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初めての旅館や、ちょっと格式のありそうな宿に泊まる前。『靴はどう脱ぐの』『浴衣で歩き回っていいの』と、急に心配になることはありませんか。
結論から言うと、旅館のマナーは「時間とお願いは早めに伝える」「ほかのお客様と分け合う場所に気を配る」「迷ったら聞く」の3つでほとんど足ります。細かい作法を全部覚えなくても大丈夫なんです。
この記事を読めば、到着から出発までの6つの場面ごとに、気をつけたいことと気にしなくていいことが分かります。
旅館のマナーで、まず押さえたい3つのこと
旅館は、宿の人がお客様の到着から出発まで目を配ってくれる場所です。だからこそ、時間の連絡と、共有の場所への気配りがいちばん喜ばれます。作法の細かさより、この2つを意識してみてください。
旅館のマナーと聞くと、和室での座り方や襖の開け方など、難しい作法を思い浮かべる方も多いはずです。でも実は、宿の人が困るのは作法の間違いより、連絡がないまま時間がずれることだったりします。
例えば夕食の時間です。料理は到着の時間や食事の時間に合わせて準備が進むので、遅れる時にひと言あるだけで、厨房も仲居さんもずいぶん助かるんです。
| 押さえたいこと | なぜ大事か | 具体的にすること |
|---|---|---|
| 時間とお願いは早めに伝える | 料理や布団の準備が、お客様の予定に合わせて進むから | 到着が遅れる時や、食事の時間を変えたい時は電話する |
| 共有の場所に気を配る | 廊下や大浴場は、ほかのお客様と分け合う場所だから | 夜の廊下では声を落とし、大浴場では使った物を戻す |
| 迷ったら聞く | 宿ごとに決まりが違い、聞かれるのは宿の人の仕事だから | 帳場に電話するか、仲居さんに声をかける |
「旅館らしい作法」は、知らなくても大丈夫
『正座が苦手だけど、失礼にならないかな』と気になる方もいますよね。旅館は、お客様にくつろいでもらうための場所です。
座椅子に座ったり、足を崩したりしても、誰も気にしません。和室での立ち居振る舞いを知りたい方は、着物の所作と立ち居振る舞いも参考になりますよ。
「畳の縁を踏んではいけない」とよく言われますよね。小笠原流礼法の宗家の解説では、畳の縁を踏まないという決めごとは礼法には無いとされています。一方で、敷居は家を支える大事な部分なので、踏まないほうがよいと説明されています。
到着・客室・大浴場・食事・夜・出発の6場面で見る旅館の過ごし方
旅館の過ごし方は、到着から出発までを6つの場面に分けると分かりやすくなります。それぞれの場面で、気をつけたいことは2つか3つだけです。
旅館での過ごし方の解説は、作法がばらばらに並んでいることが多いですよね。それだと、いつ何に気をつければいいのか分かりにくいんです。
そこでこの記事では、旅館で過ごす時間を6つの場面に分けてみました。

| 場面 | 気をつけたいこと | 気にしなくていいこと |
|---|---|---|
| 到着 | 遅れる時は連絡する、玄関で靴を脱ぐ | 玄関での細かい靴のそろえ方 |
| 客室 | 床の間に荷物を置かない、お願いは早めに伝える | 正座を続けること |
| 大浴場 | 体を洗ってから湯船へ、使った物を元に戻す | 入る回数や時間帯 |
| 食事 | 時間に遅れそうなら連絡、苦手な物は先に伝える | 料理を全部食べきること |
| 夜 | 廊下や客室で声を落とす、門限を確かめる | 早く寝ること |
