余裕はない』という方は、まずハンガーと替えの半衿からで大丈夫ですよ。
汚れを見つけた時は
汚れは、時間が経つほど落ちにくくなると言われます。気づいた日のうちに、どこに何がついたかを確かめておきましょう。
汚れを落とそうとして、濡れた布で強くこすってしまうことがあります。絹の着物は、水がついた所に輪じみが残ることもあるので、自分で落とせるか迷ったら、着物の手入れを扱う専門店に相談してみてください。
『どの汚れなら自分で落とせるの?』と迷った時は、無理をしないのがいちばんです。どこで何がついたかを覚えておくと、相談する時にも話が早くなります。
着物のたたみ方
着物のたたみ方にはいくつかありますが、ふだんの着物は「本だたみ」というたたみ方でしまうのが一般的です。縫い目に沿って折るので、慣れると手が覚えてくれます。
着物のたたみ方は、着付けの国家検定である着付け技能士の学科試験の範囲にも入っています。それだけ、着物を扱う人にとって基本の技なんです。
- 着物を、衿が左、裾が右にくるように広げる
- 手前の脇の縫い目に沿って折り、前の衽を折り返す
- 奥の衿と衽を、手前の衽にぴったり重ねる
- 奥の脇の縫い目を、手前の脇の縫い目に重ねる
- 上になった袖を、身頃の上に折り返す
- 身頃を半分に折り、残りの袖を下に折り込む
最初は、広い場所でゆっくり進めるのがおすすめです。畳の上にたとう紙を広げて、その上でたたむと汚れにくいですよ。
時間がない日は、たたみ方を分けて考える
旅館の仕事では、夜遅くに着物を脱ぐ日もありますよね。そんな日は、ハンガーに掛けたまま一晩置いて、翌朝に本だたみにする方法もあります。
帯は着物とたたみ方が違います。帯の種類や扱い方は帯の種類と結び方を見てみてください。
たたむ時によくあるつまずき
本だたみで迷いやすいのは、衽を折り返す所と、袖を重ねる所です。縫い目がずれたまま重ねると、しまっている間に余計な折りじわがつくこともあります。
「衿の所がうまく重ならないんですが、どこから直せばいいですか」
「一度広げ直して、脇の縫い目を合わせる所からやってみましょう」
こんなふうに、分からない所は先輩に見てもらうのが早道です。一度見てもらうと、次からは迷わなくなりますよ。
着物の保管:しまう時に気をつけたいこと
着物の保管で困りやすいのは、湿気によるかびと、虫による傷みです。風を通すことと、包んでしまうことの2つで、どちらも防ぎやすくなります。
畳紙に包んでしまう
畳紙(たとうがみ)は、たたんだ着物を包んでしまう紙のことです。今は、白地の和紙で四方から包み、こよりやひもで結ぶ形のものも指すと辞書で説明されています。
畳紙は、湿気を吸ったり、黄ばんだりしてきたら替え時です。年に一度の虫干しの時に、一緒に見直しておくと忘れません。
- 汚れが残っていないか、明るい所で見た
- 湿気が抜けるまで、しばらく掛けておいた
- 本だたみで、縫い目に沿ってたたんだ
- 畳紙が黄ばんだり湿ったりしていない
- 日の当たらない、湿気の少ない場所にしまう
しまう場所の選び方
旅館で働く人は、寮や宿の中の部屋で着物をしまうこともありますよね。広い収納がなくても、置き場所を少し工夫するだけで湿気はたまりにくくなります。
| しまう場所 | 気をつけたいこと |
|---|---|
| 押し入れ | 床に直接置かず、すのこなどで下に空気の通り道をつくる |
| 衣装ケース | 詰め込みすぎず、ときどきふたを開けて風を通す |
| たんす | 重ねる枚数を控えめにして、下の着物がつぶれないようにする |
| 窓の近く | 日の光で色があせないよう、カーテン越しでも長く置かない |
どの場所でも、着物を何枚も重ねすぎないことがポイントです。下の着物に重みがかかると、たたみじわが取れにくくなってしまいます。
季節の終わりにすること
季節の変わり目は、次の季節の着物と入れ替えるタイミングです。しまう前に、その季節に着た着物をまとめて見直しておきましょう。
- その季節に着た着物を、1枚ずつ広げて汚れを見る
- 汚れが残った物は、専門店に相談する物として分けておく
- きれいな物は、本だたみにして畳紙に包む
- 次の季節の着物を出して、しわや汚れがないか見る
- 半衿や足袋も、次の季節の分をそろえておく
季節ごとの着物の選び方は、女将の着物で紹介しています。
年に一度の虫干し
虫干しは、衣類などを陰干しして風を通し、虫の害やかびを防ぐことです。いつ行うかは、辞書によって少し書き方が違います。
| 出典 | 虫干しの時期 |
|---|---|
| 日本大百科全書 | 夏の土用(立秋の前の18日間)。近年は、秋の晴天が2日以上続いた日のあとを選ぶ |
| ブリタニカ国際大百科事典 | 6月から7月のつゆ明けの晴れた日。11月から2月ごろの乾燥した時期にもう一度するとよい |
どちらにも共通しているのは、「晴れて乾いた日を選ぶ」ことです。宿の繁忙期を避けて、自分が手を空けやすい時期を選んでみてください。
虫干しの日は、着物を衣桁やハンガーに掛けて、直接日の当たらない風通しのよい部屋に広げておきます。夕方、湿気が戻ってくる前にしまい終えると安心ですよ。
『一度に全部は大変』という時は、袷の日と夏物の日、のように晴れた日を何回かに分けて進めてもかまいません。

着物の手入れでよくある相談
着物の手入れは、素材や仕立てで向く方法が変わります。一人で判断しにくい時は、専門店や宿の先輩に聞くのが近道ですよ。
着物の手入れや保管について、よく寄せられる相談を3つ取り上げます。
着物の汚れ落としに使うと聞いたベンジンを、どこで買えばいいか知りたい、という相談です。
ベンジンのような薬剤を使う汚れ落としは、慣れていないと輪じみや色落ちにつながることがあります。まずは、汚れの場所と原因を確かめて、専門店に相談してみるのが安心です。
自分で試す場合も、目立たない所で様子を見てから、少しずつ進めてみてください。
絹の夏の着物を、家で洗濯できるのか、クリーニングに出すべきか、という相談です。
絹の着物は、水で洗うと縮んだり風合いが変わったりすることがあります。家で洗えるかどうかは、素材や仕立てによって違うんです。
『汗をたくさんかいたから洗いたい』という気持ちは自然ですよね。そんな時は、季節の終わりにまとめて専門店に相談する、と決めておくと迷いません。
着物を、市販のプラスチックケースに防虫剤と入れておくか、桐のたんすを買うべきか、という相談です。
どちらにするかより大事なのは、湿気をためないことと、ときどき出して風を通すことです。ケースでしまう場合も、畳紙で包んで、年に一度は全部出して虫干しすると安心ですよ。
着物の手入れから、旅館の仕事に興味を持った方へ
着物の手入れを覚えると、着物を着る仕事に興味がわく方もいるはずです。毎日の着付けの流れは女将の着付け、着物の種類や格は女将の着物で紹介しています。
旅館やホテルで働いてみたいと思った時は、宿泊業界の求人を相談できる窓口を使う方法もあります。着物の貸し出しや手入れの決まりも、応募前に確かめておくと安心です。
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よくある質問
着物は着るたびにクリーニングに出すべきですか?
毎回出す必要はありません。着た日は風を通して汚れを見るだけにして、汚れが残った物や季節の終わりの物を、まとめて専門店に相談する方法があります。
脱いだ着物は、すぐにたたんでいいですか?
すぐにたたまず、着物用のハンガーにしばらく掛けておく方法がよく取られます。湿気が抜けて、汚れにも気づきやすくなります。
着物の保管に畳紙は必要ですか?
畳紙は、たたんだ着物を包んでしまうための紙です。ほこりや汚れから守ってくれるので、包んでしまっておくと安心です。黄ばんだり湿ったりしたら替えましょう。
帯も着物と同じように手入れしますか?
帯も、使ったあとは風を通して汚れを見てからしまうのが基本です。たたみ方は着物と違うので、帯の種類に合わせて扱いましょう。
虫干しはいつすればいいですか?
辞書では、夏の土用や秋の晴天が続いた日、つゆ明けや冬の乾燥した時期が挙げられています。晴れて乾いた日を選ぶのが共通点です。
まとめ
- 着物の手入れは「着た日」「季節の終わり」「年に一度」の3つに分ける
- 着た日はハンガーに掛けて風を通し、衿・袖口・裾の汚れを見る
- ふだんの着物は本だたみで、縫い目に沿ってたたむ
- 保管は湿気と虫に気をつけ、畳紙に包んでしまう
- 汚れが落とせるか迷ったら、専門店や詳しい人に相談する





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