| 出発 | 忘れ物を確かめる、浴衣やタオルをまとめる | 布団をきれいに畳むこと |
この表の「気にしなくていいこと」も、実は大事なところです。気にしすぎて疲れてしまうより、ゆったり過ごしてもらうほうが宿の人はうれしいんです。
到着から客室へ|旅館のチェックインと最初の過ごし方
旅館のチェックインでは、名前や住所、連絡先を登録します。到着が予定より遅れそうな時は、先に電話を入れておくと宿の準備がスムーズです。
旅館に着いたら、まず玄関で靴を脱いで上がる宿が多いですよね。ここで『脱いだ靴はどうするの』と迷う方もいるはずです。
玄関で靴を脱ぐ時は
宿の人が「お履き物はそのままで」と声をかけてくれたら、そのまま上がって大丈夫です。靴を預かって下駄箱にしまうのも、宿の人の仕事なんです。
声がかからない時は、前を向いたまま上がって、体を少し斜めにして靴の向きをそろえておくと丁寧です。お客様にお尻を向けないように、という気配りから来た作法と言われています。
- 到着が遅れそうな時は、宿に電話を入れておく
- 玄関で靴を脱ぎ、声がかからなければ向きをそろえる
- 大きな荷物は、宿の人が運んでくれる時は任せる
- スーツケースの車輪は、館内で転がしていいか聞く
- 子ども連れの時は、玄関で子どもの手を引いておく
旅館のチェックインで書くこと
旅館のチェックインでは、宿泊者の登録をします。観光庁のモデル宿泊約款では、宿泊日当日にフロントで、氏名・住所・連絡先などを登録すると定められています。
日本国内に住所がない外国人のお客様は、国籍と旅券番号も登録します。旅館業法でも、宿は宿泊者名簿を備えることになっているんです。
モデル宿泊約款では、客室を使える時間は「午後○時から翌朝○時まで」と空欄になっていて、それぞれの宿が決めています。予約の確認メールや、宿の案内で確かめておきましょう。
到着が遅れる時は、こんなふうに電話してみてください。
「本日予約している〇〇です。道が混んでいて、到着が予定より遅くなりそうです」
「ご連絡ありがとうございます。お気をつけてお越しください。夕食の時間を少し遅らせましょうか」
客室に案内されたら
客室に着くと、仲居さんや宿の人が館内や部屋の説明をしてくれることがあります。お茶とお菓子を出してくれる宿も多いですよね。
この説明の時間に、お願いごとをまとめて伝えておくと楽です。夕食の時間、布団を敷く時間、記念日の準備などを、先に話しておきましょう。
客室の床の間は、掛け軸や花を飾る場所です。スーツケースや脱いだ服を置くと、せっかくのしつらえが隠れてしまいます。荷物は部屋の隅や押し入れのそばにまとめておきましょう。
床の間のある部屋では、床の間の前が上座とされています。家族で泊まる時は、年長の方に床の間の前の席をすすめると、自然な気配りになりますよ。
客室・大浴場・食事での旅館のマナー
客室では宿の人が、大浴場ではほかのお客様が、食事の場では厨房と仲居さんが、次の準備をしています。次に使う人や、次の準備をする人のことを少し思い浮かべてみてください。
客室・大浴場・食事は、旅館で過ごす時間のほとんどを占める場面ですよね。それぞれで気をつけたいことを、短くまとめました。
客室での過ごし方
客室は、宿泊中は自分たちの部屋です。気をつけたいのは、部屋の外に音が漏れることと、備品の扱いくらいです。
- 襖や障子は、引手に手をかけて静かに開け閉めする
- 座卓や畳の上で、熱い鍋や濡れた物を直接置かない
- 浴衣やタオルなど備品は、持ち帰らずに部屋に置いて帰る
- テレビや話し声は、隣の部屋に響かない大きさにする
客室のお茶とお菓子は、いつ食べていい?
客室の座卓に、お茶のセットとお菓子が置いてあることがありますよね。『夕食前に食べていいのかな』と遠慮する方もいます。
実は、到着してすぐにいただいて大丈夫なんです。お菓子は、旅の疲れをほっとほぐしてもらうために用意されていることが多いですよ。
お茶を入れてくれた仲居さんには、こんなひと言を返すと気持ちが伝わります。
「ありがとうございます。いただきます。このお菓子は、このあたりの名物ですか」
浴衣の着方や、浴衣のまま行ける場所は旅館の浴衣の着方で詳しく紹介しています。前合わせの向きに迷った時は、のぞいてみてくださいね。
大浴場での過ごし方
大浴場は、ほかのお客様と分け合う場所です。旅館の中でも、いちばんマナーが気になる場面かもしれません。
- 湯船に入る前に、かけ湯をして体を洗う
- タオルは湯船に入れず、頭の上に乗せるか縁に置く
- 洗い場の椅子や桶は、使ったら軽く流して元に戻す
- 脱衣所に上がる前に、体の水気をふいておく
大浴場の入り方は、宿や温泉ごとに案内が違うこともあります。詳しくは旅館の大浴場・温泉の入り方で紹介しています。
食事の時の過ごし方
旅館の食事は、客室に運んでもらう部屋食と、食事処や宴会場でいただく形があります。どちらでも、時間を守ることがいちばんの気配りです。
| 食事の形 | 気をつけたいこと | 伝えておくと助かること |
|---|---|---|
| 部屋食 | 配膳の時間には部屋にいる | 食べ終わった頃の片付けの時間 |
| 食事処 | 決められた時間に会場へ行く | 遅れる時の連絡、子ども用の椅子 |
| 宴会場 | 大人数の時は代表者が段取りをまとめる | 乾杯やあいさつの時間、席の決め方 |
苦手な食べ物や、食べられない物がある時は、予約の時に伝えておきましょう。当日に言われると、準備が間に合わないこともあるんです。
食事の席で、ちょっとうれしいひと言
料理を運んでくれた人に、食べた感想をひと言伝えると喜ばれます。むずかしい言葉はいりません。
「この煮物、とてもやさしい味ですね」
「ありがとうございます。厨房にも伝えておきます」
食べきれない量だった時は、無理をしなくて大丈夫です。『残したら失礼かな』と思った時は、「少なめにしていただくことはできますか」と、次の料理の前に相談してみてください。
部屋食の配膳の流れは、旅館の部屋食とはで詳しく紹介しています。
夜と出発の前に気をつけたいこと
夜の旅館は、思ったより声が響きます。出発の前は、忘れ物の確認と、使った物をひとまとめにしておくことだけ意識してみてください。
夕食が終わると、旅館は少しずつ静かな時間になりますよね。昼間と同じ感覚で話していると、意外と廊下まで聞こえてしまうことも。
夜の過ごし方
- 廊下や階段では、話し声と足音を小さくする
- 門限がある宿では、外出前に時間を確かめる
- 夜遅くに大浴場へ行く時は、入れる時間を確かめる
- 布団を敷く時間が近づいたら、座卓の上を片付けておく
旅館では、夕食の後に宿の人が布団を敷きに来てくれることがあります。敷く時間や頼み方は、旅館の布団敷きで紹介しています。
子ども連れの夜に気をつけたいこと
子ども連れの旅行では、夜に部屋の中ではしゃいでしまうこともありますよね。畳の部屋は走ると響きやすいので、寝る前は静かに遊べる物を用意しておくと安心です。
小さな子どもがいる時は、布団の並べ方や敷く時間を先に相談しておくのもおすすめです。「子どもが早く寝るので、布団を少し早めにお願いできますか」と伝えておけば、宿の人も段取りを組みやすくなります。
モデル宿泊約款でも、門限やフロントの時間は宿ごとに決めて案内するとされています。夜に外へ出たい時は、帳場に一言聞いておくと安心です。
出発の前にすること
出発の朝は、朝食と荷造りで意外と慌ただしいですよね。チェックアウトの時刻も、宿ごとに決められています。
- 朝食の後、チェックアウトの時刻を確かめる
- 押し入れや金庫、冷蔵庫、洗面台の忘れ物を確かめる
- 使った浴衣とタオルを、ひとまとめにしておく
- ゴミは客室のゴミ箱にまとめる
- 帳場で精算をして、鍵を返す
- 「お世話になりました」と宿の人に伝える

『布団は畳んだほうがいいの?』と迷う方もいるはずです。宿によっては、布団は畳まずにそのままでと案内していることもあります。
布団はシーツを替えたり、干したりするために、宿の人が自分たちのやり方で片付けることが多いんです。案内がなければ、掛け布団を軽く整えておくくらいで十分ですよ。
心付けは渡したほうがいい?
出発の時に、心付けを渡すかどうか迷う方もいますよね。旅館の宿泊料金にはサービス料が含まれていることが多く、渡さなくても失礼にはなりません。
渡したい時の包み方や言葉は、旅館の心付けとはでまとめています。
旅館のマナーでよくある相談
旅館のマナーで迷う所は、宿ごとに決まりが違う所がほとんどです。案内に書いてあればそれに従い、書いていなければ帳場に聞くか、ほかのお客様の気持ちで考えてみてください。
旅館のマナーについて、よく寄せられる相談を3つ取り上げます。
旅館やホテルで、浴衣を着たまま外出しても大丈夫なのか。また、夜遅くに館内を出歩くのはマナー違反なのか、という相談です。
浴衣で外へ出られるかどうかは、宿や温泉地によって違います。外出用の下駄や羽織を貸してくれる宿もあれば、館外は私服でとお願いしている宿もあります。
夜遅くの館内は、歩くこと自体は問題ありません。ただ、廊下の声や足音は客室によく響くので、静かに歩くのがマナーです。
旅館やホテルのフェイスタオルは、持ち帰ってもいいのか、という相談です。
宿によって違います。「お持ち帰りください」と案内している宿もあれば、備品として置いて帰ってほしい宿もあります。
迷った時は、客室の案内を見るか、帳場に聞いてみてください。「このタオルは、いただいて帰ってもいいですか」と聞けば、気持ちよく答えてくれますよ。
初めての高級旅館で、靴の脱ぎ方が分からない、という相談です。
宿の人がいて「そのままで」と言われたら、正面を向いたまま上がって、靴はそのままで大丈夫です。宿の人が向きを直して、下駄箱にしまってくれます。
宿の人がいない時は、上がったあとに体を少し斜めにして、靴の向きをそろえておきましょう。完璧な作法でなくても、誰も気にしませんよ!
旅館の過ごし方に、正解はひとつではない
旅館の楽しみ方は人それぞれです。温泉に何度も入る人もいれば、客室で本を読んで過ごす人、窓からの景色を眺めてのんびりする人もいます。
| 過ごし方の例 | 楽しみ方のコツ |
|---|---|
| 温泉をゆっくり楽しむ | 大浴場の入れる時間を、到着した時に確かめておく |
| 客室でくつろぐ | 夕食までの時間に、お茶を入れて一息つく |
| 宿の周りを散歩する | 外出できる服装と、門限を帳場で聞いておく |
| 館内のしつらえを眺める | 玄関や廊下の花や掛け軸を見て回る |
宿の人に「このあたりで、夕方に歩くといい場所はありますか」と聞くと、地元ならではの楽しみ方を教えてもらえることもあります。
旅館の仕事に興味を持った方へ
旅館で気持ちよく過ごせた時、その裏で準備をしている女将や仲居さんの仕事に興味がわく方もいるはずです。女将という仕事の全体は、女将とは?意味と旅館で女将が担う役割で紹介しています。
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よくある質問
旅館のチェックインでは何をしますか?
名前や住所、連絡先などを宿泊者として登録します。日本国内に住所がない外国人のお客様は、国籍と旅券番号も登録します。客室の説明や夕食の時間の確認も、このタイミングでされることが多いです。
旅館のチェックインの時刻は決まっていますか?
法律で決まった時刻はなく、それぞれの宿が決めています。予約の確認メールや宿の案内で確かめ、遅れる時は電話で伝えておきましょう。
和室で正座ができなくても失礼になりませんか?
失礼にはなりません。客室はくつろぐための場所なので、座椅子を使ったり足を崩したりして大丈夫です。
出発の時、布団は畳んだほうがいいですか?
畳まずにそのままでと案内している宿もあります。案内がなければ、掛け布団を軽く整えておくくらいで十分です。
旅館の館内でスーツケースを転がしてもいいですか?
廊下が板張りや畳の宿では、車輪の音が響いたり床を傷めたりすることがあります。転がしていいか迷った時は、到着の時に宿の人に聞くか、持ち上げて運ぶと安心です。
客室の浴衣やタオルは持ち帰れますか?
浴衣は宿の備品なので置いて帰ります。タオルは宿によって違うので、客室の案内を見るか帳場に聞いてみてください。
まとめ
- 旅館のマナーは、時間とお願いを早めに伝える、共有の場所に気を配る、迷ったら聞くの3つが基本
- 到着・客室・大浴場・食事・夜・出発の6場面に分けると、気をつけることが分かりやすい
- 旅館のチェックインでは、氏名・住所・連絡先などを登録する。時刻は宿ごとに違う
- 床の間に荷物を置かない、夜は声を落とすなど、小さな気配りがいちばん喜ばれる
- 宿ごとに決まりが違う所は、案内を見るか帳場に聞けば大丈夫





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